苦難の旅路。
故なく、ただ歩み続ける者。
☆
念のため「苦難の」を付けた。
ただの「旅路」だと、近所のバス停から行く気楽な物見遊山と混同されてしまう。
最初は意気揚々と(あるいは止むなく)[家|ホーム]を出たのかもしれない。路銀を抱き、宿に着いたのもつかの間、宿を焼け出され、共の者は逃げ出す。
河を渡り、どうにか次の宿に着くが、落ち着かない。少しは良いこともあるが、結局得たものは失われる。
旅行なんて興味ないや、という人も決して[他人事|ひとごと]ではない。
すべて人は、生まれ落ちてからこの方、時間あるいは人生という旅路を旅させられているようなものだからだ。
好むと好まざるとにかかわらず、である。
目的はわからない。
理由もわからない。
ひょっとしたらそんなもの、最初からないのかもしれない。
