世界史を解りやすく(6)インド | 新見一郎

新見一郎

勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

世界史に書いてあることを、理系の人にも解るように説明したいと思います。

今日は、インドについてです。

山川の世界史では、P52からP61です。

 

 

●インドの流れ

インドは、世界四大文明の一つ、インダス文明発祥の地です。

というわけで、世界史の教科書でも、比較的、最初の方で登場します。

インドの流れは、BC4Cにマウリヤ朝がインドを統一します。

その後は、南北に分裂した状態が続くようです。

教科書を見る限り、支配の流れは以下のようになっています。

❶BC4C 全域をマウリヤ朝

❷1C 北部をクシャーナ朝

   南部をサータヴァーハナ朝 

❸4C 北部をグプタ朝

❹6C 北部をヴァルダナ朝

 

 

 

 

 

 

 

(山川の教科書より)

 

 

 

 

 

 

 

 

インドについて勉強する際は、これら5つの王朝について勉強する必要があります。ただ、単に勉強するのではなく、インドと他国との関係性を勉強した方がいいと思います。

 

まず、重要なのは、インドのお隣のイラン・イラク周辺の支配の流れです。このエリアは、次のよう流れになっています。

 

①BC6C アケネメス朝ペルシア (イラン系)

②BC330年 アレクサンドロス大王→セレウコス朝シリア(ギリシア系)

③BC248年 パルティア(イラン系)+バクトリア(ギリシア系)

④224年 ササン朝ペルシア(イラン系)

 

①、③、④はイラン系で、その間に②、③のギリシア系が入っています。

ここで民族間の交流があって、独特の文化、つまりヘレニズム文化が誕生することになります。

これを頭に入れた上で、山川の世界史のP56を読んでみます。次のようなことが書いてあります。

 

前4世紀になると、マケドニアのアレクサンドロス大王がアケネメス朝を滅ぼし、さらに西北インドまで進出した。(中略)その絵経で各地にギリシア系の政権が誕生した。この混乱から前4世紀の終わりに登場したインド最初の統一王朝がマウリヤ朝であった。

 

マウリヤ朝が誕生した頃、BC4Cの世界の中心は、アレクサンドロス大王でした。

先程の②のところですね。

アレクサンドロス大王はギリシア系の人でしたので、アレクサンドロス大王が進出した都市にはヘレニズム文化が根付いていったようです。

インド周辺もそうです。

ただし、アレクサンドロス大王は、インド征服に着手する前に、帰国することになります。

インドは征服されずにすんだわけです。

その後、マウリヤ朝が力をつけて、インドを統一します。外敵の存在というものは、統一を促進するようです。

 

それから、山川の世界史のP57には、次のようなことが書いてあります。

 

紀元後1世紀になると今度はバクトリア地方からクシャーナ人がインダス川流域にはいってクシャーナ朝をたてた。

 

バクトリアは、先程の③のところで出てきましたね。バクトリア自体はギリシア系の国家だったんですが、クシャーナ人という遊牧民もいたようです。

このクシャーナ人がインド北部を支配するようになり、クシャーナ朝をうちたてたようです。

クシャーナ人はバクトリアにいたのでヘレニズム文化の影響をうけています。

こうしてインドにヘレニズム文化が本格的に入ってくることになります。

この頃の仏像美術は、ガンダーラ美術と言われていますが、仏像はロン毛ですし、顔も西洋人っぽいですね。

 

それから、山川の世界史のP58には、次のようなことが書いてあります。

 

クシャーナ朝は3世紀になると、西はイランのササン朝に奪われ、東は地方勢力の台頭をうけて滅亡した。

 

ササン朝は、先程の④のところで出てきましたね。クシャーナはササン朝ペルシアによって滅ばされたようです。

 

それから、山川の世界史のP57には、次のようなことが書いてあります。

 

クシャーナ朝は交通路の要衝であり、国際的な経済活動が活発に行われた。ローマとの交易が盛んであり、大量の金がインドにもたらされた。

 

クシャーナ朝の時代は、1世紀〜3世紀で、この頃、ローマ帝国は、五賢帝時代です。

ちなみに、ローマは、BC27年、トラヤヌス帝の時に領土最大でしたが、インドまでは手を伸ばさなかったようです。

ローマとインドの貿易は盛んだったようで、インドはシルクや香辛料を売って、その代金としてゴールドを手に入れたようです。

 

というわけで、インドについては、他国との関係性を勉強することで、理解が深まると思います。

後は、仏教とヒンズー教ですが、これについては、次回、お話をします。

 

※世界史を解りやすく(5)三位一体については、 こちら をどうぞ。