母という呪縛 娘という牢獄 | 自立そして50代からの挑戦

自立そして50代からの挑戦

大学卒業後30年間男性が多い組織で働いてきました。その中で感じたこと気づいたことを書いています。あとは趣味、旅行、読書などについて書いています。職場でや人間関係の悩みなどでお話ししたい方はご連絡ください。

新聞の書評を見て読んでみた。



医学部9浪した看護師の娘が実母を殺害し遺体をバラバラにして遺棄した極めて凄惨な事件のドキュメンタリーである。



加害者となった娘を何度も取材し丁寧な書かれた本である。



実母を殺してバラバラにしてゴミの日に出す、胴体部分はゴミ袋に入らなかったので河川敷に埋める。



事件発生の報道があった頃から背景を知りたかった。



相当な事情があっただろうし親子の心の軌跡を知りたかった。



加害者である娘が著者と書簡のやり取りや面会を経て、自分や実母のような母娘は他にも沢山いるだろう、しかし自分達と同じ轍は踏んでほしくないとの思いもあり、本にする事が出来たようだ。




躾や勉強には相当厳しいお母さんで成績が振るわないと暴力による制裁もあったようだ。



医学部に入れと娘に求め続けたが9浪したが進学は叶わず看護師になるが、そこでも母は助産師の資格を取るべきなどと娘の進路をコントロールしたようだ。



逃げ場が無いと娘は思い詰め母親を殺してしまう。



相談すれば良いじゃないか?とも思うが、当の本人にすればなかなか出来ない事だった。



教師に相談したり家出をしたりするが連れ戻されてしまう。



私の周りでも母親が勉強や進学で我が子を追い詰めて子供が心を病んだ事例があった。



文武両道で性格も明るくご近所にもきちんと挨拶をする娘さんだった。



進学先は誰もが羨む名門校。



しかし彼女は次第に心を病み学校を辞めている。



彼女と私の娘はかつて同じ進学塾に通っていた。



彼女のお母さんは進学塾の他に子供に習い事をいくつもさせ、教育には相当に厳しいと感じていた。



いつの頃からか娘さんは心身のバランスを崩してしまったようだ。



私の娘と似た年齢なので非常に切ない。



私自身も娘の受験時には志望校選定に多く関わり、勉強も手伝っている。



昨年の今の時期は娘の努力も相当のものだったが、私も夫も勉強を教えたし、なかなか上がらない合格判定に心身共にかなり応えた。



その過程で私は娘にかなりはっぱをかけた。



今にして考えるに我が子とはいえ言ってはならない言葉を発してしまい娘が涙したこともある。



結果志望校に合格した。



娘自身が志望校に入りたい意志があったからではあるが、果たして私のやり方は正しかったのかと今にして思う。




ランクを下げて勉強に難儀しない高校を選ぶ選択肢もあった。



娘よ、勉強はあくまでもあなたの将来の選択肢を広げて幸せな人生につなげるためのもの、親のために勉強すると思う部分が少しでもあるならば勉強なんかしなくてもいい…



そこは勘違いしないで欲しい。



思うだけではダメだ、言葉にして伝えなければ親子であっても全く伝わらない。



だから私は娘に繰り返し伝える。



私の周りでも子供を偏差値高い学校に入学させ、世間的に良いとされる職場に就職させることが親として立派なことだという考えが多い。



もちろんそれは親として嬉しい。



それはたまたまでありラッキーなことだと思う。



人生はどうなるかわからないものだからである。



高校入学後に娘の発達に問題があることが分かり受験の時に、娘にどんなに無理をかけていたかと思うと私は申し訳なさでいっぱいになる。



そんな時に、祖母の言葉を思い出す。



子供は我が子とはいえ、親のモノではない、神仏から育てよと天から一時的に託されたもの、だから大切に育てなければならない…



良くも悪くも子供の世界観は親が全てである。



そしてどんな子供でも親を喜ばせたい気持ちを持ち合わせているように思う。 



だから親の期待に頑張って応えようとする。



良い学校に入れたい、世間的に認められている職につかせたい、それは親自身が安心するため、周囲から認められたいがゆえの願望なのか?子供が幸せに過ごすためのものなのか?常に自問自答しながら子供に接したいと思う。