それが世界の終わりでも ◇2 | 有限実践組-skipbeat-

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 いつもお世話様です、一葉ですヾ(@^▽^@)ノ

 弊宅500記事を記念して、ちびぞう様からお与かり致しました記念リクをお届けいたします。


 こちらは現代パラレル蓮キョです。楽しんでお付き合い頂けたら嬉しいです。

 どうぞよろしくお願いしますaya



 前話はこちらです⇒それが世界の終わりでも・1


■ それが世界の終わりでも ◇2 ■





 社さんとの打ち合わせを終えると、俺は速攻自宅に戻った。



「 敦賀さん、お帰りなさい!! 」


 キョーコからの出迎えを受け、ささくれていた心が一瞬で和む。


 玄関先だというのに俺はたまらずキョーコをギュッと抱きしめた。



「 ただいま、キョーコ。ぎゅうぅぅぅ…… 」


「 苦し…くるしいっ!敦賀さん!! 」


「 あはは。ごめん。二日ぶりだね。いつ来てたの? 」


「 んーと……1時間前ぐらいだったかな? 」


「 なるほど。だからこんないい匂いが充満しているんだ 」



 現在、俺が住んでいるマンションは所属事務所が用意してくれたもので、実は結構気に入っていた。


 社さん曰く190cmの俺が息苦しく思わないようにと配慮されて割り振られた2LDK。都内一人暮らしでは確かに贅沢に思える。

 だけど俺がこの家を気に入っている本当の理由は、以前住んでいた場所よりだるまやが近いから。

 キョーコとより近い場所で生活できるからだった。



 部屋に入るとテーブルは食卓と化していた。

 並べられたご馳走に敬意を払い俺が正座で腰を下ろすとキョーコの手が肩に触れた。



「 敦賀さん、なに座っているの。まず手を洗って来なきゃでしょ 」


「 あ、ごめん。洗って来ます 」


「 それに、これは私が作ったものじゃないの。大将が作ってくれたもの 」


「 なんだ、そうか。うん、大将のご飯、美味いから好き 」


「 ふふっ。大将も知っていますよ。だから私がここに来る前に用意してくれたんだから 」




 俺の恋人であり、だるまやの看板娘でもある最上キョーコ。


 自分の父親を大将と呼ばせるなんて相当こだわりがあるのだろうか…と思っていたけど、彼女が大将やおかみさんと縁もゆかりもない子だと知ったのは付き合うようになってから。



