いつもお世話様です、一葉ですヾ(@^▽^@)ノ
弊宅500記事を記念して、ちびぞう様からお与かり致しました記念リクをお届けいたします。
こちらは現代パラレル蓮キョです。
お楽しみいただけたら幸いです![]()
前話はこちら⇒それが世界の終わりでも【1 ・2 ・3・4・5 】
■ それが世界の終わりでも ◇6 ■
「 女の子を泣かせるなんて悪い男だな。しかも撮影途中だっていうのに、どうする気だ、蓮? 」
「 だっ…って!向こうが勝手に勘違いしたんじゃないですか。それを、なんで俺が咎められなきゃならないんですか 」
「 勘違い? 」
「 そうですよ。振られまくった挙句にようやく捕まえられた愛しい彼女…っていうのはCMの話じゃない。
なのに彼女、それを聞いてまるで自分のことみたいな顔をしたんですよ。だからそれを訂正しただけです 」
不貞腐れ気分で前を向くと鏡の中に不機嫌顔の自分が映る。
俺の後ろにいた社さんは挑戦的に目を細めた。
「 …へぇ。そうだったんだ。お前、よく見ていたんだな、京子のこと 」
「 見ていたんじゃなく見えたんです 」
「 同じことだろ 」
「 どこが同じなんですか。俺は本当のことを言っただけだ 」
「 本当のこと……ねぇ。それは何をもって? 」
「 社さん!そのニヤニヤ笑い、やめて下さいよ。俺、どこか間違ってますか?! 」
「 うーん、そうだなぁ。違わないとは言い難いよなぁ 」
「 どうしてですか。それこそ何をもってそんな事を言うんです? 」
「 だぁってお前、未だに俺がこの仕事をお前にやらせている意味が分かっていないだろう? 」
「 それは……社さんが何も言わないからでしょう 」
「 えー?そこで俺のせいにしちゃう?何も聞いて来ないのはお前の方だろうが 」
「 っっっ!!聞いたってどうせ答えないくせに 」
「 蓮。聞く前からそう決めつけるのは良くないぞ。試しにいま何か聞いてみれば? 」
「 じゃあ今更ながら伺いますけど!!どうして俺にこんな仕事をさせるんですか? 」
鏡越しの会話を止め、腰を上げて社さんを見下ろすと、敏腕マネージャーは少しも余裕顔を崩さず俺を見上げて軽く笑った。
「 それはな、お前が京子に謝ってきたら話してやる 」
「 …っ!!ズルいですよ、社さん。どうせ最初からそう言うつもりだったんでしょう? 」
「 鋭い。けど、どちらにせよ撮影を続けるには京子の協力が必要だろ。それとも何か?お前はやっと一週間が終わったっていうのに、相手役を変えてまた最初から撮り直したいのか?ん?蓮 」
「 ……っっ……くっそ!!!! 」
「 判ったらさっさと行け。じゃないとお前、一生後悔することになるかもしれないぞ 」
さっきまでヘラヘラ笑っていた癖に
このセリフの時だけ社さんは真顔になった。
何を考えているのか皆目見当もつかない敏腕マネージャー社さんの、俺を見る目は真剣そのもの。
そしてそのまなざしを見る限り、なぜかやっぱり俺を騙そうとしている風には見えなかった。
「 ……本当に話して下さるんでしょうね? 」
「 約束してやる。話してやるよ 」
「 本当に!本当に話してもらいますからねっっっ! 」
言うが早いか俺は雑に歩き出した。
無論、撮影が中止になるのも相手役が変わるのも御免だった。
そんなことになったら心底困る。なぜなら自分には演技など出来ないのだ。
監督が褒めてくれた今までのアレは、相手役が京子だからこそできたこと。それだけはさすがに自覚していた。
――――――― いいさ。謝って来てやるよ!!
頭の中で啖呵を切り、メイク室の扉を後ろ手に閉める。そこで俺はピタリと動きを止めた。
異性の顔を覚えるのは苦手だ。
なのにいとも容易く目にいっぱいの涙をためた京子の顔が脳裏に浮かんで、俺は顔半分を自分の右手で覆い隠した。
「 ……っんでだよ 」
ひどく胸が痛い。なんて後味の悪さだろう。
もしあの涙が自分の目の前でこぼれ落ちでもしたら、迷わず抱きしめてしまいそうな気がする。そんな自分がすごく嫌だ。
なんでだよ。
俺はキョーコを愛しているのに……。
「 蓮!そこで佇んでいないでさっさと行け! 」
「 …っ!いま行くところです! 」
ドア越しにマネージャーから促され俺は再び歩き出した。
だから当然、聞くことは出来なかった。
事情を知っている大人二人が
メイクルームで顔を見合わせて笑っていたことなど、俺には想像すら及ばなかった。
「 ………もう。社ちゃんったら意地悪ね 」
「 ふっ。俺が? 冗談でしょう、ミス・ウッズ 」
「 意地悪よ。だぁって聞くところによると彼、女の子を見分けるのが苦手なんでしょう?ましてやキョーコちゃんは今あたしのメイクで別人に変身しちゃってるのよ?
