黒いマント ② | 林秀子のフラクタル心理カウンセリング

林秀子のフラクタル心理カウンセリング

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Aさんは、このままだと、本当に安江さんの言葉通りになる

と心配になりました。

そこで、夕飯の支度をして、様子を見ることにしました。




「お母さん、地域の人と一緒に、活動するものってないの?」


「さあねー」


「とにかく、なにかして、元気でいてくれなきゃ」


「あなた達に教育受けさせて、仕事もしてきたのよ、

もう、十分でしょ」


「何言ってるの、だからこれからは、好きなことして」


「はいはい、それも十分楽しんだの。だからもういいでしょ」




ほんの少し食べただけで、スガさんが箸をおきました。


「お母さん、それだけしか食べないの?」

 

 「なんだかこの頃は、食べるとおなかが苦しいの」


Aさんは心配になって、スガさんの顔色をみました。

心なしか、青いように、元気がなさそうにみえます。


「もしかしたら、どっか悪いんじゃない?

病院に行った方がいいわよ。明日行ってよ」


 「年とると、そんなに多く食べれなくなるものなの」


「でも、おなか痛いんでしょ」


 「痛いなんて言ってない、すぐいっぱいになるだけよ」


「もー、そんなことばっかり むかっ


Aさんの顔は、眉間に皺をよせて、厳しい表情です。


「病院に行きたくないなんて ガンだったらどーすんの。

悪くする前に診てもらわないと、ね、」


スガさんは、大きくため息をついて、食卓を離れます。



子供達も食べ終わり、Aさんが、片付け始めると、


「そんなことは私がやるから、もう帰んなさい」


スガさんは、あきらかに、Aさんをけむたがっています。


仕方なく、Aさんは、子供たちの手を引いて帰ることにしました。





家に帰って暫くすると、スガさんに電話しますが、

電話は留守電になってしまいます。

勧誘の電話が多いから、留守録も受付けないようになっています。



翌日、Aさんは子供達を送り出したあと、再び電話してみました。



しかし、スガさんは電話に出ません。

「もー、何してんのかしら?」 


お昼頃に電話しても、やはりでません。

「どっか出かけちゃったんだわ、きっと」


夕方電話しても、つながりません。

「やだ、お母さん、大丈夫かしら?」 


「そ-だ、安江さんに様子を見に行ってもらおう」


Aさんは、安江さんの電話番号をプッシュし始めます。




すぐにAさんは、「アッ!」と叫んで口に手をやりました。



「私も黒マント着てる、後ろに仮面がある!」

                          つづく