【場面緘黙が治るきっかけ】「担任と話せた!」から緘黙症状が治っていく子は多いと思う | 場面かんもく相談室「いちりづか」

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新年度に「担任の先生と話せる」ができた子

 

以前の記事でも「担任の先生と話せる」ようになった子を紹介しました。

担任と話せると、緘黙症状はかなり改善に近づきます。

今回も、新年度にしっかり準備して担任の先生と話せるようになった子です。

 

【対象】

かなさん(仮名)女性

小学3年生で相談開始

 

【概要】

相談開始時は、学校では一言も声が出せない状態でした。

1年かけて「担任の先生に音読の録音を聞かせる練習」、「通級の利用申請」、「通級での話す練習」などを計画的に進めてきました。学校とよく相談し、春休み中に新しい担任の先生と話す練習の機会を設けてもらい、初対面の先生に自己紹介をすることができました。さらに新年度の新しいクラスでも、自己紹介で声を出すことができました。

 

【3学期の時点での状態】

初回の面談は昨年の4月でした。

1年間を通してご両親や本人とオンラインで面談を続けて、話せる場面を広げていきました。

3学期の時点ではこんなことができるようになっていました。

 

・録音した音声を担任の先生に送るのが抵抗なくできるようになった(2学期くらいから)

・日直の号令を録音して教室で流せるようになった(3学期になってから)

・通級の利用を開始した(1学期に申請して2学期から利用開始)

・通級の先生に音読や挨拶を声でできるようになった(3学期になってから)

・バレエの先生に声で挨拶をすることができた(3学期になってから)

 

かなさんの場合、2学期の後半くらいから着実に話せる場面が増えてきました。

こうなってくると大事なのはやはり新学期に「新しい担任の先生と話せるようになる」こと。

 

かなさんは2学期から利用を開始した通級の先生にも、声を出すことができています。

ということは、「新しい担任の先生」と話せる可能性はかなり高いと考えました。

そこで学校にお願いして、春休み中に練習の機会を作ってもらうことにしました。

 

【新しい担任と話す!】

春休み、クラス替えなどが発表される前に、新しい担任と会う機会を作ってもらいました。

 

事前にしっかり練習もして、いよいよ担任の先生と自己紹介。

初対面の先生に、小さい声で自己紹介をすることができました。

 

さらに、新学期が始まってからのクラスでの自己紹介でも声を出すことができました。

かなさんによると、録音を聞かせる練習のおかげで「声を出すのに慣れてきた」そうです。

 

 

【解説】

新年度に一気に改善したと言うより、少しずつの積み重ねで改善してきたケースです。

1年前は学校では一言も声が出せなかったのですから、とても大きな変化です。

 

いつも、新しい担任と話せる状態でスタートできれば、もう緘黙症状の改善は近いと感じます。

あとは工夫次第で、どんどん話せる場面を増やしていくことができるからです。

小学校高学年のうちには、緘黙症状はほとんど治せることが期待できます。

 

 【注意点】

事例の紹介にあたっては、家族の同意を得ています。

ただし個人に関わる情報ですので、転載は絶対にしないでください

また必要に応じて細部を改変していますので、事実と異なる場合もあります。

 

この事例の紹介はあくまで個別のケースに対して上手くいった方法です。

同様の方法を行っても、他のケースに対しては効果がない場合もあります。

練習メニューを考えるにあたっては、様々な要素を慎重に考慮した上で、個々に応じた方法を選択するようにしてください。