気付けないならむしろ当然の反応ヨ。京子が誰なのか、いっそ社ちゃんがそれを彼に話してあげれば良かったじゃないの。てっきりそうするのかと思ったのに。ほんと、意地悪ね 」
「 冗談でしょう? 絶対しませんよ、そんなこと。
だいたい、アイツはもう気付いているんですよ。なのに気付かないふりとか、許せないでしょうが 」
「 違うでしょ。気付いていないからああいう態度になったんでしょ 」
「 違う。蓮は気付いていましたよ。
これでも俺、契約してからずっとアイツと行動しているんです。蓮のそばで見てきましたからそんなのぐらい丸わかり。
言葉通り、どんな女の子を見ても一切興味がないって顔をする蓮が、変身したキョーコちゃんを見たとき一瞬で彼女に釘付けになった。蓮が言ったことは本当だったんだって思って吹き出しちゃいそうになったんですよ、俺。
今までがそうだったから仕方ないとは思うけど、早く気付けばいいのに 」
「 …ふふ。素直じゃなぁい 」
「 蓮の言葉を信じてこの仕事をアイツにあてがったから手を抜けないんですよ、俺。…アイツをLMEプロダクションに引き入れた責任もあるし 」
―――――― 社さん。俺はモデル以外の仕事は一切しません。
俺がモデルの仕事を本格的にしたいと思ったのは、一日も早くキョーコと一緒になりたいからです。
だからキョーコと別れる気もありません。
キョーコは俺にとって特別な子です。俺の心を揺らすのはこの世でキョーコ一人だっていう確信すらあります!!
「 ……俺が探していた、条件にぴったり合うモデルは蓮だけだと信じてる。だから余計に妥協したくない 」
「 頑固ね 」
「 いやいや、俺なんか序の口でしょ 」
「 えー? 」
「 だってこのあとラブラブ編があって、婚約編、結婚編になるわけだけど、その前に越えなきゃならない難関がある。
蓮はね、俺より頑固なオヤジを相手にしなきゃならないんですよ。むしろ練習になったって俺に感謝していいぐらいだ 」
「 くすっ。……それで?そんな信頼している二人の和解を見守らなくてもいいの? 」
「 ミス・ウッズ。俺、そんな間抜けなマネージャーに見えます?もちろん見守っています。コレで 」
「 ……携帯電話? 」
「 マネージャーは全てを見届けておかないと 」
「 ちょっと?!なにこれ、今のキョーコちゃんの楽屋が映っているの?盗撮じゃないの!! 」
「 違います。黒崎監督に繋いてもらっていますけど、これも契約内なんです。少なくともキョーコちゃんからは了解をもらっていますしね 」
「 嘘でしょ!? 」
「 本当です。これはあの子とした賭けの一部でね 」
「 社ちゃんって本当に食わせ者ね 」
「 いやいや、そんな褒めてもらっても。これも必要なことなんです。蓮が一流の仲間入りをするのに。
約束したから俺。アイツを一流のモデルにしてやるって。この仕事はまるでそのために転がり込んできたみたいな感すらある。だから俺、いまこのドラマ仕立てのCMをアイツにさせているんですよ 」
このやり取りを俺はもちろん聞いてない。
なぜなら俺はこのときマネージャーに促されてそこから離れ、京子と対面していたから。
京子様と書かれた控室のドアをノックしても予想通り返事はなく、だけど人の気配は確かにあった。
深く息を吐きノブを回す。
扉は難なく開き、乱雑にヒールを脱ぎ捨てたのだろう目的の彼女は控室奥の小上がりで後姿を見せていた。
畳に伏せてはいなかったけれど、力なく壁に寄りかかって泣いているのは明白だった。
「 ………っ 」
なぜだろう。
顔なんて見えないのに、うなだれた後姿を見ただけで胸に迫る何かがある。
なぜこの子はこんなにもキョーコに似ていると思うのか。
俺は判っていなかった。
だるまやの看板娘であるキョーコの素顔と、彼女自身が手掛ける薄いメイクしか見た事が無かった俺は、いま自分を惹きつけているのがキョーコ本人であることなど全く気付けないでいた。
「 ……っと、京子…さん 」
気を抜くと思わず手を伸ばしてしまいそうだった。
あの日、控室から出て来た京子を見たとき俺は、一瞬で視線を奪われた。
『 いいわ、京子ちゃん。自信を持って。可愛いわよ、大丈夫 』
『 はい、ありがとうございます 』
はにかんだ笑顔が可愛くて
もし自分が離れた場所にいなければ俺は一瞬後に彼女を抱き締めていたかもしれない。
「 ……京子さん。敦賀だけど、あの… 」
胸の前で両手を組み、更に両拳を握りながら恐る恐る彼女に近づいた。
声を掛けたからなのか
それとも俺が近づいたのが判ったからなのか
壁に肩を預けていた彼女は力なく上半身をよじった。
その泣き顔が俺の視界に入った瞬間
「 ……っ!! 」
俺は迷わず彼女を自分の胸に抱き寄せていた。
⇒それが世界の終わりでも◇7へ続く
コミカル…どこ行った?!のまま次に続く(。-人-。)スマニュ
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