【まともトーク】さあ入稿!のその前に/Illustrater編③【データチェック】 | ブックホンのブログ

ブックホンのブログ

印刷製本会社の各種冊子制作のブロブ

こんばんはぶっ君です。

 

 

【データ入稿前にすること】の解説その③です!

 

 

①作成サイズに間違いがないかアートボードのサイズ確認

②塗り足しが正しく設定されているか確認

③オブジェクトが非表示&ロックされていないか確認
④全てのレイヤーを統合

 

 

とここまで進みました。あと少し!

 

 

 

 

 

 

⑤画像を埋め込む!

 

フォトブックなどはもちろん、ZINEやいろんな冊子で『画像データ』が使われます。

Illustratorで原稿を作成する場合であれば、

 

 

 

上の画像ではリンクファイルとしてレイアウトしてある状態。

リンクされたオブジェクトを選択すると、

選択の境界線(サンプル画像内の設定では緑色の線)が対角にも表示されます。

 

リンクされた画像は、ai内のデータとして扱われず、疑似的に表示されているだけです。

なので、『湖のpsdファイル』が無い状態で、上のaiファイルを開くと、

 

 

めっちゃ怒られますw

 

 

『画像の埋め込み』は、リンクファイルをaiファイル内のデータに変える作業です。

埋め込むと、フォントやパスデータと同様に内部に保存されるので、

aiファイルだけで入稿しても、何の問題もありません。

 

 

埋め込む方法は、いたってカンタンです。

 

 

 

[ウィンドウ]→[リンク]からリンク一覧を表示させて、

埋め込みたい画像を確認。

画像がリンク状態の場合、リストの右端にリンクマークが付くのでそれが目印。

 

 

 

埋め込みたい画像を選択した状態で、

ウィンドウのハンバーガーメニューから、[画像を埋め込み]を選択。

画像を複数選択していれば、いっぺんに埋め込めます。

 

 

 

これだけです!

使用している画像が数えるほどしかない場合なら、埋め込みたい画像を直接選択して、

 

 

 

コントロールバーにある『埋め込み』ボタンを押すだけ!

数によっちゃこっちの方が早いかもです。

 

 

 

 

さて問題、埋め込みによって何が起きるか?

 

 

 

aiファイルの容量が恐ろしく増えます。

 

 

 

 

先に書いた通り、『リンクデータはaiファイルに内包しない』ので

『ao_02_リンク.ai』自体はわずか582KBしかありません。

画像の約69MB(×2)は、それぞれリンク元のpsdファイルが持っています。

 

これが埋め込みによってaiファイルに含まれることになるので、

『ao_01_埋め込み.ai』は、約120MBに膨れ上がる、というわけです。

 

 

画像2枚を埋め込んだだけで、1ページのデータが120MB。

これが100ページの写真集だったとしたら…?

 

 

 

12GBの入稿データ!

 

 

 

そこで、次の解像度チェックが必要になるワケです。

 

 

 

 

 

⑥高すぎる解像度がないかチェック!

 

印刷の推奨解像度は、300~350dpiです。

 

多少前後しても全く問題ありませんが、低すぎると荒れが見えますし、

高いからと言って、その差を人間の目がどこまで認識できるか?って話です。

実際のところ、350dpiあれば十分。

 

  余談ですが、駅の柱に貼ってある大判ポスターなどは150dpiなんかもあります。

  結局『どの距離で見るか?』がポイントなんです。

  遠目(通りすがり)で見る前提のポスターが、

  『顔を近づけて見るとドットが判る状態』であっても何の問題もないわけです。

  街のポスターは、ほとんどの人が顔近づけて見たりはしないんで。

 

 

 

大丈夫、ちゃんと元ファイルで350dpiに設定してるから!

 

 

…なるほど、それではaiファイル上で確認してみましょう!

 

 

 

解像度は、1,400dpi!

