【まともトーク】拡大しても画質が良くならない理由 | ブックホンのブログ

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こんばんはぶっ君です。

 

めちゃくちゃ暑いです。たまにしか行かない事務所の3Fが地獄と化してます。

 

 

さて。

 

 

今日は解像度のお話です。

 

 

入稿データチェックの中で、あまりにも画質が酷いものがある時は、

できるだけお声掛けするようにはしていますが、

300ページの冊子に使われる画像の解像度全てをチェックはできません。

 

時々、サンプル冊子を確認されたお客様から、

 

 

「写真があまりキレイじゃないのですが…」

 

 

とお問い合わせを受けることがありますが、そんな時に解像度を調べると、

大抵、72~150dpiぐらいしかなかったりします…。

 

よくよくお伺いすると、元が証明写真サイズしかない集合写真を、

無理やり紙面の半分近くに拡大したのだとか。

 

 

そ、それは無理…。

 

 

ですが実際、

「大きくすれば画質が向上する」

と疑わないお客様が、けっこうな数でいらっしゃるんですよ。

 

 

拡大=低い解像度の画像を無理やり高い解像度に置き換えるとどうなるか?

考えてみます。

 

これは、今思いつく限り、

 

・解像度 350dpi のベース(テンプレートなど)に 72dpi の写真をコピペして拡大する

・150dpi で作っていた印刷原稿を、入稿前に強引に 300dpi に再設定する

・編集ソフトの書き出し設定だけ 350dpi にして原稿全体を画像化

 (基本的には編集中の解像度設定を上回る解像度では出力できないだろうとは思いますが)

 

などのケースがあるわけです。

 

 

さて、

 

例えば1/4カットの円があったとします。

厳密にはこれも「ピクセル」ですが、線画と思ってくださいね!

 

これを画像化します。

画像化、とはピクセル=四角いマス目の塗りつぶしで表現する、ということです。

簡単に言うと 画質=情報量=マス目の量 です。

どれだけのマス目を使って情報(ここでは1/4円)を再現するか、ですので、

マス目が多いほど情報を増やせて、細かいところまで表現できる

つまりは高画質、というわけです。

今、16×16マスで表現してみました。

この状態=16×16マスでの表現を「高解像度」だとします。

1/4円は205マスの情報で表現されています。

美しくはありませんが、そこは置いといてくださいw

 

さらにマス目を減らしてみます。

8×8マスでの表現です。

これが「低解像度」の状態です。

元の1/4円は、52マスの情報にしかなりません。

 

さて、この52マスの情報を無理やり高解像度=16×16マスへ落とし込むとどうなるか?

 

 

こうなります。

 

マス目が多くなっただけで、凸凹の形は変わりませんよね?

 

何故か?

 

 

もともと52マス分の情報しかないからです。

 

 

ここで言う情報とは、「黒く塗ってある、塗ってない」を指します。

つまり、元々何もない「白」のマスに対して、

「ここも塗っとくとキレイに見えるから塗り足してやろう!」

…なんてことは起こりません。

 

 

上の例ではわかりやすく半分のピクセル数(16←→8)で表現しましたが、

実際にはいろんなサイズがあるわけですから、当然マス目が端数になることがあります。

比率の計算上で端数になる時は、中間的な色で処理されることが多いです。

 

上記の例だと、白と黒の間、グレーの濃淡で塗りつぶされます。

0.2マス分ならそのマスは薄いグレー、

0.8マス分ならそのマスは濃いグレーといった具合です。

 

そのため、拡大後にイラストや文字のエッジがちょっとぼやけた?ということも起こり、

なおさら「画質が劣化した」という印象を受けることも。

 

 

 

 

なんとなくおわかりいただけましたでしょうか?

そんなわけで、

 

 

元々低い画質のものは、どうやっても美麗にはなりません。

(ソフトウェアのフィルタ効果などで多少のごまかしはできますが)

 

 

なので、なるべく素材は最初から用途に適したものを用意するのが大事です。

どの写真を見開きで使うか後で考えるなら、

とりあえずはあらかじめ高めの解像度で撮影しておくと無難です。

 

また、フリー素材を使いたい場合は、その素材の解像度にも注意が必要です。

ダウンロードできるサンプル画像などは、低解像度のモノも多いので。

 

 

 

それではまた。

 

 

 

 

 

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