麦茶(日々の暮らし、心)

麦茶(日々の暮らし、心)

今はアラビア半島で生活中です。

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七ヶ月ぶりの更新となります。

前回の更新はサウジからでしたが、その後、家族ともども6月に帰国し、日本で慎ましく年末を過ごそうとしているところです。
勿論、無事、猫のうり坊も一緒です。
うり坊は、ジッダの空港で猫の輸出許可が搭乗開始時刻ギリギリになるまで下りず、綱渡りでしたが、成田では書類を完璧に揃えておいたため、係留なく預け荷物として再び日本の地を踏めました。

さて、帰国後は、すぐさま仕事に忙殺されていましたが、12月の初旬から妻が手術で入院することになったため、それに合わせて長期休暇を取って、育児・炊事しつつゴロゴロしたり、ドライブしたりしています。
この長い冬休みの目標はピアノでバッハのゴルトベルク変奏曲のアリアを弾けるようになること。
実は数ヶ月前に息子のために電子ピアノを買ったのですが、夜な夜なヘッドフォンつけてオヤジが練習しています。
鍵盤は超初心者ですが、ギターとベースをやっていた頃の名残で指は開くし動くようなので、一小節ずつ頑張っています。
取り敢えず今日時点で何とか前半部分は出来かけてきました。
バッハって凄いなぁと、少し進むごとに感動していく。
トリルや装飾音符は、考えるとわけ分からんので、もう耳から入ったグレン・グールドの完全パクリ。
アンドラーシュ・シフのように割り切れない音符としてはあと三年くらいは弾けないだろうね。(しかし、シフのアリアは何か物悲しい美しさがあるよね)
とにかく、夜な夜な没頭することとします。

今日は春かと思うような生温い十二月の雨の日でした。

日本への最終帰国まであと20日。
サウジの銀行口座も預金を全部引き出し、閉めてきました。
仕事の引継ぎやオフィスの片付けもしなければならないのだが、仕事がいつにも増して忙しい。
とにかく来週前半までには仕事だけは片そうと思います。
以前にちょっと書いた飼い猫のうり坊の日本への帰国準備は、ほんと長きに渡る奮闘の末、今日、ようやく、貨物ではなく預け荷物として一緒の便で帰れることになりました。
あとは、日本の検疫所の必要書類にサウジ農業省のスタンプを押して貰う最終関門を残すのみです。
これが、かなり難易度が高いので、情報収集に力を入れ、色々な策を練っています。
出発一週間前まで輸出許可書は貰えないので、今じたばたしても仕方ないのですが、何だかもどかしいですね。
気付いたら、結構、白髪が出てきています。
間違いなく、ここ数週間のストレスからだろうな。

ところで、フィリピン大統領選はやはりデュテルテ氏になったか。
一ヶ月くらい前からか、フェイスブックでフィリピーノの友人のデュテルテ氏を応援する投稿が増えていって、それがどんどん伝染していく様を見て、SNSってすげぇなと思いました。
Duterteというスペルは読みづらいし覚えづらいからかDu30と書かれてましたね。
それで私も名前を覚えました。印象的です。
ラジオを聞いていたら、エドゥサ革命によるマルコス失脚後、民主主義の30年の間、経済の急成長などはあったものの国民が、その恩恵を実感できず、変化を求めた結果の当選だと。
30年経た民主主義が、ここでアウトスポークンな独裁者(自称)を選ぶというのは興味深いです。
副大統領選がまだあるようですが、マルコスの息子が優勢だとか。
しかし、皆、大統領選は熱心で、これに合わせて一時帰国休暇を取ったフィリピーノの知り合いがたくさんいます。
フィリピンがどう変わっていくか、超興味ありますね。
今日、ドイツ人の業者さんに、込み入った話を相談したく3時半に電話かけてくれと予めメールで連絡しておいたところ、一分違わず、3時半ぴったりに携帯が鳴りました。
さすがはドイツ人だなと、サウジ慣れしてしまったダメな私にはとても新鮮でした。
やっぱり、約束の時間ぴったりに全ての物事が進むと、大変効率的な一日になるなと、ごく当たり前のことを再発見しました。
私のサウジ生活はもう四年近くになりますが、ドイツ人と知り合ったのは、記憶にある限りでは、まだ4人目でしょうか。
因みに、ヨーロッパ圏から来ている人は、私の職場周辺では、圧倒的にイギリス人が多く、次いで石油産業に縁があるからか、ルーマニア人が多い。

ところで、そのドイツですが、今朝、BBCラジオを聞いていたところ、ドイツの右派政党のマニフェストに関してトップニュースで流れていてちょっと気に懸かりました。
3月の地方選挙で10~15%を獲得したAFD (Alternative for Germany)なる極右ポピュリスト政党が、一昨日、シュトゥットガルトでイスラム嫌悪的なマニフェストを決議したとかで、2000人規模の左派デモが起きたとのこと。
そのマニフェストは、イスラムはドイツ憲法に適合せず、モスクの尖塔と女性のフルフェースのベールを禁止するというもの。
副党首は、平和的に溶け込んでいるムスリムに対して敵意はないと前置きしつつも、シャリーア法はドイツでは許されない、コーランの女性に関する記述はドイツ憲法に適合しないと断じています。
尖塔についての言い分は謎。