 その事実を知ったときは正直かなり驚いた。

 なぜなら大将もおかみさんもキョーコを本当に可愛がっているように見えたから。



 聞いたところによると、キョーコは実の母親とは折り合いが悪かったらしい。

 仕事を口実に何日も帰ってこない母親との二人暮らしはどれほど寂しかっただろう。


 キョーコのそんな姿に気付いただるまやのおかみさんが、それを見かねてキョーコを引き受けたのだという。



 もともと小さい頃から家事全般を一人でこなしてきたキョーコは、店の手伝いを苦に思う事もなかったのだろう。

 引き取られてから毎日のように自主的にだるまやの手伝いをしていたというキョーコ。


 彼女と俺との出会いは、そうして結ばれたものだった。



「 知っている割には大将って俺が店に行くと冷たいよな。あれだよ。キョーコと付き合い始めてからずっとな気がする 」


「 ふふふっ。照れ隠しなんですよ、たぶん 」


「 照れ隠し?敵視じゃなく? 」


「 どうして敵視?絶対そうだってば! 」



 楽しそうに目を細めたキョーコを見て、俺はもう一度恋しい人を抱きしめた。



 君が可愛い。

 君が愛しい。

 君を心から守りたい。



 そう思う人間が俺以外にも居るってことを、キョーコは気付いているのだろうか。



 いや。少なくとも君は知らないのだろう。

 ずっと君に告白を続けて来た俺が、やっとOKを貰った翌日、大将に呼び出されたことを。




 だるまや店内を通り過ぎ、初めて足を踏み入れた居間の空気は今まで感じた事の無い緊迫感。

 胡坐をかいて腕を組み、複雑そうに顔をしかめて俺を睨み上げた大将は、これ以上にない神妙な顔つきだった。



 失礼しますと断って正座をした途端に届いた言葉が忘れられない。



「 あの子を泣かせたら承知しない 」



 反論しようとすぐさま顔を上げた俺の目の前で、大将は両拳を握りしめて肩をプルプルと震わせていた。

 あの大将の姿を見たのは俺だけなんだ。



 たかが彼氏彼女になるだけだろう。

 この話を聞いて一体どれほどの人が大袈裟すぎると笑うのだろう。



 だけど俺はこう思った。

 きっと大将は俺の本気度を見抜いたのだ。


 そしてそのとき俺は覚悟を決めたのだ。



 結婚したいって言ったら、きっとこの人に何度か殴られるのだろう未来を……。




「 敦賀さん。今日、マネージャーさんと打ち合わせだったんでしょう? 」


「 あ…うん。それで、なんかまたCMの仕事が来たらしくてスケジュールを調整するって言われた 」


「 わぁっ!!またテレビの中で敦賀さんを見ることが出来るのね。すごい! 」



 テーブルに並んだ大将特製のご飯を前に、急須にお湯を注いだキョーコは、茶葉の開きを確認してからそれを湯飲みに注いだ。

 愛らしく微笑みながら自然に俺の前へ差し出された湯飲み。


 ありがとうと呟いて俺は湯気を立ち昇らせるお茶に視線を落とした。



「 ……うん、ありがとう。だけどちょっとだけ不安 」


「 どうして? 」


「 社さんが言うには、今度のCMはシリーズものらしいんだ。聞いたときはそうなんだ…ぐらいにしか思わなかったけど、よく考えたらそれってドラマ仕立てなんじゃないのかって。

 俺、モデルだし、モデルとしての仕事しかする気ないって言ってあるのに本当に大丈夫なのかなって 」


「 それは社さんも承知していることでしょう? 」


「 ……と、思うけど。でも… 」


 俺、あの人に踊らされている気がするんだよ、なんて根拠のないことはさすがに言えなかった。



 いいんだよ。最悪俺だけがくるくる回るだけなら。

 けど、それにキョーコを巻き込まないで欲しい。


 初めて出演した俺のCMを見たとき、キョーコは明らかにショックって顔をしていた。

 あんな顔の君はもう二度と見たくない。



「 大丈夫よ、敦賀さん。ダメ!そんな顔をしちゃ。ね?ファイト!! 」



 いまキョーコの顔には笑顔しか浮かんでいなかった。だから余計不安に思う。


 キョーコは考えないのだろうか。

 また同じようなCMじゃないのかって。


 だって俺はこの話をされたとき、すぐそれを考えたから。




 そのときふと、社さんの言葉が甦った。



『 大丈夫だ!これは絶対、キョーコちゃんも喜んでくれるから!! 』



 一体なにを根拠にあんなことを。

 人に気を回しすぎるこの子を俺は決して傷つけたくないんだ。



 でも、敏腕マネージャーとの異名を取る社さんが絶対だと言い切ったのだ。

 今回はそれを信じることにしようと思った。




「 ……ん。キョーコがそう言うなら頑張ってみる 」


「 そうよ、ファイト!はい、じゃ決まった所でご飯を食べましょ。あのね、これとこれは私が作ったの 」


「 え?そうなの?全部が全部、大将が作ったものじゃなかったんだ。やった! 」


「 くす。嬉しい? 」


「 嬉しいよ、もちろん!!こんなに可愛い俺の恋人が、俺のことを考えながら俺のために作ってくれたって想像するだけで百倍嬉しい!! 」


「 ふふふっ。大袈裟すぎ。それに、大将とおかみさんの分も一緒に作ったのよ、それ 」


「 それでも嬉しい!! 」



 判ってないな。

 ちっとも大袈裟なんかじゃないんだ。



 そうやって頬を染めて笑ってくれるキョーコが一番好き。


 俺、君が好きなんだって、何度も思えるこのやり取りがすごく愛しい。




「 いただきます!! 」


「 いただきます。…あ、それと敦賀さん 」


「 うん? 」


「 あのね、私、しばらくこっちに来られなくなるかも 」


「 え?お店、忙しいの? 」


「 …ん。ちょっとだけね 」


「 そっか。じゃあ俺、お店に食べに行こうかな。でも忙しいんじゃ迷惑かな… 」


「 お金払う以上はお客様なんだからそんなことは考えなくても大丈夫。二週間ぐらいかな、と思うのだけど 」


「 二週間か…。そう言えば俺もそのぐらいの間はCM撮りがあるから思う様に動けないかも 」


「 だったら無理しないで平気よ?お仕事なんだからちゃんと頑張って? 」


「 そりゃ頑張るけど……。でも、キョーコに逢えなくなるのか……。それは寂しいな 」



 箸とご飯茶碗をテーブルに戻し、隣の彼女に口づけた。


 そのまま強引に自分の身体をキョーコへ寄せると細い身体がソファにぐっと押し付けられる。

 俺は小さな頭を抱きかかえ、自然とキョーコをラグの上に横たえさせた。



「 ……敦賀さん 」


「 うん? 」


「 どうして寝転がったの?ご飯、いらないの? 」



 ご飯は食べたいけど、今は君が食べたい……とはさすがに言えない。


 大将に対して顔向けできないような事はしたくない。




 そうだ。

 もう少しの辛抱じゃないか。


 キョーコが二十歳になったらプロポーズ!

 そしてOKをもらえるまでは我慢をしようって決めただろう、俺!!




 この誓いがたまにすごくツライんだけど。




「 ………………いる 」


「 じゃあ食べましょう?はい、起きて!! 」


「 ……うん…… 」



 もう一度だけキョーコの唇をついばみ、それから俺は大人しく食卓に向き直った。






 ⇒ それが世界の終わりでも◇3へ続く


キョーコちゃんにメロメロ蓮くん♡ 書いててだいぶ和みます。



⇒それが世界の終わりでも◇2・拍手

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