足並み揃えて ◇5 | 有限実践組-skipbeat-

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 いつも本当にありがとうございます。一葉です。

 弊宅500記事を記念して、蒼々様からお与かり致しました記念リクエストの続きをお届け致します。


 お愉しみ頂けたら嬉しいです。



 前のお話はこちらです⇒足並み揃えて【14】




■ 足並み揃えて ◇5 ■





「 キョーコちゃん、行くよ 」


「 う…はいっ、はいっ!! 」



 カメラの有無にかかわらず、敦賀さんが私を下の名前で呼ぶようになってから22時間が経過した。


 ハンディカメラとはいえカメラの前なら何とか出来る私でも、普通のときに呼ばれると嬉し照れが自然と浮かぶ。



 たぶん敦賀さんはそれに気付いているのだ。

 だってやたらと私の名前を連呼するから……。



「 うん?どうした、キョーコちゃん。そんな嬉し照れ…みたいな顔をして 」



 やっぱりバレてる!!



「 敦賀さん!! 」


「 ん? 」


「 提案なんですけど!カメラを回していない時は最上さんでいいんじゃないでしょうか? 」


「 ……何を言うのかと思ったらまたそれか。案外こだわるな、君も。やるなら最初から最後まで徹底していた方がむしろ割り切れると思うけど? 」



 確かに!

 それは仕事に真摯な敦賀さんらしいお言葉なので非常に納得は出来るのですが、それが容易に出来るならこんな頻繁に私の顔に嬉し照れが浮かぶはずがございません!



「 でもっ… 」


「 じゃあ君にひとつアドバイス。そういう役だと思えばいい 」


「 そんな無茶な!なんの設定もなくいきなり、『 敦賀さんからキョーコちゃんと呼ばれる役 』…とか言われたって、それで何とか出来る役者域に達していません、私は 」


「 そう。じゃあステップアップにちょうどいいじゃないか。ま、簡単な設定なら俺が決めてあげるけど。

 この仕事の間だけ、俺達は恋人同士。OK? 」


「 はぁいぃぃぃ??? 」



 冗談でしょ、敦賀さん?

 そんな設定にしちゃったら嬉し照れどころの騒ぎじゃないですよ!?


 ベッタベタのニマニマで、敦賀さんに甘えまくりの照れまくりになっちゃいます!あなたはそれでいいんですか?


 ……って。

 甘えまくりとかいうのは私の願望ですけど。


 ホント、救いようがないわよね、私ったら。



「 それなら俺が君をキョーコちゃんって呼ぶのは普通だろ? 」


「 ………っっ… 」



 普通?それは確かに普通かも知れないですけど。


 でもそんな夢のような設定にしちゃったら恐ろしいほど歯止めが利かなくなりそうで嫌!!……って言うのも絶対イヤ。



 だって、二人きりの空間で敦賀さんが恋人よ?!

 それってすごく美味しくない?



「 どうかな、キョーコちゃん? 」



 名前で呼ばれた瞬間、思いきり両手で顔を隠したからすぐに返事は出来なかった。

 だっていま口を開けたらアヤシイ笑いしか出なそうだもの。



「 そうしてもらえると俺も助かるんだけど… 」



 え?助かる?

 何がですか。



「 実は俺、スポンサーから無茶ブリ依頼が来て困っていたんだ。君に協力してもらえたら有難い 」



 なにそれ、初耳です!



 指の隙間からこっそり視界を開くと、それを待ち構えていたのか敦賀さんの顔が近くにあった。

 目が合った途端、敦賀さんの手が私の手首をどっちも掴んで、観音開きを強要する。



「 うきょおっっ?! 」


「 キョーコちゃん。俺、悩んでいるんだ。スポンサーから昨日、女性が喜ぶような萌えシーンをふんだんに入れてくれって言われて。それってどんな?…ってね 」


「 ……萌えシーン……ですか?敦賀さんの? 」


「 そう。君だったら俺のどんな仕草で萌えてくれる? 」


「 萌えっっっ!?!!! 」



 その瞬間、ゆでタコみたいに顔が赤くなったわよ。

 鼻がひくひくしちゃって口角が派手に上がった自信もある。



 なにそれ?さすがスポンサーさんは目の付け所が違うわね!

 敦賀さんの萌えシーン?そういうのなら誰だって超絶見たがると思います!!!



「 敦賀さん!! 」


「 うん、なに? 」


「 スポンサーさんの希望に添いましょう!! 」


「 ……なんで急に前のめり? 」



 だって!敦賀さんの萌えでしょ?萌え!

 それを私に訊ねちゃう?!


 言いませんけどそんなの沢山あり過ぎて一言では到底、語るに至れませんよ!



 私的にはおすまし敦賀さんは嫌いじゃない!

 ときどき見せる似非紳士スマイルの敦賀さんには背筋を凍らせることもあるけど、自信満々で演技に挑む敦賀さんは萌えを通り越してもはや神!



 そんな敦賀さんが私の作ったご飯を美味しいって言いながら食べてくれるのなんて個人的には胸キュンキュン!!



 バーベキューの準備で袖まくりで現れる敦賀さんの鍛えられた腕には縋り付きたくなるほどだし、夏の太陽を全身に浴びてタラリと額から汗を流す姿なんてもう萌え萌えですから、敦賀さん!!



