Kさんに荷物をだして
郵便局から駅に向かう途中スズメがいた
電話ボックスに閉じ込められて
最初はチョウかなと思ったけど
上半分しかないドアの
空いている下半分から
ガラスばりのボックスに
入り込んでしまったらしい
しきりにはばたき
ガラスにぶつかり
飛び立とうとしている
ガラスの向こうへ
ボックスに入って中から
上半分の扉を開けてやる
けど相変わらず反対にむかって
ジタバタ
しっしっと
外に開いた方に誘導してたら
勝手にスズメは出てった
どういうふうにだかは見落とした
カンダタ(*1)したなアと思いつつ
駅に向かって歩いていたら
鳥が一羽降りてきた
あまり身近にはこない鳥
すぐそばの
柵の上に降りてきて
首を傾げて
しきりにこちらを見ている
スズメより大きな茶色っぽい鳥
鳥も花も樹もその名前など
ほとんど知らないオレは
ほとほとザンネンなやつ
鳥はしばらく
歩いているオレが
さわれそうなくらい近くにいた
あとから思いついたことがある
あの鳥は
スズメから伝言されて
わざわざ
礼を言いにきた
考えてみればばからしい
オトギ話のような想い
けどあっていいんじゃないか
たまにはそんなことも
今はそんなふうに思ってる
(*1)カンダタ
芥川龍之介、蜘蛛の糸
