「選択の科学」について | 技術士を目指す人の会

技術士を目指す人の会

勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

●おススメの書籍

僕は、図書館によく行きます。

ネットで予約して借りる場合もあれば、本棚に並んでいるものを借りる場合もあります。

月にだいたい20冊くらいの本を借ります。

ただ、最後まで読むのは5冊くらいです。

内容が良かったものについては、ブログで紹介しています。

今回読んだ本は、とても良かったです。

「選択の科学」という本です。

 

 

作者は、シーナ・アイエンガーさんです。コロンビア大学の教授です。

タイトルのとおり、選択について書かれた本で、目次は以下の通りです。

 

第1講 選択は本能である
第2講 集団のためか、個人のためか
第3講 「強制」された選択
第4講 選択を左右するもの
第5講 選択は創られる
第6講 豊富な選択肢は必ずしも利益にならない
第7講 選択の代償
最終講 選択と偶然と運命の三元連立方程式
 

 

●選択とは何か

「選択」のことを、作者はこう説明しています。

自分自身や自分の置かれた環境を、自分の力で変える能力

 

作者は、「選択」のことを単なる行為ではなく、自分自身や環境に変化をもたらす能力だと捉えています。

この発想は、すごいですね。

誰しも、人生を左右するような重要な決断を迫られることがあります。

そんな時は、選択という能力を磨いて、良い方に変化する選択をしたいものです。

 

また、作者は、次のようなことを言っています。

「選択」するためには、まずは「自分の力で変えられる」という認識を持たなくてはならない。

 

動物実験を行ったところ、「選択の自由」が無いと思うように仕向けた動物は、やる気をなくしました。

一方、「選択の自由」が有ると思うように仕向けた動物は、忍耐強く、行動するようになりました。

「選択」という能力を発揮するためには、自分に「選択の自由」があると認識している必要があるわけです。

21世紀を生きる僕らは、11世紀の人達よりも、はるかに多くの選択の自由を有しています。

まずは、このことを再認識して、自らに「選択」できる能力もあると信じることが大切なようです。

 

それから、「選択」が能力の一種なのであれば、選択を繰り返せば、鍛えることができるはずです。

例えば、「どっちでもいい」という言葉は、「選択」を放棄することを意味します。

「選択」という能力を磨きたいなら、できるだけ自分の意志で選択するべきです。

例えば、「〇〇の方が良い」とか「〇〇の方が好み」という言葉を口にするべきです。

こうしたことの繰り返しが、良い「選択」をすることに繋がるのだと思います。

 

●日本人は集団主義的
下の図を5秒眺めた後、どんな情景だったか質問するという実験をやったそうです。

 

アメリカ人は、三匹の大きな魚について説明したそうです。

一方、日本人は、大きな魚も含めた5匹の魚、海藻、小さな生き物、全体を説明したそうです。

この実験で何が解るのか?

アメリカ人の世界観は個人主義的で、日本人は集団主義的であることが如実に現れたものなのだそうです。

この図の主役は、普通に考えれば三匹の大きな魚です。

これが周りに影響を及ぼしています。

アメリカ人は、素直に、個体に着目したわけです。

一方、日本人は、全体について説明しています。

三匹の大きな魚がいることを認識しつつも、その周りの環境に着目しました。

環境がその他の物に影響を及ぼしていると言えるわけです。

 

これは図の解釈ですが、現実社会の状況においても、同じようなことが言えるのだそうです。
例えば、1995年、大和銀行ニューヨーク支店巨額損失事件がありました。

これは、大和銀行の副支店長の井口俊英がトレードに失敗して、11億ドルもの損失を出したものです。

信用を失った大和銀行はアメリカから徹底することになります。

この事件について、アメリカのメディアでは、井口俊英の個人的な暴挙に対して、不祥事の原因を求めました。

一方、日本のメディアでは、経営者による監督不行き届きに言及することが多かったそうです。

つまり、アメリカ人は個人主義的で、日本人は集団主義的なのです。

なるほど、確かに日本のテレビは、犯罪が発生した時、犯人以上に、親、属していた会社や学校の責任を追及します。

そう言えば、安倍元総理の事件も、犯人以上に、その母親、統一教会、奈良県警をクローズアップしていました。

このように、我々日本人は、問題の原因を、個ではなく集団・社会に求めることが多々あるわけです。

これは非難に関する場合だけではなく、称賛する場合も同じです。

個人の功績に着目するのではなく、組織全体で功を分け合う文化があります。

こういった日本人の気質が、選択という行為の際にも、様々な影響を及ぼしているのだそうです。

 

●技術士にとっての選択

技術士にとって、「選択」という能力を磨くことは、極めて重要です。

「選択」をするためには、選択肢が必要です。

何かの本を読んだとき、選択肢について説明がありました。

 

提案されたプランが1個なら、それは押し付けになる。

プランが2個なら、良いか、悪いかを決めることになる。

プランが3個なら、順番をつけることになる。

プランが10個なら、何を選ればいいか決められなくなる。

 

この話は、選択肢というのは多すぎても、少なすぎても、良くないということを物語ったものです。

良い選択するためには、3個程度の選択肢を用意する必要があるわけです。

 

それから、選択肢に順番をつけるためには、それぞれの肢の評価を行う必要があります。

評価とは、定量的に行うもので、最も評価値が高いものが、一番良い選択肢になります。

つまり、誰かに何かを提案する場合、3個程度の選択肢を提示して、それらを定量的に評価し、最適なものを示す必要があるわけです。

こうしたプロセスは、コンサルティングであり、まさしく技術士の業務ですね。

 

というわけで、

「選択」が能力の一つであることを認識して、これを研鑽することは、極めて重要になるわけです。

 

●おススメのビジネス書

今回、ご紹介した「選択の科学」以外にも、おススメのビジネス書があります。

Think clearly」です。

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●ビジネス書シリーズ

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●勉強本作家シリーズ

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●技術士の勉強法

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