●巧遅は拙速に如かず
「巧遅は拙速に如かず」
これは、『兵法』を書いた孫氏の言葉です。
巧遅(こうち)は、クオリティは高いが遅いという意味です。
拙速(せっそく)は、クオリティは低いが速いという意味です。
如かず(しかず)は、及ばないという意味です。
つまり、速い方がいいわけです。
●早い方がいい
多くの仕事に言えることですが、早く提出した方がいいです。
締め切りに間に合わないようでは、例え、素晴らしいクオリティだったとしても、民法上、履行遅滞です。損害賠償請求されることになりますし、何よりも、相手の信頼を損ねてしまいます。
では、一発OKのクオリティで、ちゃんと締め切りに間に合えば文句は言われないでしょうか?
残念ながら、一発OKは極めて困難です。
なぜなら、人はそれぞれ好みが異なるだからです。
時間をたっぷりかけ、「我ながら完璧」な仕事を、締切当日に提出するよりも、事前に、7割くらいの出来で提示した方がいいです。
7割くらいの出来で、方向性を確認すれば、相手から軌道修正の要請があったとしても、対応できるからです。
何よりも、進捗を確認してもらうことで、相手は安心します。
そして、相手が驚くほどのスピードで、7割の出来の仕事を報告すれば、相手から信頼を得られます。
スピードがクオリティを凌駕するわけです。
●スピードとクオリティの両方を満たす方法
スピードとクオリティはトレードオフの関係にあります。
つまり、スピードを高めればクオリティが犠牲になります。
クオリティを高めればスピードが犠牲になります。
そして、これまで、スピードを優先するのがいいという話をしてきました。
ただし、スピードとクオリティの両方を満たす方法があります。
スピード優先が案1、クリティー優先が案2です。
では、これら2つの案を包括する第三案は何か?
その方法は、
「チェックと仕上げを別の人に頼む」
です。
スピードを高めれば、ミスが生じます。ミスが生じても誰かにチェックしてもらえば、ミスを解消できます。
チェックを誰かに頼む、この勇気を振り絞るだけで、仕事の質は上がります。
スピードを高めれば、内容は適切なものだったとしても、図表やイラストの見た目が悪くなります。文章も微妙になります。
だから、仕上げの部分、図表やイラストの上手な人、編集の上手な人にお願いするわけです。もちろん、これにはお金がかかります。
そう考えると、チームで仕事をやるべきなんです。
先程も話をしましたが、誰かに協力を頼む勇気と、日ごろの人間関係を良好に保つことが、スピードとクオリティの両方を満たす第三案を実現する秘訣なのかもしれませんね。
もちろん、誰かに、頼めないこともあります。
その場合、一人でやるわけです。
この場合でも、一人で分業した方がいいです。
例えば、10ページの資料を作るとします。この場合、1ページ目の文章と図表を完璧にして2ページ目に進むよりも、①10ページ文章作る⇒②図表を描く⇒③全体のバランスを見ながら編集するというふうに、分業でやるべきです。
一人でやるときでも、一つ一つの作業を分業して、各作業に集中した方が、能率がいいからです。
分業してたら、誰かに頼むことができるようになったときも便利ですからね。