「マリアの公理」というものがあるそうだ(*1)。
伝説の女錬金術師、予言者マリアが残した公理、ということで、練金術の分野では有名な「公理」だそうだが、ぼく自身はユングの著作の中で初めて知った。
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「伝説の女錬金術師、予言者マリア」なんていうとアニメの設定みたいだが、実在の人だったようで、彼女が残した「公理」とは、次のようなものである。
One becomes two, two becomes three, and out of the third comes the one of the fourth.
「一は二となり、二は三となり、第三のものから、第四のものとして、全一なるものの生じ来たるなり」
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さて、「大成卦と八面体」シリーズでは、ひとつの大成卦をひとつの正八面体にあてはめて遊んでいる。
この大成卦が、初爻~上爻までの積み上げ式に創造されたと観た場合、その様子は、次のように正八面体をたどる、とした。
【初爻~上爻まで。積み上げ式】
上の図は「大成卦と八面体」シリーズの最初に提示させていただいた絵だが、矢印はシンプルに下から上へとジグザグに昇っていく。
もちろんこれが悪いというわけではなく、レガシー(*2)においてはこれが基本だし、「創造の6ステップ」もこの行程を踏襲している。
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「マリアの公理」を知ったとき、全体に謎めいてはいるけど、もしこれが、正八面体=大成卦の成り立ちを説明しているとしたら、どうだろうかと想った。
そんなわきゃあねえだろ、「マリア」さんは易システムなど知らなかったはずで、大成卦なんかとは関係ない!
……それはそうだが、ここでいう正八面体に対応した「大成卦」は、ひとりの人間/ひとつの宇宙である。
「マリアの公理」が、マクロコスモスだけでなく、それに相似なミクロコスモスの成り立ちも説明するものだとしたら、正八面体=大成卦のダイヤグラムの成り立ちに適用してみるのも悪くはないだろう。
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「マリアの公理」は、数字としては1~4までについてしか語っていない。これを単純に初爻からあてはめても四爻までしか手が届かない。
つまり、積み上げ式の考えではダメで、アプローチを根本的に変える必要がある。
そこで、スタートを初爻と上爻の2カ所にとって、上から、そして下(初)から同時に創造は始まったとしてみる。
【一は二となり(One becomes two)】
【二は三となり(two becomes three)】
【第三のものから、第四のものとして、全一なるものの生じ来たるなり(and out of the third comes the one of the fourth.)】
上と下からきた創造の行程は、正八面体の水平断である正方形の中心で出会う。
この正方形こそが、「第四の」、「全一なるもの」、人間の本質……とは観えないだろうか。
真ん中の正方形が、人間の本質である……って、
結局、前回の「天人地」の話と同じことを書いている。
結論としては同じなのだが、洋の東の「三才観」と、洋の西の「マリアの公理」が一致を観せるところがおもしろい。
しかも、「マリアの公理」ではその第四のもの、人間の本質が、新しく生じた「全一なるもの」であるといっているようにみえる。
次回は、その「全一なるもの」をもう少し掘り下げてみたいと思う。
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*1 タレントの山田まりやさんがずいぶん以前に書いた「まりやの基準」という本があるそうだが、多分関係ない。
*2 レガシー
「易システム」以前の、「易経」やその周辺ドキュメント、慣習的解釈によって意味づけられた「易」。いわゆる「伝統的な解釈」。




