H30年 技術士二次試験で実際に出題された試験問題を公表します。
なお、これらは上下水道部門の上水道及び工業用水道に関する問題です。
●次の4問のうち2問を選び、それぞれ解答用紙1枚以内で解答せよ。
【Ⅱ-1-1】
急速ろ過のメカニズムと運転における留意点について述べよ。
【Ⅱ-1-2】
浄水処理に用いられるMF膜及びUF膜における膜のファウリングと劣化とは何か。またそれぞれの現象を引き起こす要因を列挙し、説明せよ。
【Ⅱ-1-3】
給水管の凍結防止に関するハード面での対策と、寒波による凍結が予想された時に水道事業体が行うべきソフト面での措置について述べよ。
【Ⅱ-1-4】
配水ブロック化の利点と設計における留意点について述べよ。
●次の2問のうち1問を選び、解答用紙2枚以内で解答せよ。
【Ⅱ-2-1】
表流水を原水とする浄水場において「浄水処理対応困難物質」による水質事故を想定し、対策を策定することになった。策定責任者として業務を進めるにあたり、下記の内容について記述せよ。
(1) 浄水処理対応困難物質として取り上げるべき対象物質の要件
(2)平常時の予防的措置から事故発生時の対応に至る講ずべき対策
(3)対策策定に当たっての留意事項
【Ⅱ-2-2】
水道事業者等は、水道法の改正に向けた取組等や各種手引き等の整備により、民間事業者のノウハウを活用する様々な民間的経営手法を採用できるようになった。このような状況を踏まえ、以下の問に答えよ。
(1) 民間的経営手法の導入が推奨される背景と具体的な手法について列挙せよ。
(2)(1)で挙げた手法から1つ選んで説明し、それを導入した際に期待される効果を述べよ。
(3)(2)の業務を実際に進める際の留意点について述べよ。
●次の2問のうち1問を選び、解答用紙3枚以内で解答せよ。
【Ⅲ-1】
平成25年3月に新水道ビジョンが策定されて5年が経過した。この新水道ビジョンでは、水道を取り巻く環境の大きな変化に対応するため、将来を見据え、水道の理想像を明示するとともに取組の目指すべき方向性やその実現方策、関係者の役割分担を提示している。これを受けて水道事業体では、様々な取組を行っている。このような現状を踏まえ、以下の問いに答えよ。
(1)水道事業を持続するうえでの課題を多面的に挙げ、将来を見据えた水道の理想像についえ説明せよ。
(2)(1)に示したそれぞれの理想像に到達するために、水道事業体が行うべき取組を挙げ、その実現のための具体的な技術的提案を示せ。
(3)あなたの技術的提案を実行する際の取組面及び技術面の留意点について述べよ。
【Ⅲ-2】
A市では、施設能力20万m3/日の急速ろ過方式の浄水場のみで給水していたが、建設から60年が経過し、更新することになった。現在のA市の一日最大給水量は15m3/日である。また、原水は水質汚濁が進み、特にカビ臭物質が恒常的に高い濃度となっている。
なお、更新のための用地は既存浄水場内に確保されている。
このような状況を踏まえ、浄水場更新計画策定の責任者の立場で以下の問いに答えよ。
(1)更新計画の策定に当たり、社会的背景と問題点、克服するべき課題等を幅広い視点から概説せよ。
(2)上述した課題に対し、あなたが重要な技術的課題と考えるものを2つ挙げ、それぞれについて解決するための技術的提案を示せ。
(3)あなたが示した技術的提案に潜むリスクやデメリットを踏まえ、解決策を実施するに当たっての留意点について述べよ。
●僕の予想
以下は僕の予想した問題です。
Q1(膜処理)
膜処理のファウリングの原因、影響、対策について述べよ。
Q2(水質管理全体・高度処理)★
凝集沈殿ろ過処理の浄水場において、原水中の有機物に起因する消毒副生成物の発生が問題になっている場合、既存施設の改良又は廃止という視点で対策するべき事柄について述べよ。
Q3(水質管理全体・設備)★
水安全計画の実行等、水道品質を常時監視するため、ICT(情報通信技術)を活用する方法を複数あげて説明せよ。
Q4(給水装置)★★
給水装置工事における誤接合について、水道水に及ぼす影響と水道事業体が取り組むべき予防策について述べよ。
Q5(管路維持管理)★
配水管路における漏水調査方法について3種類以上あげ、その内容について述べよ。
Q6(設備・環境)
水道事業における温室効果ガス排出抑制対策を推進する技術責任者として、次の内容について記述せよ。
①対策の検討手順、
②水道施設で導入すべき具体的な対策、
③対策を実施後に取り組むべき事柄
Q7(水質管理全体・消毒)★
給水栓において残留塩素濃度が低下する事象が発生している場合、次の内容について記述せよ。
①浄水施設・配水施設・給水装置それぞれでの原因事象
②浄水施設・配水施設・給水装置それぞれでの対策
③上記対策を実施する際の留意点
Q8(送配水施設)
コンクリート構造の配水池を建設する技術責任者として、次の内容について記述せよ。
①コンクリート構造物の劣化要因
②劣化要因を踏まえた設計上の留意点
③コンクリート構造物の維持管理上の留意点
Q9(管路)
重要給水施設管路の耐震化について計画を策定する技術責任者として、次の内容について記述せよ。
①重要給水施設の定義・種別
②重要給水施設管路の設定方法
③計画策定の手順・留意点
Q10(管路)★★
伸縮継手の設置を含む水道工事を行う設計責任者として、次の内容について記述せよ。
①伸縮継手を設置する目的
②導入時の検討事項
③維持管理上の留意点
Q11(管路)★★
既設管内布設工法により管路整備を行う設計責任者として、次の内容について記述せよ。
①導入による効果
②導入に当たって調査すべき内容
③業務を進める手順及び留意事項
Q12(計画)
人口減少が進んだ地域では、財政的な制約により老朽化した小規模浄水場の更新が進まず課題になっている。このことを踏まえ、
①この課題を解消することが可能な多様な給水方法を列記し、
②このうちあなたが最も有効と考えるものを1つあげ、具体的な施設整備方法を提案した上で、
③その提案の実行時の留意点について述べよ。
Q13(官民連携)★
水道事業の経営基盤の強化策として官民連携が提唱されていることを踏まえ、
①官民連携が注目さえている背景と具体的な手法を列記し、
②これら手法のうちあなたが最も重要と考えるものを1つあげ、具体的な技術的提案と、
③あなたの技術的提案がもたらす効果、実行時の留意点について述べよ。
Q14(災害対策・水質管理全体)★★
災害や事故により被害があった場合でも、水道事業を継続できるよう体制を確保する必要がある。このことを踏まえ、
①水道事業において不確実性を含むリスクを列記し、
②このうちあなたが最も重要だと考えるものを1つあげ、ハード・ソフトの両面から技術的対策を提案し、
③あなたの提案がもたらす効果と実行時の留意点について述べよ。
Q15(管理・アセットマネジメント)
水道施設の予防保全型維持管理を充実させる必要が高まっている現状を踏まえ、
①水道施設の更新・長寿命化の課題を列記し、
②このうちあなたが最も重要だと考えるものを1つあげ、技術的提案を述べ、
③あなたの提案がもたらす効果と実行時の留意点について述べよ。
テーマについてはかなり的中したと言っていいと思います。
それから、まぁまぁいい予想問題だったかなぁ、って思っています。
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