もしかしたら小学6年生が「最も場面緘黙を治しやすい年齢」かもしれない | 場面かんもく相談室「いちりづか」

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小6の1年間かけて話す練習を進め、

中学進学時に「話せる」状態を目指す!

 

 新しい環境で「話せる子」になる 

 

小学校高学年の子の相談で多いのは、「中学校で話せる」ことを目指すケースです。

というより、小学校高学年の子の相談なら必然的に「中学で話す」が視野に入ります。

 

小学校で「話せない子」になってしまうと、話したくても話せない状態が続きやすいです。

こういう場合に有効なのは環境を変えること

 

中学受験等で周りが「知らない人」だけになれば、話せる可能性が高まります。

この方法で場面緘黙を治せるケースはかなり多いです。

 

 成功させる可能性を高めるための準備 

この方法で心配なのは、「もし上手くいかなかったら」


もちろん「環境を変えること」だけで治るほど、甘くはありません。

(それだけで治ることもありますが)

 

「本人が中学で話すと言っているから」と、何も準備をしないのは絶対にお勧めしません

中学進学は1回だけのチャンスです。

ここで失敗したら「中学3年間も場面緘黙」になってしまうかもしれません。

 

このチャンスを成功させるように、できるだけ準備を重ねていきましょう。

 

私がお勧めする準備は3つ。


1.本人が「ここなら話せそう」という学校をしっかり選ぶこと

2.受験勉強

3.「初対面の人と話せる」ようになっておくこと
 

 どんな学校を選んだらいいの? 

緘黙症状の改善に向いている学校はどんな学校でしょうか。

 

中高一貫?カトリック系?小規模校?進学校?通信制?

これはよく聞かれる質問です。

 

正解は「本人次第」です。

その学校を見学したり、相談に行ってみたりしてください。

そして本人が「ここなら話せるかも」と思える学校を選ぶことが最も大事です。

 

「相談にいったら感触がよかった」

「教頭先生が丁寧に対応してくれた」

「場面緘黙の子のことをよく分かっている感じだった」

といった、感覚的な要素が大事だと私は思っています。

そのためにも何校か見学に行くことをお勧めします。

 

そして「受験勉強」。

当たり前ですがこれはとても大事です。

希望する中学校に行けなかったら元も子もありません。

 

 学区外の中学校にも行ける 

田舎で中学受験の選択肢がない、などのケースもあります。

こういうときは「学区外の公立中学校」という方法もあります。

 

「学区外の公立中学校に行けるの?」と思う方もいるかもしれませんね。


「学区」というのは市町村の教育委員会が便宜的に定めているものです。

ただし絶対的なものではなく、ほとんどの場合いくつかの事情による「例外」を認めています

詳しくは地域によってルールが異なりますが、正攻法で交渉できることは多いです。

(正攻法で上手く行かない場合の裏ワザもありますが、ここには書きません)

 

例えば東京都新宿区の場合、病気やいじめ、家庭の事情など9種類の事由が設けられています。

指定校変更について(新宿区内からの学区外就学)

緘黙症状の改善も事由として十分成り立ちますので、手順を踏めば認められます。

おそらく全国どこの市町村でも同じだと思います。
 

コストもあまりかからないので、ケースによってはかなりお勧めの方法です。

 

 同じ小学校から進学する子がいないか心配 

せっかく中学受験しても、「同じ小学校から行く子がいたら」というのは心配ですね。

これは何人行くかなどの条件で変わってきますが、基本的には大丈夫です。

 

10人程度までだったら、中学校にお願いして「違うクラス」にしてもらえばいいのです。

もし中学校が6クラスあれば、同じ小学校の10人と違うクラスにするのは簡単なことです。

(もう少し多かったらまた事情が違ってきますが、それは割とレアなケースでしょう)

 

「私立中学校にそんなことお願いできるの?」と思いますか?

ここは伝家の宝刀、「合理的配慮」があるので全く問題ありません。

(合理的配慮についてはこちらをご覧下さい:外部のページです)

 

 「初対面の人と話せるようになっておく」 

緘黙症状の改善という視点からは、ここが最も大事です。

せっかく環境を変えてスタートしても、そこで話せるようにならなければ意味がありません。

 

4月に中学校生活が始まって最初の「自己紹介」で声がだせること

ここに目標を定め、しっかり練習していきましょう。

 

できれば小学6年生の1年間をかけて、しっかり計画を立てて練習していくのがお勧めです。

 

前に同じような趣旨でこんな記事を書きました。

中学進学を「ギャンブルにしない」

これは本当に大事です。

 

他にもまだまだできることはあります。

たしかに小6が「最も場面緘黙を治しやすい年齢」かもしれない。

そんな風に思いませんか?