ミケ様
にゃんこ先生です。
長いこと続けてまいりました「ミケさんへのメール」のテーマですが、終盤を迎えつつあります(まだ終わりじゃないですよ(笑))。
最後に「ホロン」と「自分の境界」のお話をさせていただいて終わろうかと思っております。
まあでも、1回じゃとても終わりませんが。
☆
ホロンの話をします。
駒込の(学芸大学だったかな)易の会でも、大昔にホロンの話をして「風と羅針盤」の中でも説明してはいるんですが……
イマイチ伝わった感がなかったこの話。
にゃんこ先生の理解が足りないことと説明が悪い(ヘタ)ことが原因です。
そのようなわけですので、今回もウマく説明できるかどうかわかりません。
しかしながら易システムにとっては重要な概念なので、ポイントだけ説明します。
☆
ホロンはアーサー・ケストラーが「機械の中の幽霊」で提唱した「単位」です。
じつはにゃんこ先生はこの本は読んでいなくて、ケン・ウイルバーの著書で知りました。
ウイルバーはケストラーのホロンの考え方を掘り下げて、さらにそれを拡張しています。
ケストラーでもウイルバーでも基本はおなじことで「階層」を成り立たせている「単位」をどのようにとらえるか、というお話になります。
「階層」。
にゃんこ先生は大大昔、コンピューター屋だったから昔のプログラムのたとえになりますが「階層」といえば、下のような感じになります。
【fig069 一般的な階層概念(古い概念)】
ABCはソフトウエアのモジュールです。
Aの中でBとCの機能を呼び出して、Aは自分のやりたいことを実現している、そんな図です。
「使う」方が「使われる」方より、レベル(階層)が高いとみなされます。
「ああベンスン。お客様にお茶を」
「かしこまりました旦那様」
召使いより主人の方がエライ。
主人は召使いを使役するからです。
絵でいえば「レベル2」(呼び出す方)の方が「レベル1」(呼び出される方)方より「上」なわけです。
これはこれで上とか下とかがすぐにわかるという点では都合がいい。
自分がどのレベルにいるか(どのモジュールなのか)それさえはっきりしていれば、ヤツがオレより上か下か、もっと簡単にいえばエライかそうでないかがすぐにわかります。
古い会社とか軍隊とか警察とか身分とか封建制度とか教会支配型の家父長制度とかそういった組織の構造ですね。
序列といってもいいかもしれません。
とくにオトコはすぐにそういう序列の中でものをとらえがちです。だからすぐケンカします。
少しでも上にいくことが正しい(有利)と思ってるからです。性分ですね。
☆
そのような階層のとらえかたは階層そのものに動きがありません。構成員が上にいったり下にいったりはありますが。
静的(スタティック)っていうか、ものの観方としてちょっと硬直的です。
「支配」したい人たちにとっては都合がいいと思います。支配する側としては枠組みが柔軟(フレキシブル)ではやりづらいでしょう。
でも、自然の階層はフレキシブルです(*)。
人為的なコントロールとは対極にあります。
生命の階層とか、進化とか、内的成長とか、あるいはそれらが一見、退化、後退、瓦解するように観える動きとか、単位間コミュニケーションとか(そしておそらく時間もこの中で発生する)。
そういったもろもろの、動きのある実際の宇宙の「階層」。これを「階層」といっていいのかわかりませんが、これらの様子をとらえるやり方としては序列モジュールは、あんまり適当とはいえなさそうです。
実態としては、序列モジュールではとらえられない、もっとフレキシブルで、もっと変化に富んだ動きもそこにはあるはずです。
それをとらえるやり方として、どうして従来のモジュール形式の階層のとらえ方が適さないのかというと……
それはつまり「階層」をとらえる基本になる「単位」のとらえ方が適切じゃなかったからかもしれない……
そこのところが、ホロンというものが登場する背景だったんじゃないでしょうか。
じゃ、より「自然(実態)に即した」構成単位のとらえ方とは、いかなるものか?
それはまた次回から。
ではまた。
★注釈
*
じゃあ「食物連鎖」は自然の「序列」ではないのか?
あのたぐいはどちらかというと、旧式の階層の概念を自然のごく一部の側面に無理に当てはめたものの観方のような気がします。
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