26:困
73:賁
TP24:内面と外面
☆
このゼンタングルはどちらも中央がくびれた砂時計のような格好をしている。
砂時計ともとれるが、女性の身体のようでもある。
困はエネルギーが漏れることによって、活力不足に陥ってしまった状態をあらわしている。

【26:困】
タングル上では砂時計と同じく、上から下へ活力が落ちて(漏れて)いく様子をあらわしたつもりだ。
易卦の方も上が沢で水をたたえている場所だが、下は坎、水そのもので上から下へ水が流れ落ちている。
といわれても、易のシンボルになれていなければピンとこないかもしれない。
このゼンタングルが少しでも、易卦の理解の助けになっていればいいのだが。
砂時計の上は真珠の珠のようなものでフタをされているようにみえる。
この人(かどうかわからない。組織かも知れない。預金口座かも知れない……etc、etc。それが何なのかは占的による)は、活力が漏れてエネルギー不足になっていることを、飾りたてることによって外から見えなくしているのだ。
というわけで、話は「賁」、飾ることへと進んでいく。

【73:賁】
「賁」は飾りである。
タングルは砂時計のカタチがいかにも飾られているように描いた。
その飾りも少しずり落ちて、黒い影のような本体が見えかけている。
「賁」を見るといつも思い出すのは、夫の海外転勤に同行しなければならなくなったある女性を占った時のことだ。
女性はぜんぜん乗り気でなくて、友人や知人の多い日本にとどまっていたいというのがその時の本音だった。
転勤することになるのか?
というのがシンプルに占的だった。
そのとき出たのが「賁」だった。
「賁」の字をよく見ると「貝」の上に「十」のような文字が重なってみえる。
この十の重なりは貝のきらめきをあらわしている。
貝のキラキラ。
ゆれて光を反射して貝がきらめいているのだ。
貝はその昔、装飾品だった。
持ち主の身体にくっついて、その身体の動きにあわせて、きらめく。
「賁」という回答が意味しているのは、ことこの占的に限ってという話になるが、相談者が(言葉は大変よくないけど)添え物=飾りの立ち位置にあるということだ。
飾りは本体にくっついて動いてはじめて飾りの役割を果たす。
転勤の命令は下る。
その転勤には同行せざるをえないだろう。
そう答えた。
かなりがっかりされた様子だったのを今でも覚えている。
で、そのようになったのだが……
占者として「当たった!」とか言って喜んでいいものかどうかは微妙だった。
数年当地に滞在してもどってこられたが、向こうで友人知人もたくさんできて、最初に思ったほど悪い転勤ではなかったらしい。
まんざらでもないどころか、最後には日本に帰るのがいやだったというくらいだから、吉凶というものがいかに相対的であるかわかろうというものだ。
まあ吉凶なんて、占断の本質に比べたら添え物、飾りのようなもの、刺身のツマだ。
ぼくは刺身のツマには手をつけない。
昭和ヒトケタのうちのお袋は、「もったいない!」とか言って醤油ぶっかっけて全部食っちゃうけど。
☆
「ゼンタングル」、「易タングル」については、「六十四卦雑想ーはじめに」を参照してください。