われらその「呼吸」に帰依するもの | ぼくは占い師じゃない

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易経という中国の古典、ウラナイの書を使いやすく再解釈して私家版・易経をつくろう! というブログ……だったんですが、最近はネタ切れで迷走中。


ファーストオーダー 」では、 ツイストペアのツイストペアである、ファーストオーダーという易システム(*)でのオリジナル単位についてお話しさせていただきました。

今回はその続きで、ファーストオーダーのもうひとつの観方について、お話しさせていただければ、と思います。



   ☆

ツイストペアを構成するふたつの大成卦の間で「メッセージ交換」を行うと、もうひとつのツイストペアを生じる。

このツイストペアと、先のツイストペアを合わせて「ファーストオーダー」と呼んだわけだが、最初のメッセージ交換の結果として得られたツイストペアを構成するふたつの大成卦間で、さらにメッセージ交換を行うとどうなるだろうか。

これをやると、あとに生じたツイストペアは、また最初のツイストペアに戻るのである。

たとえば、「11:乾為天」と「88:坤為地」というツイストペアの間で、この操作を連続的に行った様子を以下に示す。

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あるツイストペアから、別のツイストペアが生じ、その別のツイストペアから、もとのツイストペアにもどる。

一連の動きとしてながめてみると、ふたつの状態を繰り返していることがわかる。

わかりやすい例として、「11:乾為天」と「88:坤為地」というツイストペアの例を図示したが、これは他のツイストペアでも同様である。

   ☆

易卦という符号の動きからすれば、こういう運びになるのは、当たり前といえば当たり前なのだが、ある状態からはじまって、別の状態になり、またもとの状態になる……というくりかえしは、吸気と呼気からなる呼吸を連想させる。

もとのツイストペアにもどることによって、もとのふたつの大成卦はそのカタチを維持しているようにも観え、それはすなわち、6つの爻という大成卦という組織を成り立たせている境界を維持する活動でもある。

「ファーストオーダー」では、ツイストペアがツイストペアを生じるファーストオーダーの発生要因を「メッセージ交換」に求めたが、上図のように観れば、これは「呼吸」のプロセスの一部と観ることもできる。

「呼吸」。

ぜんぜん科学的、学術的な定義ではくて、まったく感覚的なハナシなのだが、生命は「呼吸」するものであるともいえそうだ。
生殖によるメッセージ交換だけでなく、この「呼吸」も生命活動の主要な一部であるように観える。
また、そう観てもいいのではないか。

   ☆

メッセージ交換を行う、ツイストペアを成すふたつの大成卦の間には、さらにいくつかのグラデーションがある。
先の「11:乾為天」と「88:坤為地」の例でいえば、「11:乾為天」と「88:坤為地」の間に、変化のさらに細かいステップとなる大成卦が入る。

「11:乾為天」と「88:坤為地」のケースだと、そのステップも含めた全体は、伝統的な易でいう12消息卦(消長卦)になる。このステップには、メッセージ交換した結果生じたツイストペアも含まれる。「11:乾為天」と「88:坤為地」の場合だと、否と泰だ。

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こうなると呼吸というより、さらに時間的要素が加わった「周期」になる。

伝統的な易では、12消息卦は12ヶ月に割り当てられた。
12という数は十二支と容易に結びつくからだ。
消息卦はその概念をさらに拡張して、物事、事象が推移する過程と観られることもある。

全陰から全陽へ、さらに、全陽から全陰へとくりかえすプロセスはシンボルの外見的にも明白でわかりやすい。
だが易システムでは、伝統易のように「11:乾為天」と「88:坤為地」だけの間に周期を観ることはしない。

易システム的にいえば、「11:乾為天」と「88:坤為地」はツイストペアのひとつだ。

ツイストペアは、ある大成卦と、その大成卦の各爻の陰陽を反転した大成卦のペアであり、「11:乾為天」と「88:坤為地」のペア以外にも31とおり、全部で32とおりのペアがある。

それぞれが呼吸であり、それぞれに周期がある。
それぞれの周期の起点と終点、および、往路と復路の中間点にある合計4つの大成卦が、FOを構成する。

   ☆

ファーストオーダー 」で示したとおり易システムではFOとしては16とおり、呼吸/周期としては32とおりのパターンがある。

呼吸。
昼夜。
一週。
節気。
一月。
四季。
人生。
歴史。

ここで32の例をあげることはできないが、なにをどう観たてるかはそれこそケースバイケースだ。

そして、イキモノのみならず、呼吸/周期は、すべての活動の根本ではないか。

これをうまく言いあらわすのは、ちょっとむずかしいかもしれない。

すべては輪(ホイール)であり、相互に複雑に関連しあっている。

その関連も一筋縄ではいかない。

個人的なレベルでは、あなたのホイールもあるだろうし、ぼくのホイールもある。
部族のホイールだってあるだろうし、地球のホイールもあるだろう。
それらが、連なったり、接したり、入れ子になったり……しているのである。

   ☆

この宇宙全体はどうなのだろう。

宇宙……本源そのものについては「創造と破壊」なんてことがいわれたりする。

ただ「破壊」というコトバは、自己の境界が限定的である段階における存在による傍若無人なふるまいと混同されがちな気がする。

たとえば、「破壊」ではなく、次の創造のための準備という意味で……
「帰還」ということではどうだろう。

創造と帰還は、本源の呼気と吸気であり、この宇宙の最も基本的な「呼吸」なのだ。

このものの観方は、少なくともぼく個人的には、ある種の希望をもたらすものだ。
死は絶対的な終着駅でなく、呼気と吸気の間の通過ポイントに過ぎなくなるからである。

   ☆

放蕩息子は父君のもとに還ったあと、その次はどうしたのだろう。

そのまま、実家でのうのうとシアワセに暮らしたのだろうか。

……いや、そんなはずはない。

吐いて、吸って。

その一往復、それきりで終わってしまうものは、

ふつうは「呼吸」とはいわないだろうから。

息子はまたこりもせずに、
放浪の旅に出るにちがいない。



ぼくは占い師じゃない-starW
【スターホイール108番、
Creation Ovum - Resonance。
AYA氏のホームページ より】


ぼくは占い師じゃない-terekutonon
【テレクトノン。
太陽系の呼吸。
13月の暦手帳(こよみ屋 )より】


*)易システム
周易をベースにした、筆者独自の解釈による「易」を、勝手に「易システム」と呼んでいる。