 そして、私は声を大にして言いたい!


 カインだった時のあなたは最高だった!!



 ワンコみたいに肩を落とした敦賀さんにはこれ以上ないほど萌者震いしたし、小首を傾げてのおねだりなんてメチャクチャ震えましたとも!!!!



 なにより、他の人には冷たいくせに

 私にだけは甘いっていう設定が本当に嬉しくて。


 大好きな人から特別扱いされるのは何より幸せな時間だった。



 そんな敦賀さんの萌えシーンを私がプロデュース?!

 当然、全力で協力させて頂きます!!!




「 最上キョーコ、その設定、死ぬほど本気で頑張ります! 」


「 あ、ほんと。良かった。じゃあいまから俺達、恋人同士ね♡ 」


「 え……っ…!?あれ…あ…… 」



 この瞬間、ミスった!…と思った。



 私が頑張るって言った設定はあくまでも敦賀さんの萌えシーンを自分がプロデュース…に関してであって、敦賀さんが提案した恋人設定を受け入れたつもりはなかったから。



 でも……


「 よし。すべての準備が整ったところで張り切って行こうか 」



 敦賀さんはそれでいいって思っているみたいだし



 恋人設定の私なら、敦賀さんからキョーコちゃんって呼ばれるたびに私が嬉しい顔をしたって当たり前のことだし。



 加えて私が敦賀さんの恋人のフリ…をしたところでそれを撮られる訳でも番組で使われる訳でもないのだから、つまりそれは誰に目撃される訳でもないワケで…。



 結論。

 だから仕事だってことはもちろん忘れやしないけど


 敦賀さんの勘違いでも解釈違いでも何でも、とにかく受け入れる…となった以上、この状況はもう楽しんだ者勝ちかもしれないわ、と思った。




「 そうですね。張り切って行きましょう。河原バーベキュー、楽しみですね 」


「 だね。君のご飯は美味しいし、二人っきりが約束された場所で可愛い恋人とバーベキューなんて、そのシチュエーションだけで萌えそうだ 」


「 もっ…もう恋人設定発動… 」


「 当たり前だろ。あ、そうか。君がやりやすいようにそれ以外の設定も決めておこうか 」


「 それ以外? 」


「 そう。例えば俺達は昨日、付き合い始めた。君は俺のことが大好きで、嬉しすぎていまウキウキしている…なんて設定 」



 敦賀さん。それは設定とは言いません。

 まんま、最上キョーコの心情です。



「 もちろん俺もね。君のことが大好きで、この日が来るのを待ち望んでいたんだ。…でいい?キョーコちゃん 」


「 ……っ……はい… 」



 照れくさい…けど、どうしようもないほど嬉しかった。

 そんな気持ちが露骨にダダ漏れだったのかも知れない。


 敦賀さんは今までとは比べ物にならないほど甘く笑って私の肩に手を置いた。



「 ほら、行くよ。目的地まで20分間お散歩デートつき河原バーベキュー 」


「 はい 」


「 日焼け止めをスプレーしてから帽子をかぶって 」


「 ありがとうございます。……あ!敦賀さん、この他になにか持つ物があれば… 」


「 ありがとう。じゃ、俺の手でも持つ? 」


「 ……っっ?!!! 」



 なにそれ、なにそれ、何その甘い設定!

 違います!私はそんなつもりで言ったんじゃないですから!



「 どうした?急にしゃがみ込んだりして 」


「 いえ、別に…… 」



 実はいま私が持っている荷物はひとつなのです。

 それは昼食として用意した、下ごしらえ済みの食材が入っている小さめのクーラーボックスが一個のみ。


 それ以外の荷物は全て自分が運ぶから…と言ってくれた敦賀さんが、スポンサーサイドから紹介してくれと依頼されているグッズ類と一緒に手押し台車に乗せてくれていたのだ。



「 とりあえず君は君が用意してくれた俺達の昼食を持って来てくれればいいよ。それで充分 」


「 ……は、了解です。死ぬ気で死守させて頂きます 」


「 死ぬ気で?ふっ。ちなみにお昼はなに? 」


「 えっと…… 」



 言葉を交わし合いながらゆっくりと歩き始める。


 山小屋から河原まではだいたい徒歩20分。

 聞いた通りそれに偽りはなかったけれど、歩いている間はとにかく直射日光がきつくて、たどり着く前に果てるかも…と思った。



「 お昼は鶏むね肉のホイル焼きをメインにしました。

 これだけ暑いとお肉はちょっと…って思いがちですけど、食が細い敦賀さんでも食が進むように一工夫してありますのできっと美味しく召し上がっていただけると思います 」


「 そう?俺は大好きな君が作ってくれたものなら工夫を凝らしたものでなくても美味しく食べきる自信があるけど 」


「 ……っっ!! 」


 もう。だから何なの、その甘すぎる設定は……。



 こんなやり取りを繰り返しているうちに思ったの。

 夏の太陽なんかへでもないって。



 だって、敦賀さんがナチュラルに放つ眩い笑顔の方がその何倍も威力があるって事に、私はすぐ気付いちゃったから。





 ⇒6話 に続く


予定していた内容が半分しか入らなかった(笑)


⇒足並み揃えて◇5・拍手

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