無限のページをもつ本 | ぼくは占い師じゃない

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易経という中国の古典、ウラナイの書を使いやすく再解釈して私家版・易経をつくろう! というブログ……だったんですが、最近はネタ切れで迷走中。

 
ウイングメーカーⅡ
現代の神話
 エンシェントアロー・プロジェクト
WingMakers LLC
shima 訳 大野百合子監訳
VOICE 2100円税抜き
 
1972年、アメリカはニューメキシコ州のチャコキャニオンで、
ハイカーが偶然に奇妙な遺跡を発見した。
人工的につくられた洞窟からは、
光ディスクを含む高度なテクノロジーによる複数の遺物と、
無数の象形文字と極彩色の壁画が見つかり、
その後この遺跡は政府の管理下におかれ、隠蔽される。
 
それがこうした本になるのは、
情報をリークした人物がいるからだが、
一作目はその人物に対するインタビューを含む、
ドキュメンタリーで構成されていた。
上記のウイングメーカーⅡは、
その話を物語(小説)形式にしたものである。
 
真偽のほどはともかく、読んでいて思い出したのは……
昔夢中で読んでいたSFにのめりこんでいた感覚だった。
ハインライン、ニーヴン、クラーク、
ブラッドベリ、ディレイニー、
ディック……
ウイングメーカーⅡに出てくる施設は、
マイケル・クライトンの「アンドロメダ病原体」に出てくる地下ラボや、
謎の円盤UFOにでてくる秘密地球防衛組織SHADOを思い出させる。
 
このウイングメーカーⅡの最後の方に、
遺跡から出てきた光ディスクを、
デコードした結果得られたテキストが一部出てくる。
内容は哲学、宇宙論、音楽・絵画を含むアート。
音楽・絵画はともかく、哲学・宇宙論は、
難しげなタームでかざられてはいるが、
みんなが、どこかで、なんとなくわかっていたような、
そんな原理について書かれている。
 
ちなみに、「セントラルレイス」と呼ばれる、
この宇宙におけるヒューマノイドの起源種族による遺伝情報の播種は、
デビッド・ブリンの一連のSF「知性化シリーズ」を思い出させる。
知性化シリーズでは、知的生命体の起源種は「始祖」と呼ばれる。
 
ここから我田引水話になるのだが、
上記のテキストが、
「読む人によって内容の変わるテキスト」なのである。
物語中では「読む人によって内容の変わる」のは1回、
1ページだけ、モノはデジタルデータなのだが、
ぼくがつくった以下のオハナシでは、
実際の実体を持った「本」で、
読む人の状態、状況、リクエストによって、
ダイナミックに書き換わる「本」が出てくる。
 
「空を飛んだ男」
空を飛んだ男
猫乃電子出版
(猫の本屋さん)
http://necom.cool.ne.jp/
 
なにがいいたいの?
 
……って、別に深い意味はない。
まあ、PRもあるけど、
似たようなコトを考える人もいるんだなあ、と。
お話の最後のほうで、その本(テキスト)の内容を引用するかたちで、
哲学・宇宙論……チックな内容を配置する構成も似ている。
 
実は、ぼくのオハナシに登場する「本」のイメージソースは、
昔読んだ、ルディ・ラッカーという人が書いたSF小説にある。
書名は失念してしまったが(カンジンなことを忘れるよなあ)、
「数学的あの世」が出てくる物語だったように記憶している。
ルディ・ラッカーは数学の先生だった……数学者だったかな。
このルディさんのお話の中で、
主人公は自分の一生について「すべて」書かれた本に出くわす。
「すべて」が書かれているのだから、各ページは微分的でページ数は無限である。
どこをみても細部にわたって自分のことが書いてある。
過去も。
未来も。
 
もちろん、そんな本、実際にあるわけがはなく、
お話(「あの世」)の中だけのことだと思っていたら、
そういう本が現実にあった。
 
易システム(易経)という本である。
 
紙でできた本という実体、
そして64パターンのシンボルという意味では、
そのブツや構成は有限だが……解釈は無限。
解釈するのはあなた自身である。
 
コード番号11から88まで。
このブログで展開している、
64パターンの解説は、
一般的に適用できるカタチにしているつもりではあるが、
あくまでぼくが解釈したもの。
 
つまるところ、「無限のページを持つ本」は
あなた自身の胸の中にあるということになる。
「自己」は、ぼくらが普段認識しているよりもはるかに深く、無限だ。
 
今日のテーマは「書棚」だが、
易システムの話になってしまった。