「細かすぎて伝わらないモノマネ」に見るスキル | 10月の蝉

10月の蝉

取り残されても、どこにも届かなくても、最後まで蝉らしく鳴き続けよう

昨日の放送を途中から観たのだが、今日もう一度録画したものを最初から観た。結局昨日観たところももう一度観た。同じくらい面白かった。

 

最近お笑い番組や漫才ではなかなか笑えなくなっているのだが、昨日の「細かすぎて~」は笑いっぱなしだった。なんでこんなに面白いんだろう。

一人一人の持ち時間は非常に短い。それこそ、出てきて数秒で落下させられる。

でもその一瞬で確実に「何か」を伝えてくる。

私が好きなのは日常系のもの。有名人のモノマネではなく、普段の生活のちょっとした瞬間を切り取って再現したもの。

昨日出場していたなかでは、女性二人組(いわし、とかそんな名前だった)が秀逸だなと思った。

「エレベーターの中でのポジションチェンジ」だとか、「電車の中でいちばん速い人」とか。

観ているほうが自然に「あ~、あるある」と思うくらい、観ている側の経験を引き出してくる。

その表現力とか、どの瞬間を切るとるかの判断とか、タイトルの付け方とか、本当にうまいなと思う。他の出演者の人たちもみんなそうだった。

モノマネ、というか、ある瞬間の形態模写、なんだろうな。

何もない空間を、ちゃんと想定した内容に見せてくる。背景の物語や今までの経緯、これからの展開すら想像する余地があるのだ。

目線の使い方もうまいなあと思った。ちゃんと見てる。見えている。

一人芝居を始めてからそういうことが気になるようになった。

「見てるつもり」になりやすいのだ。なんとなくそれっぽくそっちのほうに目をやって、見ているふうに演じてしまう。でも、観客からすると「見てるふり」なんだなというのは案外わかってしまうものなのだ。

でも、予選を勝ち抜いて出場した人たちはさすがにそういうところはちゃんとしてて、だからこそ一瞬でその世界に引き込まれてしまうのだと思う。

 

ちゃんとした(っていうのもどうかとは思うが)モノマネの人もいて、それはそれですごいし、

着眼点がずば抜けている人や、アイデアが面白い人もいて、今回の「細かすぎて~」は本当に面白かった。面白かったし、参考にしようと思うこともたくさんあった。

 

昨日、恩田陸さんの「チョコレートコスモス」を再読してしまってちょっとへこんでたのだが、いやいや、私は私でできることをやりましょう、と思い直した。

フィクションだとどうしても「天才」が出てきてしまうので、無駄にへこんでしまうのだが、演劇の裾野にいる私にだって努力できることはあると思う。思いたい。

今週末、本番なのでねー。きっちり詰めていかないと。