もちろん占的と矛盾しないことが前提だが、この「85:地風升」全体があらわす時間の長さについてはとくに決まりはない。
この「85:地風升」全体を一日とみてもいいし、三日とみてもよい。一週間でも一ヶ月でも一年でも、理屈の上では十年、百年と観てもよい。
ひとつの爻は、ひとつの卦の中の「段階」と考えることができるから、卦全体があらわすタイムスパンが変われば、爻があらわす時間尺度も当然それにつれて伸び縮みする。
一方、周期という観点だが、易における代表的な「周期」の表現に「十二消息卦(消長卦)」というものがある。
【「周易参同契」明徳出版社より】
ざっと上の絵のようなものだが、純陰の「88:坤為地」の初爻が変じた、子の位置にある「84:地雷復」冬至(十一月(旧暦))にはじまり、二、三、四爻……と順次下から上へと爻が変じていく。
卦は、旧暦四月の立夏に純陽の「11:乾為天」(巳の位置)、「88:坤為地」の陰陽がすべて反転した形となるが、これが「88:坤為地」からみた「ターニングポイント」になる。
この「ターニングポイント」から爻はふたたび初爻から変じていき、シンボル上はまた「88:坤為地」にもどる。
「88:坤為地」と「11:乾為天」はツイストペア である。ツイストペアは互いが互いの「ターニングポイント」なのである。
この「十二消息卦(消長卦)」が構成する「輪」、ホイールはターニングポイント(S0)から、ターニングポイントへの(S1)へ、さらに次のターニングポイント(S2=S0’)への状態遷移とみることができる。
「フラクタルタイム」で示されたモデルにのっとれば、あるターニングポイント(卦)からから次のターニングポイント(先の卦のツイストペア)へのタイムスパンは、半年、1年、1.5年、2年……というように、「十二消息卦(消長卦)」を読むときのように一定ではなく、「この、くりかえすもの (その1)」で書いたようにある時点にむかってフラクタルに加速され、短くなっていく。
とうぜん、そのあいだにあるひとつひとつの卦があらわすタイムスパンもそれにつれてみじかく、密度が高くなっていく。
さらにいうと、「ある卦をその初爻から変じていき、全部の爻が変じきったところで、また初爻から変じていき、ふたたびもとの卦にもどす」という操作は、なにも、「88:坤為地」を基準とした「十二消息卦(消長卦)」の専売特許ではない。
六十四卦すべての卦に対して同じ操作を行うことができ、そうしてできるそれぞれのホイールが特定のツイストペア間の状態遷移ダイヤグラムとなる。
たとえば、冒頭で例に出した「85:地風升」に同様の操作を行うと下の絵のようになる。
これはいわば「一般化された十二消息卦(消長卦)」だ。
銀河ツールにおける「20の銘板」のダイヤグラムでは、このルールでウエイブスペル上に各卦が展開されている。
ところで、たとえば、「十二消息卦(消長卦)」が構成する「輪」は、そのあとどこへいくのだろう。「88:坤為地」にはじまり、「88:坤為地」にもどり、ずっとそれを永遠にくりかえすのだろうか。
シンボル上は「もどった」ようにみえるが「時間が元にもどった」わけではなく、退行したわけでもない。
「フラクタルタイム」に次のようなことが書いてある。
「時代の終わりは次の時代の始まりであり(中略)一つの時代の終わりが世界の終わりではない(「タイムコード2の抜粋」)。
みかけは同じに見えるが、実は次のスパイラルに入っているのである(*1)。では、次のスパイラルの始点となる卦は、どのように定めればよいのか。
根拠はないのだが、この「一般化された十二消息卦(消長卦)」の各始点は、ライプニッツが六十四卦方位図に書き込んだ番号順に遷移していくのではないかと考えている。
【「易のニューサイエンス」東方書店より】
この番号はこのブログで採用しているコード番号(*2)とは異なり、卦を6ビットの2進コードとしてみた場合の10進数値である(*3)。
この2進コード順というのもひとつの周期だ。
始点はライプニッツコードに従って遷移し、ターニングポイントを示すツイストペアは、「一般化された十二消息卦(消長卦)」のルールに従って推移する。
いいかえると、「一般化された十二消息卦(消長卦)」という32パターンのホイールであらわされる周期は、ライプニッツコードという別のおおきな周期にのっかっていて、全体としては二重構造の周期になっているのではないかと考えているのである。
「フラクタルタイム」の考えを採用するなら、各卦の間のタイムスパンはある時点へむかい、だんだん短くなる。
ダイヤグラムでは円周上に等間隔に卦が並ぶが、実相は下の絵のように感じになるだろう。
「フラクタルタイム」においても、ほんのちょっとだけ言及のある(*4)の本では、流動体(主に水)の祖型としてまず「球」があり、時間的律動が加わることで、スケールを問わず、それが「輪」「蛇行」「渦」「スパイラル」となることが自然の中のさまざまな例として示されている。
時間もある種の流動体とみなすのなら、「球」や、「輪」「蛇行」「渦」「スパイラル」などは時間のカタチ……祖型とみなすことができるのではないだろうか。
久しぶりに時間ができたので長々と書いてしまったが、まあいずれにしても、これもものの観方……
モデルのひとつだ。
全体周期としてどんな周期を採用するか。
なにを種となるイベントみなすか。
ターニングポイントにおいて起きたイベントの、どこが種となるイベントと同等とみなすか。
易システムと関連付けるならさらに、
種となるイベントのシンボル(卦)になにを採用するか。
シンボル(卦)の解釈。
こういったことはすべて、意識との関わりにおいて決定される(みなされる)。
結局のところ、いつだってなにかは起きているのだ。
でも、個々の出来事に翻弄されるのではなく、どうせなら自分に合った枠組みを使って、より大きな、高次の視点から物事をとらえていきたいものだ。
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*1)「みかけは同じに見えるが、実は次のスパイラルに入っている」
これを「同じ」だと誤解してしまうことをウイルバーは「プレとポストの混同」呼んだ。たとえはよくないが、おむつをしているからといって老人は赤ちゃん「ではない」。
*2)「このブログで採用しているコード番号」
易数。八卦単位でつけられた番号。乾兌離震巽坎艮坤の順で、1、2、3、4、5、6、7、8。大成卦はこの番号2桁の組み合わせであらわす。
*3)「卦を6ビットの2進コードとしてみた場合の10進数値」
上爻を最下位ビット、初爻を最上位ビットとする。たとえば、88:坤為地は000000=0、84:地雷復は100000=0x20=32、78:山地剥は000001=1
*4)
「カオス自然学」
テオドール・シュベンク著
赤井敏夫訳
工作舎