※画像の情報はリンクウィンドウでも、直接選択状態ならコントロールバーでも確認できます。

 

 

このカラクリは簡単な話で、画像を縮小使用しているから、なんです。

 

  上の画像をよく見ると、『拡大・縮小:25%、25%』となっています。

  dpiは『1インチの中に何マス(ピクセル)並べて表現するか』という単位で、

  同じ1インチなら、マスのサイズを小さくすれば、たくさん並べることができるわけです。

 

  マスのサイズが25%=1/4になれば、元の4倍のマスを並べることができます。

  元々100%で350マスなので、350マス×4倍=1インチの中に1,400マス

  =1,400dpiになった、ということ。

  ※ただこれは、マスのサイズが変わっただけで、実際に色を塗るマスの数=使用するピクセル数は同じなので、

   写真がキレイになった(画質が向上した)わけではありません。

 

 

 

縮小するなら画質落ちるでしょーに!?

 

 

ですよね、見た目にもそんな気がしますし、

実際に機器を通して紙面に再現される際には当然、小さいなりの画質になりますが、

Illustrator上では『ピクセル数の情報』は保持されてしまいますので、

『情報量』としては1,400dpi分あるわけです。

 

実験。

 

 

 

2枚の画像を同じ大きさで埋め込んだaiファイルと、

その画像をそれぞれ50%と25%に縮小したaiファイルをそれぞれ保存します。

見た目的に画像は紙面のほんの一部を占めるだけなので、

大した容量じゃないだろ!って感じ。

 

実際。

 

 

 

ピクセル数=情報量が変わらないので、データ容量も大差ない、というわけです。

 

 

 

正しく言えば、印刷に必要な解像度は、

 

紙面上の原寸(使用するサイズ)で350dpi

 

という表現になります。

上に挙げたサンプルデータで言えば、

aiファイル上の使用サイズ=w105×75mmのサイズで解像度350dpiあれば、

十分にきれいな印刷結果が得られます。

元データ w420×297mm の情報量(ピクセル数)まではいらない、ということです。

 

 

 

 

そして適切な解像度に設定する一番のメリットは、

 

 

 

作業が早く、ラクになること。

 

 

 

必要以上に容量の大きなデータの取りまわしは、機器にも負担がかかります。

 

・プレビュー表示に時間がかかる

・データがおかしな表示になる

・データの保存やアップロードに時間がかかる

 

…データ作成中も入稿時も、いいことはほとんどありません。

印刷結果が大して変わらないのであれば、ラクに越したことはない、うん。

 

 

 

んじゃ、どのくらい違うのか?

 

 

 

ai上でほぼ100%状態のサイズで、350dpiのpsdに入れ替え→埋め込むと、

 

 

 

約120MB→たったの6MBに!幸せ!

 

これなら100ページでも600MBで済みます。

実際にはそこまで計算通りにはなりませんが、かなりストレスフリーに。

 

 

 

ただ本当のところは、入稿前にこの解像度調整をやるとなると、大変な労力が必要です。

ページ数が少なければいいですが、

1ページに画像1枚、50ページの画集でも、50回も作業を繰り返すのは骨が折れます。

 

なので、

 

・原稿作成段階からできれば『原寸300~350dpi配置』を心掛ける

・手直しや変更も想定するなら、

 使用する実寸のふたまわりぐらいゆとりのある画像(300~350dpi)を、

 85~90%縮小で配置、実寸のパスでマスクをかけて使用する

 ※トリミング位置の微調整も解像度を気にせず行えますし、多少なら元画像を開かずとも完結できます。

 

と入稿前に慌てることも無いと思います。

 

また、うっかりデータを作り終えてしまった場合でも、

突出して高い解像度の画像だけでも手直しすれば、総容量が随分変わる場合がありますので、

入稿前の解像度チェックはおすすめです。

 

 

 

 

そして、その④へ続きます。

 

 

 

 

 

それではまた。

 

 

 

 

 

拡大しても画質が良くならない理由