「フラクタルタイム」
グレッグ・ブレイデン 著
島津公美 訳
ダイヤモンド社
2009
この本の内容をかいつまんでみると、
「時間軸上でおこるイベントは周期性を持っており、一定期間を経て繰り返す傾向にある。あるイベントが起こった後の、その同様のイベントは必ず起こるわけではないが、起こった場合はそのインパクトを増す傾向にある」
と、いうことになろうか。
種となるイベントが起きて次に同様のイベントが起きるまでの時間は、基本となる周期……全体周期との比率から求めることができる。
全体周期は、開始点と長さが定義されていることが、次のイベントが起こるまでの時間を算出するときの前提となる。
種となるイベントの全体周期上における位置がわかれば、残り期間においてそれと相似に次のイベントが起こるのである。
ここが「フラクタル」というところなのだが、13月の暦をはじめとする銀河ツールのユーザにはおなじみの概念だろう。
全体周期については、以下の4つが例としてあげられているが、この本では4番目のマヤの伝統におけるグレートサイクル、5125年が採用されている。
1)ホピの「ワールド」
2)古代インドの「ユーガ」
3)アステカの「ワールド」
4)マヤの「グレートサイクル」
同じことの説明になるが、本で紹介されている算出方法を少しアレンジしてみる。
前提となる全体周期L0において、L1が経過したとき、種となるイベントS1が起こったとする。
次に同様のイベントS2が起こるまでの時間L2は以下のように導かれる。
L2=(L1/L0)φ×(L0-L1)
L1/L0は種となるイベントS1が起きたときの経過時間L1の、全体周期中L0における比率。この比率を、S1が起きたときのL0における残り時間、L0-L1に適用することで、次の同様のイベントS1が起きるまでの時間L2が導かれる。
比率を適用するといっても、L1/L0をそのまま残り時間L0-L1にかけるのではなく、φをかけるところがポイント。
φは黄金比で、本の中では0.618に近似される。
イベントはくりかえしおこる。
もしくはその可能性を秘めている。
さらにふたたび、S3というイベントが起こるまでの時間L3は、同様に、
L3=(L2/(L0-L1))φ×(L0-(L1+L2))
で、導かれる。
L3は、全体周期L0中で、すでにL1+L2という時間が経過した後の時間である。
ちなみにL4は、
L4=L3/(L0-(L1+L2))φ×(L0ー(L1+L2+L3))
となる。
以下同様に、L5、L6……を求めることができるが、下の絵に示すように、イベントの連鎖はある一点(ゼロポイント)向かって漸近していく。
本では、歴史上の出来事が、くりかえし、相似に、スパンを縮めておこることが例としてあげられていて、一見、自分とは関係なく思えるが、この考えを個人の人生にあてはめる例もあげられている。
そう、視点を変えれば、それまでに起きた幾千幾万の出来事は、相似に、圧縮されて、あなたの人生、あなたの一年、あなたの一月、あなたの今日に起こる、起こっていることなのである。
そこでふと、自分がこの世に生まれた時点を、ここでいうひとつの「種となるイベント」としてとらえることはできないだろうか、と思った。
本の中にはそんな応用例はないが、上記の方法で機械的に算出することはできる。
問題はその意味である。
本によれば、上記S2、S3、S4……は「過去に起こったことと同じ状況がいつくりかえされるか」その時点を示すことになる。
種になるのがS1=誕生というイベントだとすると、上の定義にしたがえば、算出された各時点で「誕生」というイベントがくりかえされる、いうことになる。
いわば、
「うまれかわる」。
といえるのではないか。
そこで本当に死んでしまってまた転生するというわけではないだろうが(場合によってはそれも含まれるかもしれない)それはつまり、一種のターニングポイントと考えられるのではないか。
そう考えたのである。
本の中での全体周期の前提は、
現在の全体周期の始まり=紀元前3114年
全体周期の長さ=5125年
で、これに従って、自分の誕生日を種となるイベントS1として計算してみる。
S1=0才
S2=30.5才
S3=42.5才
S4=47.1才
S5=48.8才
S6=49.5才
S7=49.8才
過去の時点もあれば、未来の時点もある。
この全体周期の前提だと、現在が全体周期の終わり近くなので、値は、その時点に向かってかぎりなく漸近していく。
ぼくの個人史をここで発表してもしかたないのでくわしくは書かないが、過去の時点で、S2以外は、すべて思い当たることのある「ターニングポイント」だった。
いくつかは未来のある時点を指し示している。実際にそれらの時点を「ターニングポイント」として用いるかどうかはともかく、状況的にはそうなるお膳立てがととのう、またはそういったことが起きやすいポイントということになる。
その傾向に従うか、それとも別の道を行くか。
自由意志と試行錯誤は宇宙の法則なので、これがやぶられることはない。
ターニングポイントは「選択ポイント」でもあるのだ。
<つづく>