ミケ様
またちょっとコマーシャルです。
「大きな樫の樹の下に」の続編を書きました。
「ミネリの銘板」というタイトルです。
ほんとうは続きを書く予定はなかったのですが、1年くらい前からちょこちょこ書いていたら、お話にまとまりました。
よろしければご笑覧いただければと思います。
以下、遊星出版からのリンクページに載せた紹介文です。
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本作「ミネリの銘板」は、「大きな樫の樹の下に(旧題「ホノワール・オモタ氏のほんとうのこと、または、でたらめのお話」)」の続編です。
この二冊の間には「ほんとうのこと、または、でたらめの書」という本があります。この本は、お話ではなく「大きな樫の樹の下に」に登場する占いの本を再現したものです。これは実は易の本で、実際に使っていただけるように書かせていただきました。
「大きな樫の樹の下に」を書いたときには、続編など書くつもりはまったくありませんでした。この作品ははそれだけで完結した大人の童話のつもりだったのです。読んでいただいた数少ない読者の方のひとりに「で、続きは?」と言われたことがありました。
もうずいぶん昔のことです。
ずっとその言葉がひっかかっていました。
コロナ禍で時間ができたこともあり、ひっかかっていた言葉がだんだんカタチになって、できあがったのがこのお話です。
「大きな樫の樹の下に」の世界では「カタドウリ」と「カタ」という二つの国がお互い不可視の関係で対になって存在しています。このふたつの国をむすぶのは「エーテル」の流れで、「エーテル」が滞りなく循環することで、このふたつの国は存在しています。主人公は「カタドウリ」に住む技術者で、彼がある日偶然に、彼にとっての異界である「カタ」にいってしまい、そしてこれも偶然に、ふたたび「カタドウリ」に帰ってくるお話でした。
今作、「ミネリの銘板」では主人公は「カタ」の若者(といってももう三〇歳)で、舞台も「カタ」を出ることはありません。ほぼ彼自身のお話といってもいいと思いますが、この彼……ミオ君はフリーターみたいな感じで、自分の天職は占い師だと信じてはいるのですが、それ以外はカラッポという、まあ……変わり者ですね。
ミオがトラブルに合いそうになり、そこを自分の叔母ほどの年上の女性に助けられ、この女性と知り合ったあたりから、話はちょっと奇妙な方向に流れていきます。
この女性は自分は魔女で、ミオに自分の弟子にならないかと誘うのです。彼女が「ミネリ」というわけですが、ミオはどうなるのか、ミネリの正体や如何に……?
といったところは……お読みになってみてください、ということで。
この続編でも「カタドウリ」と「カタ」のバランス、そして「ほんとうのこと、または、でたらめの書」という本そのものが、カギになっています。
世界や自分というものがいったいなんなのか、といったことも重要なテーマです。
もちろんこの小著で、そのような遠大な問いに答えることなど到底できませんが、そういったことに思いをはせるよすがくらいにはなるかもしれません。
本作「ミネリの銘板」は「大きな樫の樹の下に」の続編ですが、いちおう本作単独でもお読みいただけるよう配慮はしたつもりです。
もしご興味とお時間があれば、よろしくお願いいたします。