え~とすいません、宣伝です。
このたび「遊星出版」と名付けた架空の版元からということで、
「ほんとうのこと、または、でたらめの書」
という私家版の本をリリースしました。
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この本は「大きな樫の樹の下に」という拙作ファンタジーに登場する占いの本です。
この本単独でご利用いただけます。
読む本ではなく使う本です。
「大きな樫の樹の下に」は「ホノワール・オモタ氏のほんとうのこと、または、でたらめのお話」というタイトルでした。2013年の9月に1ヶ月くらいで書いたものです。
その後少々推敲して2020年の3月に文庫版をリリースしました。「大きな樫の木の下に」というタイトルは文庫版になってからのものです。
内容はホノワール・オモタ氏というサラリーマンが異界に往って還ってくるという、易の原理がベースになったお話です。
作中、主人公のオモタ氏は「ほんとうのこと、または、でたらめの書」という占いの本を古本屋で偶然入手します。
これが実は易の本なんですが、一応ファンタジーのつもりで書きましたので、現実の易の述語は一切使っていません。
八卦のことは「しるし」、大成卦のことは「もよう」、ツイストペア(裏卦・錯卦)のことは「反転対」などと呼んでいます。
原典は古代の為政者が個人的に使っていた出所不明の占術書という設定になっています。
「大きな樫の木の下に」で主人公オモタ氏はサイコロを使って何度か卦を立てますが、これらの卦はお話を書きながら、ぼくがオモタ氏になりかわって実際に立てた卦です。
自分でサイコロをふってびっくりしたんですが、話運びとドンピシャの卦が出て、あらためて易のすごさを感じた覚えがあります。
「ほんとうのこと、または、でたらめの書」は「大きな樫の樹の下に」の続編……というよりも、スピンオフということになるでしょう。
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作中人物(シンダイ教授)の口を借りて、使い方も説明してあります。
使い方の説明では特定の卦を一貫して例としてあげていますが、この卦も「ほんとうのこと、または、でたらめの書」を書きながら『例としてはどの卦が適切でしょうか』と問い、ぼくが実際に立てた卦です。
全部で270ページくらいありますが、読み物としては「使い方」を含めて最初の60ページくらいで、残りは六十四卦のリファレンスです。この最初の60ページくらいの部分は、丸ごと立ち読み版として製本直送さんのページにアップロードしてあります(13MB近くあります)。
ファンタジーというかたちをとることで、伝統や実占における慣習的なしきたり・解釈にとらわれることなく自由に書くことができました。
もし実占家の先生が見たら、眉をひそめられるような部分や、コノヤローはもう一回ちゃんと易を勉強したほうがよさそうだな、と思われてしまうような部分も多々あることかと思います。
そこは「フィクション」ということで、どうかご勘弁ください。
もちろん「フィクション」であれば、なんでも許されるわけではありませんが。
「自由に書く」一方、実際に使ってもらうことを考慮していますので、伝統(原典)からはそう極端には逸脱していないと思います。
本の中で作中人物のシンダイ教授も述べていますが、もしご興味があれば、是非とも原典にあたっていただければと思います。
幸い私たちの世界ではシンダイ教授がいる世界ほど原典(易経)は高額でもなければ入手しづらくもありません。
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あと、おそらくひっかかるであろう点は「エーテル」という言葉が頻出することです。
スピ系一般で言うところの物質体の鋳型またはラッパー(wrapper)としてのエーテル体の「エーテル」とは別もので、そういったものも「すべて」ふくんだ、ありとあらゆる存在の基材、といった意味合いで用いています。
物質以前の原物質のようなものでもあり、そういう側面からすれば「気」に近いのかもしれません。
「大きな樫の樹の下に」ではエーテル・ラジオというものも出てきますので、電波のように思えるかもしません。その側面からいえば、エーテルは「光」であり、「光」はすべての基盤です。
エーテルそのものについては作中でも明確な説明はありません。そしておそらく説明もできません。そんなことからすれば「タオ」「ひとつのもの」のようなものなのかもしれません。
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先にも書きましたが、この本は「大きな樫の樹の下に」のいわゆる「続編」ではありません。
物語の続きは現実でこの本を使うことによって読者様自身に紡いでいただくもの……そんなつもりで書きました。
人生RPGです。
サイコロふってよい旅を。
それでは道中、お気をつけて。
→遊星出版
(作品解説はこの記事とほぼイコールです(手抜きです))