電気的宇宙論 | ぼくは占い師じゃない

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「電気的宇宙論Ⅰ」
ウォレス・ソーンヒル
デヴィッド・タルボット 著
小沢元彦 訳
徳間書店
2009年2月

比較神話論の部分はぼくにとってはちょっとタイクツだったが、図版はすべてフルカラーで見応えのある本だった。

まあ、とにかく、易卦パターンでセットされた頭をよく刺激してくれる読書だったことはまちがいない。

内容は……

従来の宇宙論では星や銀河の創生要因を重力に求めるが、この本ではその要因にはプラズマという電気力もあったのではないか、とする。

いや、「あったのでないか」などという弱い主張ではなく、

銀河にしろ星にしろ太陽系にしろその創生初期の主な要因は電気の力であって、やがて系の電気エネルギーが散逸するにつれ、重力と電気力が平衡した安定した系となり、その軌道が予測可能な現在の形に落ち着いたのだ、とする(一部巻末本文から引用)。

したがって、銀河や太陽系といったシステムの形成にダークマターを仮定する必要はなく、見返しの文句を引用すれば、「最小の粒子から巨大な銀河まで、電気回路網が自然界のすべてを接続し、統合している。この電気回路網は銀河を組織し、恒星にエネルギーを供給し、惑星を誕生させ、地球の天気を支配し、生物に命を吹き込んでいる。」

この筋書きをみて思い出したのは、タイトルは忘れたしまったが、クラークの短編に出てきた「プラズマ生命体」だった。

記憶はあやふやだが、そのプラズマ流は最初は天文現象として観測されるのだが、さまざまな解析を経てどうも生命体らしいということがわかってくる。わかった頃には太陽系を通過して出ていってしまう。
プラズマ流だけでできているということと、パーセク単位(*1)のその巨大さ故に「生命体」とはだれも気づかなかった、というのがオチだったと思う。もちろん、人類とのコンタクトもなかった……

この生命体、というより意識体を、宇宙規模に拡大したような考えだなと思ったわけである。

13月の暦をはじめとする銀河ツールの世界では「呼吸」という活動で、太陽は銀河中心とエネルギーのやりとりをし、地球は太陽とエネルギーのやりとりをし、おそらくニンゲンはガイア(地球)とエネルギーのやりとりをしていることになっている。

この本の説はこういうビジョンに具体的・物理的なカタチをあたえるものではないかな、とも感じた。

現在の空をいくら探索してみても不安定だった初期の頃の直接的な証拠をみつけることはできない。

代わりにこの本では、その状況証拠を、有史以前に岩などに描かれた壁画や比較神話論、惑星に残された傷跡、研究室内でのプラズマ放射実験などに求める。

おもしろいのは、その規模が大きかろうが小さかろうが、プラズマの挙動は相似だそうで、これはつまり実験室内でミニサイズの宇宙を再現することができるということである。

こうして行われた放電実験結果のコンピュータシミュレーションの図は、どうもいろいろなもの……牽強付会だとは思うが、ぼくにとっては易卦にみえてしかたないのである。


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ぼくは占い師じゃない-kenkonTP
【乾と坤のツイストペア。乾がトーラスを横から見た図、坤がトーラスの断面】

もちろん、雷電は易とは切っても切れない関係にある。
八卦でいうと震、大成卦でいうと乾になるが、いずれも始動のエネルギーをあらわす龍のイメージである。

有史以前、古代の人々が目にしていた天空は今の空とは似ても似つかぬもので、ドハデで不安定。災異に満ち満ちていた。

惑星どうしも今のような位置関係ではなく、もっと接近していたりして、惑星間でプラズマ放電のやりとりさえあった。
これが全人類に共通するカタストロフの記憶で……

こんなところも、この本では見逃せない興味深い部分だ。

震や乾とは直接関係はないが、大成卦の中に「賁」という卦がある。

たまたま字統でみつけたのだが、この「賁」という字の金文のカタチが、オーストラリアやアメリカの先住民が描いたムカデ型の絵とよく似ている。

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ぼくは占い師じゃない-金文
ますます牽強付会になってくるわけだが、

「賁」には、かざる、かざり、はなやかな彩り、はででおおきい、まじる、まだらなどの意味があり、プラズマで彩られた空を描写したのかと思いたくなる。
もちろん、字統にはそんなことは書いていない(アタリマエか)。

最後の方のコラムには、地母神には、火を操る天の蛇や竜、裏の(別の)側面がある、といった話が載っているが、これは先に示した乾と坤のツイストペア そのものを連想させる。坤が地母神で、爻の陰陽をひっくり返してできる乾が竜である。

牽強付会ついでに、ツイストペアの1番はマスターマトリクス(*2)の中心、震為雷と巽為風のペア で、流動する(巽)電気(雷)で、プラズマを示している、といえなくもない(笑)。

直進する電流は回転する磁場を生み出す。

直進運動と回転運動はペアだ。

電気のプラスとマイナスは代表的なペア。

磁場にはNとSというペアがある。

モノポールの発見が騒がれたこともあったが、結局、N極だけまたはS極だけの物質はみつかっていない。

対称性……ペアは宇宙の法則のように思えるが、重力はどうなのだろう。

負の重力というのは聞いたことがない。

どこかで、決定的に対称性がやぶれているのだろうか。

プラズマ宇宙論とは直接関係はないかもしれないが、気になるところではある。

三部作の最初の巻ということで、続巻がいつ出るのかは知らないが、楽しみにしておこう。


*1)AUだったかもしれない。

*2)マスターマトリクス
上卦、下卦を「乾兌震巽坎艮坤」の順で配列し組み合わせた大成卦の行列。
震巽は「乾兌震巽坎艮坤」の中央になるため、震為雷・巽為風はマトリクスの中央に位置する。
一応筆者独自のテーブルだが、誰でも考えつくことだし、易卦のインデックスにはよく用いられるパターンである。