【5月】場面緘黙の子をクラスで「話せない子」にさせない、いくつかの方法 | 場面かんもく相談室「いちりづか」

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コミュニケーションのためにICT機器を使うのは

場面緘黙の子には逆効果かも?

目立つ道具を使うと、明らかに「話せない子」だと思われてしまいます。

 

 

前回の記事で、<「話せない子」と思われるからよけいに話せなくなる>と説明しました。

緘黙症状のある子をクラスで「話せない子」にさせないために、どうしたらよいでしょうか。

 

 「話せる場面」を作る 

一番シンプルな方法は、「話せる場面」を作ることです。

(もちろんこれができるのは「緘黙症状があっても少しは学校で話せる」、症状が軽い子だけです)

 

教科書の音読や日直、友だちとの会話など、どんな場面でも結構です。

本人と相談しながら、クラスの中で声を出せる場面を意図的に作るようにしましょう。

限られた場面であっても声を出せていれば、周りの子が「話せない子」と捉えなくなります。

 

ポイントは、「どのような条件を整えたら声が出しやすいか」を本人とよく考えることです。

・人数、相手

・場所や時間

・内容

・タイミング

などの条件を詳しく検討すると、声が出せる場面が作れる可能性があります。

 

「そんなことができたらとっくに場面緘黙は治ってるよ」

「それができないから場面緘黙なのでは?」

と思う方もいるかもしれません。

 

その通り。

これができれば場面緘黙は治せる可能性が高いです。

単に「試していない」だけで、実際にはやればできるというケースも意外とあります。

ですので試してみる価値はかなりありますよ。

 

 「代わりのコミュニケーション手段」を使いすぎない 

緘黙症状のある子への支援として、話す以外のコミュニケーション手段を使うことがあります。

「コミュニケーションがとれること」自体は非常に大事です。

 

ですが「やりすぎ」は禁物です。

代わりの手段を使いすぎると、周りからは明らかに「話せない子」に見えてしまうからです。

特に気をつけてほしいのは、ICT機器などの必要以上に目立つ方法を使うこと。

 

 

どの方法も明らかに他の子と違っていて、目立ちます。

周りの子に「話せない子」だと印象づけることになってしまいます。


目立たない方法で筆談やうなずき、指さしなどができればコミュニケーションはできます。

筆談も、わざわざホワイトボードやメモパッドを用意せず、ノートの隅や付箋で十分です。

ICT機器や意思表示カードを使う必要はまったくありません

 

もちろんその子の希望とか、最も使いやすいとか、積極的な理由があれば話は別です。

症状が重く、話せることを目指すよりも代替手段で参加できることが大事という子もいます。

 

個々の状態や必要性、有効性をよく考えて、最適な手段を選びましょう

 

 「話せる子」だと説明する 

これはかなりお勧めの方法です。

クラスの子たちには、「話せない子」ではなく「話せる子」だと説明しましょう

 

これをする場合の唯一の注意点は「本人の了解を得ること」

関連する記事をこちらに書きました。

場面緘黙をクラスの子たちに説明するなら

 

 緘黙症状の改善に取り組む 

これが最もお勧めです。

 

いつも書いてますが、場面緘黙は治せます

「話せなくても困らない」状態を目指すのではなく、「話せる子」を目指しましょう

 

特に上記の<「話せる子」だと説明する>とセットで行うことが効果的です。

クラスの子たちに「本当は話せる子だよ」「今練習しているところだよ」と説明しましょう。

周りが「話せる子」だと思っていれば、話す練習は格段に進めやすくなります。

 

・本人は話せるようになりたいと思っている

・周りの子たちは「話せる子」だと思っている

・計画を立てて練習に取り組む

 

これだけの条件が揃えば、場面緘黙はすぐに治ります。