SS シークレット・イニシャル◇おまけ | 有限実践組-skipbeat-

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 おはようございます、一葉です。

 こちらのお話は、「雪やどり」 から続いた「シークレット・イニシャル」 のおまけです。

 某お嬢様から拍手コメントで『とあるツッコミ』を頂いたので、補足する意味も含めておまけを書いてみました。


 疑問が解消されたらそれで良しってことで。短いですけどお楽しみいただけたら幸いです。


■ シークレット・イニシャル ◇おまけ ■





 社長さんが、私の二つ折り携帯をスマホに変更してくれた。


「 へー。事務所がスマホに変えてくれたの。良かったじゃない 」


「 そうなの。初めて使ったからまだ慣れないことだらけだけど、でもスマホって本当に便利なのね。誰もがこれを持つ意味が分かっちゃった 」



 後日、ラブミー部室で偶然顔を会わせたモー子さんに言われて私もそれに同意した。

 なぜなら確かにスマホは便利だから。良かった、は確かに良かったことだったのだ。


 なにしろ敦賀さんから詳しく使い方をレクチャーしてもらえたし

 色々便利なアプリを入れてもらって、そのおかげで敦賀さんが今どこにいるのかも簡単に分かるようになっちゃって。


 ニュースも天気予報も知りたいときにスマホを見ればすぐわかるようになっちゃって、本当に便利になったから。でも。



「 へぇ、そう。・・・・・で? 」


「 え? 」


「 その割にはなんでまだここに二つ折りの携帯があるわけ? 」


「 あっ、それは!!! 」



 やっぱりモー子さんは目ざとかったわ。

 モー子さんがラブミー部室に来る前、私は無事に死守することが出来た二つ折り携帯を見つめて実はニヤニヤしていたのだ。



 実はスマホをもらったとき、前の携帯は返却しろって社長さんに言われたのだけれど、私はそれを頑なに拒んだ。



『 え、スマホ? 』


『 ああ。用意しておいたのだ。今後はこれを使うといい 』


『 ・・ありがとうございます 』


『 番号は変わらんから特に不便はないはずだ。君がLMEに入った時点で手続きを済ませたから、以前の携帯はもう使えんからな 』


『 えっ?! 』



 うそっ??!!



『 そっちはルトに渡しておいてくれ 』


『 え?!か、返さなきゃダメですか? 』


『 無論だろう。携帯には色んなパーツが入っておるから、以前より社会循環を求められている。再び携帯のパーツとして使うためには返却するしかなかろうが 』


『 だだだだったらいいです!私、二つ折りで充分ですから!! 』


『 ?!最上さん??なんで?俺がせっかく・・・ 』


『 ほう?それは何故だ 』


『 ななななぜって・・・ 』


『 なるほど。どうやら人に言えないヤバイものがその携帯に入っておるようだな?どちらにせよもうその携帯は使えないのだが? 』


『 ぐっ・・・ 』



 そう言えば、さっきそう言ってたっけ。



 ええええ??そんな急にやめてよぉぉぉぉ!!

 心の準備ってものが必要でしょう、この場合!!!



『 最上さん? 』


『 はいっ!? 』


『 ごめん。俺が社長にお願いして君のスマホを用意してもらったんだ、けど・・・。迷惑だった? 』


『 滅相もありません!!迷惑とか、そんなことじゃありませんでっっっ・・・・ 』



 そうだったのね、敦賀さんが社長さんにお願いしてくださったんだ。



 ええええ。

 でもどうしよう、どうしよう、どうしよう・・・・。


 だってこの携帯の中には、貴重な敦賀さんのお姿がっっ!!


 私がプレゼントした羊枕に

 そっと頬を沈めた敦賀さんの

 かわいい寝顔がここにあるから・・・。



『 ううううう・・・・ 』



 このあと、社長さんは面白がって散々返却しろを繰り返したのだけど、そのたびに私が唸っていたら、結果的に社長さんが折れてくれた。



『 まぁ、いい。どちらにせよこれは持っていけ 』


『 え、スマホ?いいんですか!? 』


『 無論だ。若い娘がいつまでも古臭い機種を持っているのもなんだろう。しかももう使えんからな、そっちの携帯は 』


『 う・・・・・・・・ 』



 そんな訳で

 二つ折りの携帯はまだ私の手元にあった。



「 社長さんには返せって言われたんだけど、ちょっと待ってくれることになったんだけど・・・やっぱり、いつかは返さなきゃダメよね? 」


「 ダメって事はないでしょうけど、事務所としては返却したいでしょうね、やっぱり 」


「 そうよね 」


「 ねぇ。そもそもなんで返したくないのよ? 」


「 そ、それは・・・あの、携帯を持ったのなんてこれが初めてで、それで色々と思い出深いものになっているからで、決して怪しい何かを隠しているとかじゃ!! 」


「 聞いてないわよ、そんなこと。・・・ふぅん、思い出ね。データだったら引き継げるけど? 」


「 え? 」


「 ・・・って言っても、メールのやり取りは無理だけど。それ以外でSDカードに入るデータなら引き継げるわよ、簡単に。そのデータを入れたSDをスマホで使えばいいだけだもの 」


「 え、うそ。そんな簡単に見ることが出来るの?! 」


「 見る?ってことは、あんたがこだわっているのは写真データってことかしら。それならSDに移したあと、いっそグーグルに登録しちゃえば? 」


「 グーグル?って、検索に使う、あの? 」


「 そのグーグル。アンタがこだわっているのがもし写真なら、グーグルフォトに保存しておけば今後どんな機種に変更しても問題なく見られるわよ 」


「 え、そうなの?でもそれって・・・ 」


「 個人登録して自分だけが閲覧する仕様に出来るわよ。それに無料 」


「 うそっ?! 」


「 本当よ。ああ、そうだ。メールって、携帯キャリアのものだと機種変したら過去のメールを振り返ることは出来なくなるでしょ。でもグーグルメアドでのやりとりなら、機種が変わってもメールを振り返ることが出来るようになるわよ 」


「 え、そうなの?!すごいっ 」


「 ふ・・・。スマホデビューが遅いとそんなことでも驚けるのね 」


「 知らなかった・・・。世の中はどんどん便利になっているのね 」


「 そのようよ 」



 そうなんだ。

 もしかしたら、世界は案外自分が知らないことだらけで満ちているのかも。


 でも、知らないならこれから知って活用していけばいいのよね!!



「 モー子さん、ありがとう。色々勉強になったわ! 」


「 どういたしまして。ちなみに、無料で使える機能には限度があるから、そこだけはちゃんと確認しておきなさい 」


「 了解、分かった、確認してみる♡ 」



 後日、四苦八苦の甲斐あって、敦賀さんの内緒の写真はスマホでも見ることが出来るようになった。

 ずいぶんお世話になってしまったあの二つ折りの携帯は、名残惜しかったけれどデータをすべて削除して社長さんに返却・・・しようとしたら、もういいって言われちゃったので、結局データを削除することなく私の部屋に置いてある。



 そんなわけで、敦賀さんのキュートな寝顔は、今も私の手元に。

 便利な世の中に感謝です。






     E N D


グーグルって、本当に便利ですよね。特にフォト。ありがたいです。


キョーコちゃん、こんな感じだったようですよ。



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