ドイツのイスラム評議会の人への電話インタビュー。
-AFDは経済・社会・教育などの特定のアジェンダもなく、ただのイスラム嫌悪しか唱えていない。
-この状況は、1930年代のナチの台頭のデジャヴだ。
-台頭の始まりに、この雰囲気と闘うべきだ。
-もしより多くの人々がAFDに投票したら?
-人々に歴史を教え、このような政党を禁止すべきだ。
-民主主義の敵と民主的に取引きすることは出来ない。
-彼らを民主主義のプラットフォームから追い出すべきだ。
と、話していました。

私の印象ですが、徹底した祭政分離のフランスと異なり、割と宗教的にも敬虔さが残るドイツにおいては、AFDの主張は奇異に見え、イスラム排斥だとの謗りを免れ得ないと思いました。
もともとポピュリズムなので論理なんて気にしていないのかも知れませんが。
しかし、なぜに尖塔が駄目なのか、本当に分からない。
最近、理由もなく悲しい気分になることが多いです。
困ったことです。
何か、三十代半ばに差し掛かり体内分泌物のバランスが変わってきているのでしょうか。
ふと先日、Morrisseyの最近のライブ動画で”Please, Please, Please Let Me Get What I Want”を見ました。


私は高校生のとき、The Smithsが大好きだったのですが、その頃、この曲は特に響きませんでした。
だけど何でだろう、今、年老いたMorrisseyが、目に涙をためながら一語、一語、噛み締めるように歌い上げる姿に思わず涙が出てしまいました。

Haven’t had a dream in a long time
But, see, the life I’ve had can make the good man bad
So, for once in my life, let me have what I want
Lord knows it would be the first time

自己流に訳すと、

長いこと夢なんてありませんでした
でもほら、私の人生が善人を悪人に変え得るということが分かりますよね
だから、人生で一度だけ、、、欲しいものをくれませんか
神様はこれが初めてのお願いになるってこと、知っているはずです

私は善人ではなかったけれど、少なくとも今ほどずるくはなく、社会に対しても臆病ではなかった。
それに夢なんて昔、自分から放り捨ててしまった気がします。
決して満たされることはないと知っているから、漫然と生きてきました。
人生にたった一度だけ、俺だったら何が欲しいのだろうか。

しかし、暑い。
気がついたら、もう日中は40度超えで、夏になっていました。
さすがにここまで暑いと日中は蚊は出ません。
ビールとウィスキーが飲みたくて仕方ないですが、脱サウジまであと約40日、我慢するしかありません。

帰国準備ですが、飼い猫のうりぼうの輸入届出受理書が成田の検疫から無事送られてきました。
やはり宗教的な理由からか、この国では、ペットの輸出入の手続きは本当に不明瞭です。
三年半前、うりぼうを日本からダンマームへ連れてくる時も、サウジ側での必要書類や手続きが全く良く分からず、直前になって、直接、農業省の出張所へ乗り込んで交渉し、アラビア語の輸入許可証を入手しました。
今回はそんなバタバタは嫌なので、エミレーツのジッダ営業所でペット輸出の実績のある輸送業者を紹介してもらいアポイントしました。
エミレーツの規定では、総移動時間17時間以内だったらチェックイン荷物としてのペットの輸送が可能なはずですが、どういうわけかジッダ発の場合、貨物扱いでないとダメらしいです。
預け荷物で日本へ運んだ事例も知っているので、しつこく食い下がりましたが、二年前からペットは貨物扱いになったの一点張りで、諦めました。
確実に日本に届くのなら個人的には貨物で良いのですが、ただし、貨物の場合は、乗り継ぎのドバイで五時間以上の休憩が必要だとかで、その点についてまだ揉めています。
それに従うと、十時間以上前に送らねばならず、猫は寂しがり屋なので、逆にストレスなはず。
ここは何とかもう少し食い下がろうと思います。
最終関門は、日本の検疫所指定のフォームにサウジ農業省の裏書き承認のースタンプを押してもらうことです。
しかし、これがなかなか難しいらしいという噂。
業者もイギリス、アメリカ向けでは同様のスタンプの要求があるらしく、うまくやってきたらしいのですが、日本は初めてのようで、お役所伺いの日は俺の努力も必要となるとのことです。
まぁ、とにかく直球勝負するしかないです。
血液も検疫所指定のドイツの大学のラボに送ったりと結構大変だったのですが、人間は菌撒き散らしながら自由に世界を移動できるのに何故ペットの移動はこんなに厳しいのか、、、ちょっと不条理に感じる時がありますね。

そんなうりぼうももうすぐ七歳。
人生の半分以上をサウジで過ごしたことになります。