【世界史人物9】ソクラテス「無知の知」 | 技術士を目指す人の会

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勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

世界史の人物を紹介します。

今回は、ソクラテス です

ソクラテスは、山川の教科書のP37、《ギリシアの生活と文化》で登場します。

 

●いつの時代?

BC399

 

●どこの人?

アテネ

ギリシア人

 

●何をした人?

紀元前のギリシアには、統一国家はなく、数多くの小規模な都市国家が存在していました。

こうした都市国家をポリスと呼びます。

アテネは、バルカン半島で興った最大クラスのポリスです

ソクラテスは、アテネの哲学者です。

ソクラテスの弟子にプラトンがいます。プラトンの弟子にアリストテレスがいます。

ソクラテスは、哲学の祖です。

 

 

ソクラテスについて説明する前に、この時代のアテネの民主政について少し説明します。

アテネは、BC6世紀以前は、貴族が政治を行っていました。

その後、平民が力をつけ、発言権を持つようになります。

BC5世紀頃になると、平民は参政権を持つようになります。

貴族も平民も参加できる民会ができ、この民会で国家の政策を決定するようになりました。

アテネにおける民主政が確立されたわけです。

民会では、財力、武力以上に、弁論能力が重要視されます。

アテネでは、弁論できる者が政治家に選出されるようになります。

弁論するためには、当然、知識と見識が必要です。

このため、アテネには、多くの知者がいました。

政治家になる知者もいれば、政治家に弁論術を教える知者もいました。

知者が社会を支配していたわけです。

こうした知者のことをソフィストと言います。

そして、この時代にソフィストの対抗していたのがソクラテスなんです。

 

ソクラテスは、人間のあり方について研究をしていました。

人が生きる上で大切なものは何かを探究していました。

そこで、ソクラテスは、名だたるソフィストを訪ね、善、正義、勇気の意味について問いかけたそうです。

しかし、こうした人々と質問しても、腑に落ちる答が返ってきませんでした。

しかも、ソフィストの答には、多くの矛盾点が見つかります。

知者と言われる人々は、自分は何でも知っていると思い込んでいるだけで、実は何も知らないことが分かってきます。

ソクラテスは、自らが無知であることを自覚している唯一の人間であることを知ります。

 

自分自身が無知であることを 知っている人間は、 自分自身が無知であることを 知らない人間より賢い。

 

これが「無知の知」です。

歳を重ねるにつれ、僕らは、ついつい講釈垂れになります。

しかし、知っていることよりも、知らないことの方がはるかに多いわけです。

「知らない」「解らない」と、正直に言える大人であり続けたいものです。

 

それから、ソクラテスは、善、正義、勇気等、本当に良いことがどのようなものか知ることによって、その人に徳が備わると説いています。

これを「知徳合一」といいます。

本当に正しいことが何かを知ることによって、はじめて人は正しい行為ができると説いています。

これを「知行合一」といいます。

メッセージの強い言葉ですね。

 

ソクラテスは賢人でした。影響力がありました。

それ故に、ソフィストにとってソクラテスの存在は目障りでした。

ソフィストたちは、ソクラテスを陥れます。

BC399年、ソクラテスは無罪であるにも関わらず、裁判で死刑を宣告されてしまいます。

投獄されている時、逃げるチャンスもあったそうです。

しかし、ソクラテスは判決を受け入れ処刑されてしまいます。

ソクラテスは司法を尊重し、脱獄という不正を働かない人生を選択したわけです。

ソクラテスは偉大な人です。

ソクラテスを生んだはアテネです。

アテネの歴史を振り返ってみると、最初は王政で、次に貴族政、その後、民主政に移行します。

政治家は、血族による王位の継承、武力と財力による選出、国民による投票に移行していきます。

そして、民主政はソフィストを生みます。

武力ではなく、知者が世論をコントロールする社会です。

そして、ソフィストに反する者として、ソクラテスのような賢者が誕生します。

アテネがソクラテスを生んだわけです。

 

●ソクラテスの名言

この時代の知者は、弁論に勝利するために勉強をしていました。知者は裕福な暮らしをしていました。

ソクラテスは、人生をより良くするために勉強をしていました。決して、裕福ではなかったそうです。

しかしながら、ソクラテスは、誰よりも自由でした。

自らの無知を知り、自らの実力に慢心せずに、謙虚に学び続けるのことが重要ですね。

ソクラテスの名言のうち、いくつかを紹介しておきます。

 

よりよく生きる道を探し続けることが、 最高の人生を生きることだ。

 

いかなる財宝と比べようとも、良友に勝るものはないではないか。

 

良い本を読まない人は、字の読めない人と等しい。

 

●哲学者たち

ソクラテスには弟子がいます。

最も有名なのがプラトンです。

プラトンも優れた哲学者です。

そして、プラトンにも弟子がいます。

最も有名なのがアリストテレスです。

アリストテレスも優れた哲学者です。

それぞれのお弟子さんは、師匠の影響を受けつつ、独自の新しい考えを展開します。

温故知新ですね。

 

●ソクラテスの画像

※画像出典元:ウィキペディア

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%86%E3%82%B9

 

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