大成卦と正八面体9 — ウロボロス | ぼくは占い師じゃない

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易経という中国の古典、ウラナイの書を使いやすく再解釈して私家版・易経をつくろう! というブログ……だったんですが、最近はネタ切れで迷走中。


長々と続けてきましたこのシリーズも次回で最終回です。
よろしくお願いたします。

さて今回は、前回のお話をもう少し。

(前回……といっても
ずいぶん間があいてしまいました。
ふりかえってみたら前回は2月。
「後天動因図」とか「占例」とかで
遊んでましたからねぇ)

   ☆

お話は、正八面体とはずいぶんかけ離れてしまった。

ダイヤグラムとしては「すべて」つまり「本源(*1)」を一本の線としてしまっているので、正八面体だろうとなんだろうと、結局はその一本の線の「たわみ」にすぎなくなってしまう。

なぜそのような「たわみ」が生じたかというと、たわんだ各頂点から、もともとの一本の線を改めて眺めてみたいという宇宙の衝動があったからである。

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【正八面体様にたわんだ一本の線または円環の無限小の一部】

その線は実は巨大な円環(スパイラル)だったのだが、この円環はウロボロスがシッポを飲み込むところで閉じる。
スパイラルとしては、もう一段深度を深める。
またはステージを一段高める。

ryuuring

【ウロボロス(「易システムハンドブック」の表紙より)】

ウロボロスが、自身のシッポを飲み込むということはどういうことだろうか。
そこではなにが起こっているのだろうか。
シッポの方から観てみる。

「反転」が起こると、一個の人間=大成卦はその「自己の境界」
を広げていき、「自己」はひとつの大成卦では収まりきらなくなり、その範囲はFO:地球意識、そしてSO:太陽系意識へと拡大する(以下の各図は「風と羅針盤」より)。

fo

【FO。ひとつの円には4つの大成卦が所属する。全64卦(*2)】

so

【SO。ひとつの円には4つのFOが所属する。全64卦(*2)】

そして、アタマがシッポをくわえこむ。

TO=サード・オーダー、日常的な感覚からは、このレベルは「超マクロ」に観える。
「TO:銀河意識」においては、この宇宙のすべてによるすべての経験は、たったふたつのホロン(*4)におさまってしまうからだ。

「反転」=再創造の始動によってなにが起こるかと言えば、この「マクロ」は「ミクロ」に、再創造段階におけるもっとも小さな、もっとも基本的な構成要素、陰と陽、両儀にたたみこまれてしまうのだ、と、言い切ってしまっていいものかどうかは……

わからない。

ぼくの勝手な夢想だ。

to

【TOというシッポと、シッポをくわえる「両儀」というアタマ】

FO、SO、TOをマスターマトリクス上で示すと次の絵のようになる。

fosotoo


FOは中心から四隅に広がっていくように定義される。
(各セルの右肩隅の「FOn、n=1~16」)

SOは中心の水平線から上下に広がっていくように定義される。
(茶、青、緑、黄で色分け)

TOは左側に示した四元素単位で、外側がTO2、内側がTO1なっており、「風と羅針盤」においては、女性原理・男性原理の、統合原理という観方をしている(*3)。

その意味は……

ひょっとしたら、「この宇宙」における女性原理と男性原理は、再創造における宇宙の素材として次の宇宙のためにパッケージングされる……ということなのかもしれない。

全宇宙が、陰と陽につめこまれている。

その素材を使って、次の創造がなされる。
次の宇宙の再創造で新しい「大成卦」が創られる。

ということは、今、この宇宙における陰と陽には、これまでの宇宙における、すべての構成要素の、すべての経験が、すべての情報が、つめこまれている……とはいえまいか。

創造、情報のパッケージング、再創造。
再創造された情報のパッケージング、そしてまた創造。

たぶん一瞬の休みもなく、今も、私たちの両儀の中で、あるいはまた、私たち自身が新しい「宇宙」の「両儀」となって……

この活動は不断になされている。

両儀が八卦になり八卦が大成卦を構成し、さらに大成卦をこえてゆく「上」にも、その創造の素材であった両儀、「下」にも、無限である。

とてもイメージや、想像が追いつく話ではないが、それでも、わたしたちの「心」はそのすべてを収容することができる。

「心」は決して、物質の狭間に偶然生じた、物質の属性などではない。
物質も時間も空間もありとあらゆる宇宙も、すべてを包含する「背景」である。
この「背景」は無限である。
どこにでもある。
あるいはまた、どこでもない。
そこでは何も「死なない」。
なぜなら、そもそも何も「生まれて」いないからだ。
大切なことは、その「背景」はあなたでもあるということだ。

hanten-kokoro

【一般的な常識(左)とその反転(右)】

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*1 本源
宇宙の宇宙。「すべて」のはじまり。
ここでいう「すべて」とは、わたしたちがくらすこの宇宙も含めた、(あるとすれば)他のすべての「宇宙」の大本という意味。

*2 全64卦。
これは変わらない。
この宇宙に入ってきたものも出て行ったものもいない。悟空があばれたお釈迦様の掌(たなごころ)。

*3 統合原理
一般的にいって火(太陽)と風(天)は男性原理であり、水(太陰、月)と地(大地)は女性原理である。
したがって、TO1、TO2 はそれぞれに男性原理、女性原理が配分されていることになる。

*4 ホロン
易システムにおけるホロン構造を以下に示す(「風と羅針盤」より)。
図で「生命場」とあるのがFO(ファースト・オーダー)、幅=4単位・深度=96ビットにあたるのが、SO(セカンド・オーダー)、幅=2単位・深度=192ビットのレベルがTO(サード・オーダー)である。オメガポイントは宇宙そのもの、本源。
本記事においては、最終的にはオメガポイント=「人間」であるといっちゃったりしている。

holon-eki

【易システムにおける符号的ホロン構造】