いちおう前回で、
このシリーズのお話は終わっています。
蛇足。
なのはわかっていますが、
もうひとつ、以下のお話をさせていただいて、
このシリーズをしめくくりたいと思います。
☆
「反転」を経なければ次の段階にすすむことはできない。
同じレベルに捕われつづける。
「反転」を通過することは、天地がひっくりかえるようなことで天地がひっくりかえって結局、当たり前になるのかもしれないが、そんなようなターニング・ポイントである。
留意しなければならないのは大成卦が逆立ちする「反転」は、単に符号上の話であって、実際に起きる上述のような経験としてのターニング・ポイントとは別物であるということだ。
符号は符号だ。
地図は現地ではない。
易システムという地図と、実際の経験である現地をむすぶ架け橋は「占うこと」である。
ベースになっている易経自身がまずは占筮の書だからだ。
正八面体を大成卦と照らし合わせながらこれまで長々と進めてきたお話も、占術に応用できなければたいした意味はない。
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そこで反転を「起こしやすそうな」大成卦のグループを設定してみることにした。
特定の大成卦は占者の観たてによって、ある状況になったり、ある個人になったり、ある出来事になったりする。
「大成卦と正八面体」シリーズのスタートは一生に一度の問い、「私(人間)っていったいなんなの」から始まった。
その問いの回答としての大成卦にフォーカスしてお話おを進めてきた。
だからとりあえずは、大成卦=個人という観たてになるだろう。
そうすると「反転」を起こしやすそうな大成卦のグループとは、「反転」を起こしやすい人のタイプということになる。
実際の占術では、そんな意味あいで参照してもらうことにしよう。
では、どんな卦がそのグループに入るのか。
ここからは符号的な話になる。
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「反転」は以下の図では、
まず、図の真ん中が「谷折り」になって、
大成卦でいうと、三爻と五爻、二爻と四爻、そして初爻と上爻が「引き合って」折りたたまれて、さらに反転……倒卦(リバース)になる過程である。
「引き合う」のは異符号どうし。
陰と陽の組み合わせ……レガシーでいう応じた関係である。
三爻と五爻、二爻と四爻、初爻と上爻が「応じている」易卦を選ぶ。
ダイヤグラム上、初爻と上爻の組み合わせはもっとも離れているので(働く力が弱いので)この組み合わせを除外する。
そうすると、「谷折り」の線をはさんで向かい合った、三爻と五爻、二爻と四爻が「応じて」いる易卦が、とりあえずは反転しやすい易卦ということになる。
二〜五爻のうち、下半分、二爻三爻の陰陽の組み合わせは次に示す4つのパターンである。
【(1) 二爻三爻の陰陽の組み合わせ】
(1)に「応じる」四爻五爻を上乗せすると次のようになる。
【(2) 二爻三爻の全陰陽パターンとそれに「応じる」四爻五爻の組み合わせ】
「反転」を起こしやすい大成卦とは、二〜五爻が上図のパターンになっている大成卦ということになる。
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大成卦の中核(*1)ともいえる二〜五爻のカタマリである(2)のパターンそれぞれに、初爻、上爻のパターンとして(1)のパターンを組み合わせると、4×4で、16種類の大成卦ができる。
その組み合わせを次に示す。
これを「反転のマトリクス」と呼ぼう。
【反転のマトリクス】
この16の卦が「反転を起こしやすい」大成卦のあつまりである。
先に、除外して考えた初爻、上爻が陰陽で「応じて」いる大成卦は、なかでも「特に」反転を起こしやすい大成卦ということになるだろう(真ん中の2列)。
マトリクス中、「R」とあるのはリバース(倒卦)の関係、「I」とあるのはインバース(裏卦、ツイストペア)の関係、「IR」とあるのは、インバースであり、かつリバースである関係の大成卦である。
レガシーにおける大成卦の序列では、原則リバースの関係にある大成卦が対になって並ぶが、リバースかつインバースの関係にある対は「反転のマトリクス」における中央2列、「特に」反転を起こしやすい8つの大成卦(IR)となっている。
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このシリーズのお話も長くなっているけど、それでもそのお話がなくて、最初からいきなりこの図だけを見せられても「ふーん」といったところだろう。
いかにシンプルな構造であっても、いや、シンプルであればあるほど、そこに至るまでの「物語」が大切なのではないだろうか……そんなふうに思う。
さて、新しい地図の誕生だ。
あなたの大成卦はどこにあるだろう。
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*1) 大成卦の中核
この二〜五爻のカタマリは、互卦の母体でもある。
互卦は、易システムの文脈ではその大成卦の「本質」。
互卦は、銀河ツールでいうところの「還元コドン」。
梅花心易では互卦を使って占う。



