<ドラマ 客主>
ワンポイントコラム
<韓国朝鮮 歴史のトリビア>
89. 褓負商ボブサン
史劇ドラマを観るとカゴを担いだ行商人を良く見ます。
ドラマ「客主」でも商人は皆、商品を担いで運んでいます。
朝鮮王朝時代、人口が多いソウル、ピョンヤン、ケソン以外に商人が店を構える事は無く、市場が商業の中心で、5日市を渡り歩く行商人が商売しました。
この様な行商人を褓負商ボブサンと呼びます。
褓負商ボブサンとはこの様に、伝統社会で市場を中心に荷物を背負って行商をしながら、生産者と消費者の間で仲介の役割をしていた専門的な商人を指します。
보상褓商ポサンは、主に精密な手工業品や高価な贅沢品などの雑貨を扱い、風呂敷や紐縄(ひもなわ)で結って負い商いしました。
부상負商プサンは粗い日用品などの家内工業品を中心に、商品を背負子(しょいこ)に背負って商いました。
彼らは通常、一日に往復することができる程度の距離を基準に、市場網を回りながら、各地の物貨を流通させました。
中には、水運と牛馬車で多くの商品を一度に運搬、販売したりする大きな商人も居ました。
褓負商ボブサンの起源は不明ですが古代より始まったと見られます。
彼らは強力な組合を組織して無視出来ない組織に発展しました。
組合は強力で、
①冠婚葬祭や損害を被った資本の融通などの相互扶助、
②商圏侵害や詐欺行為を取り締まる内部の規律、
③商圏確保の為の取り締まり警察権、
④市場税徴収の特権
などの機能を持ちました。
彼らは民主的な投票によって役員選挙をし、案件を審議するために定期的な会議を開催しました。
負商団プサンダンが組織されたのは朝鮮王朝初期で、結束されたこの強力な組織を、朝廷では国の大事や国難の危機時に頻繁に使役しました。
一方、보상褓商ポサンがいつから組織を持ったかは不明ですが、1879年全国的な組織を持つようにりました。
<客主 原作マンガ>
このような政府による保護と管理が始まったのは彼らの組合が強大な組織に発展して政治的な活用価値があったからです。
壬辰倭乱の幸州山城戦闘では何千人もの負商プサンが動員されて食糧や武器を運び、直接戦闘にも加担して日本軍を退けるために貢献しました。
丙子胡乱時にも仁祖が南漢山城に行幸したときに負商プサンが食料を運び城を守りました。
正祖が水原華城ファソンを築造するとき、石や木材を運んだり鉄を製錬して長安門を作りました。
1866年丙寅洋擾のとき、全国の褓負商が動員され、文殊山城の戦いと鼎足山戦闘でフランス軍を打ち破りました。
一方1882年壬午軍乱の際、大院君の改革政治に反発したミンヨンイク閔泳翊が京畿道、江原道の褓負商を率いて東大門まで到達、ソウルに侵入する動きを見せ城内が大きく混乱した為、活動を自粛させられました。
褓負商団は皇国中央総商会、皇国協会に属し独立協会と対立、民権運動の弾圧に与(くみ)しました。
その後共済所、商民会、共振会などに移動、所属しましたが、日本の支配下、日本の褓負商抹殺政策によって、全国の褓負商団体はほぼ消滅。
現存する褓負商団体では忠清南道扶余・閑山の
「忠清右道 チョサン苧産八区商務社」と礼山・徳山の「イェドク禮德商務社」があります。
朝鮮の商人にご興味が有る方はお時間が有れば是非ドラマ「客主」をご覧下さい。
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<参考文献>
한국민족문화대백과사전 褓負商
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