太陽の上昇・月の下降 | ぼくは占い師じゃない

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もうひとつの「聖婚のダイヤグラム」のお話です。
よろしくお願いいたします。

   ☆

なんらかの事象が起こっているとして、
いかなる事象であれその事象にはかならず、
眼に見える側面と、眼に見えない側面とがある。

通常話題にされるのは眼に見える側面であり、
眼に見えない側面が取りざたされることは、
ふつうは、ない。

ぼくはプロの鑑定家ではないけれども、
たまには相談者がいる状態で占うこともあって、
そこで「83:地火明夷」という卦を得たことがあった。

「明夷」は大地の下に太陽が隠れたカタチである。

伝統的な易ではそんな観方はしないと思うが、
もしこの太陽=「離」がだんだんに昇ってくるとしたら、
そのパターンはどんな意味になるだろう……

そんなことを想った。

「明夷」の下卦である太陽を象徴する「離」が、
全陰の「88:坤為地」を「図と地」の「地=背景」として、
ひとつずつ爻位あげていくとしたら……

状態遷移のパターンはシンプルなもの。

それは「明夷」からはじまって、
「解」→「蹇」→「晋」とすすむ。

ph1

【坤為地を背景に離(網かけ部分)が上昇】

で? そこから先は?

太陽(「離」)は地(「坤」)の上に昇りきって、
「38:晋」となっておしまいなのだろうか。

そんなはずはないだろう。

「晋」は「すすむ」の意味であって、
夜はまだ明けたばかりといった段階である。
地平線(坤)の上にようやく頭をみせはじめた太陽(離)。
先があってしかるべきだ。

ところで、「易システム」においては、
すべてはなんらかのルールにおいて対称である。

「88:坤為地」を「地」として昇りきった太陽(「離」)は、
今度は「88:坤為地」と対称(インバース)である
「11:乾為天」を「地」として上昇を開始するとしたら……?

だとしたらこんどは、
「地」が乾で太陽(「離」)が一番下にある象、
「13:天火同人」からスタートすることになる。
太陽は「11:乾為天」を「地」として
一段階づつ爻位をあげていく。
その様子は次のようになる。

ph2

【乾為天を地に離が上昇】

最後は「31:火天大有」。これより上はない。
太陽(「離」)は、なにしろ天(「乾」)よりも高く
昇ってしまったのだ。

「明夷」から「大有」まで、

「離」が、
「坤」を地として、
次に「乾」を地として、
上昇していく様子を眺めてきた。

いままで述べてきたのが眼に見える側面だ。

易システムではすべては対称である。

眼に見える側面における運動には、
眼に見えない側面における運動がともなう。
この場合、眼に見えない側面では
どうなっているのだろう。

そこでは「離」と対称(インバース)の「坎」が、
まず「乾」を地として、次に「坤」を地として、
この「裏側」の流れでは「下降」していた
……と想像することはできないだろうか。

その様子は次のようになる。

moondown

【坎(月)の下降】

「離」(太陽)の上昇と、「坎」(月)の下降。
この上昇と下降をあわせて表現すると、
たとえば次のようになるだろう。

seikon2

【太陽(離)の上昇とその背後で同時におこる月(坎)の下降】

以下、簡単に図の観方を。

スタート地点は、「83:地火明夷」。
図では左下の白い太い矢印で示してある。

ここから「地」を「88:坤」として
「離(太陽/硫黄)」が上昇していく段階が
図上で「Ph1」と示した部分である。

「Ph1」はその後、「地」を「11:乾」として
「離」が上昇していく「Ph2」に移行し、
最終的には角丸四角形で囲った「31:火天大有」に至る。

一方、
「Ph1」→「Ph2」の流れはその背後で全く同時に、
「Ph1'」→「Ph2'」の流れを生む。

「Ph1'」のスタート地点は、「61:水天需」。
図では右上の破線の矢印で示してある。

「Ph1'」は、「地」を「11:乾」として
「坎(月/水銀)」が下降していく流れであり、
「Ph2'」はその後、「地」を「88:坤」として
「坎」が下降していく流れで、
最終的には角丸四角形で囲った「86:地水師」に至る。

対称性はいたるところにみられる。
(ていうか、そのように描いたのだが)

まず、各大成卦は破線でつないだ大成卦どうしが
ツイストペア(裏卦)の関係。

太極図を中心に実線でつないだ大成卦どうしは、
「離の上昇」、「坎の下降」というプロセスの
各段階において表裏対応する。

図の上半分は、「地」=「11:乾」、
下半分は、「地」=「88:坤」の領域である。

左半分は「Ph1」→「Ph2」=離(太陽)の上昇、
右半分「Ph1'」→「Ph2'」=坎(月)の下降の領域である。

各大成卦の傍に付けた白丸と黒丸は、
白丸が上昇する「離」の位置を、
黒丸が下降する「坎」の位置をあらわしている。

さて、ここまでのお話では、
「離」の上昇は「83:地火明夷」からはじまって
「31:火天大有」に終わった。
一方、「坎」の下降は「61:水天需」からはじまって
「86:地水師」に終わった。

その次はどうなるのだろう。

錬金術的表現になるが、図では、
「大有」には角丸四角形で囲んで「花婿」
とコメントしてあり、
対する「師」には「花嫁」
とコメントしてある。
「師」は上昇し「大有」は下降して、
中央の太極図の所で出会う。

ヒエロス・ガモス。
聖なる結婚である。

seikon_messaage

【聖なる結婚と結婚により生まれる兄弟】

結婚は易システムでは「メッセージ交換」というかたちであらわされる。

ここでは、「大有」という父と、
「師」という母が結婚して、
「81:地天泰」と「36:水火未済」
という兄弟が生まれている。

大成卦の意味から「泰」は安定的に家を守り、
「未済」は「未だ済まず」で、未知の旅に出る……
と観ることもできる。

放蕩息子のが旅がまた新しくここから始まる。

   ☆

地火明夷から思いがけなく想像が広がってしまいました。
今回は少々穿ちすぎかもしれません。
聖婚の図のコメントは、
意識の上昇と無意識の下降という表現で、
一体に、心理学的・錬金術的表現になっています。
しかしこれらのコメントは、
あくまでこのダイヤグラムの観たての「例」です。
かならずこのように、
心理学的・錬金術的に観なければならない
という意味ではありません。

くりかえしになりますが、

このダイヤグラムが示しているのは、
「見えるプロセスの背後ではそのプロセスに呼応して、
必ず同時に見えないプロセスが働いている」
というシンプルな原理につきると思います。

ではまた。