42.客主❷
現在史劇を3つ観ていますが、
「客主」が1番面白いです。
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朝鮮の一般庶民(商人)を描いていて、朝鮮王朝時代後期の風俗を知る良い材料になります。
当初からミンギョムホ민겸호閔謙鎬(1838~1882)
「客主」と題する通り、商人を主人公に据え描いては居ますが、
以前の「サンド商道」や「巨商キムマンドク」の様に、商売での様々なエピソードを通じて主人公が成功する「スカッとした商売のサクセスストーリー」と言うよりは、
むしろドラマ「ホジュン」の様な「苦労人が人生を苦難と共に乗り切って行くヒューマンストーリー」と言った感じです。
そう言う意味では社会の底辺に居る庶民の生き様に、より焦点を当てて描いたと言えます。
新聞小説が原作だけに、武侠ドラマの様な抗争劇や急な、無理の有る展開が続き、そして何よりも人が良く亡くなります(苦笑)。
韓国で副題の「チャンサ(商売)の神」で無しに 「チャンサ(葬事)の神」だと皮肉混じりに文句を言う声が多かった事も頷けます。
実際、「ホジュン」や「不滅のリスンシン」の様に主人公がいつまでも報われず、主人公の周辺で理不尽な死が多く暗い展開が続きます。
最近の明るく軽いロマンス史劇とは大違いでうちの家内も「あんまりだ。早く終わって〜」と不満顔です。
そう言う意味では2000年代以降に作られた史劇とは一線を画すと言えるでしょう。
勧善懲悪は「チュニャンジョン春香伝」の様な架空の世界のみ。
庶民はいつまでも官の横暴に振り回されながら、最後まで報われず死んで行ったのです。
その様な現実感が有り、階級性のしっかりしたドラマと言えるでしょう。
たまに観て居ると、音楽も含め階級性をメインに描く共和国の映画か?と見間違う程です(笑)。
やはり同じ民族、血は争えません(笑)。
このドラマで私が特記すべきと思って居るのは、日本に不平等条約(江華島条約)で強制的に開港させられた時期にも関わらず、日本人ー日本商人が出て来ない点です。
と言うより政治の場面が出ない点です。
この時期は日本に経済的主導権を握られて行く時期ですから、反日的要素がどうしても多くなります。
すると、時代劇から現実の政治劇に呼び戻されてしまって、歴史ロマンが粉々に砕け散ってしまうのですが、このドラマでは開港した事は語られど、日本人-日本商人が出て来ません。
<ドラマ上の政府高官>
残りの回で出て来るかも知れませんが、メインで描かれる事は無いと思います。
先程も述べましたが1879年の元山開港が描かれ、会話で「防穀令事件」を触れて居ました。
防穀令事件についてはいずれワンポイントコラムで触れる機会が有るでしょうが、日本商人と朝鮮王朝との間で米の輸出を巡りトラブルになった大きな事件です。
この文章を書いて居たら、朝鮮の商人が日本商人に向かって石礫(つぶて)を投げつけて朝鮮から出て行けと抗議する場面が出ました。
ここでも日本商人と言うよりは、彼らと癒着して朝鮮商人を苦しめた政府高官を憎んで居ます。
今後日本商人、そして彼らと結託する政府高官との商売上の争い、経済活動も描かれて行くと思うので、どう描かれるのか楽しみです。
一貫して言っていますが、今流行りの軽いロマンス史劇の様に明るくは有りませんが、朝鮮王朝末期の庶民の姿を生き生きと描いていますので観られる環境に有る方は是非。
後は全部見終わったら追記します。
PS:全話見終わりました。
最後の最後になっていつもの韓国ドラマになってしまいました。
有り得ない展開、反日っぽい傾向になります。 壬午軍乱がしっかり描かれて居ます。
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そして最後まで主人公が…。ネタバレになりますからこれ以上は申しません。
でも安易なハッピーエンドでは無く、今後に希望を持たせる終わり方で良いかもです。
最後の方に政治とも絡ませて、これはこれで良しかも知れません。
前回書きましたが、原作の続編が作られて居るので、続きが読みたくなりました。
ボブサン褓負商について書いて居ますのでご参考までにご覧下さい。
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