リバイブの儀式 | 10月の蝉

10月の蝉

取り残されても、どこにも届かなくても、最後まで蝉らしく鳴き続けよう

しいたけ占いによると、2024年上半期は「生き直しの時期」らしい。

なるほど、占いっていうのは当たるような気持ちになるものである。

2023年は、振り返ってみると激動の年であったし、2024年も3月まではなんだかんだ忙しかった。

でもそれも、なんとなく一段落ついた感がある。

 

私はふだんめったに旅行をしない。

行きたい場所限定で弾丸移動することはあっても、「旅行」という言葉からイメージされるような移動はほぼしない。

「行きたい場所に行くこと」はとても好きで、なんなら思いつきで行動してしまうこともあるんだけど、この「行きたい場所」というのは本当に限定的なのである。

例えば、気になる展覧会をやってる美術館に行きたいと思ったとする。それがちょっと遠い場所にあるから時間をかけて移動するわけだが、その美術館に行くこと以外にはたいして興味がないので、泊まる場所とか食べる物には全然こだわりがない。

こういうホテルに泊まりたいとか、こういうものを食べたい、という欲求がどうやらかなり薄いらしい。

近くて、安くて、気軽。これに尽きる。

息子が遠くの大学へ行ったので(しかもわりと観光地)、そこへ行くことが増えたが、それだって明確に目的がある。出演する芝居を観る、とか、大学関連の用事をする、とか。

そのついでに周辺をうろつくことはあるけど、逆にいうと「周辺を観光する」という行動は目的にならないのである。

 

どうも私は「観光」という行動がうまくできないらしい。

だから、「観光で災害地を支援する」というのがうまく理解できないのである。

平時ですら、「行ったらもろもろ手間をかけさせてしまうから申し訳ない」と思ってしまうのに、災害でダメージを受けているところへ行ったらさらに迷惑なのではないかと思う。

たぶんこれは、私が「観光に行くことでお金を使う」ことをほぼしないからなんだろうな。

結局、支援って経済を回す、つまりあれこれお金を使う、ということなわけだから。

お金の使い方はいまだにうまくならない。

 

とはいえ、「リバイブの儀式」のために2024年度上半期は旅行なんかもしてみましょう!としいたけさんは言う。

どうでしょうなあと思っていたら、ちゃんと旅行する機会がめぐってきた。

(こういうときに占いを信じてしまうんだなあ)

夫のリフレッシュ休暇にあわせて旅行をしようということになったのだ。

最初はそれこそ目的がなくて、ただ観光地へ行こうというだけだったので気乗りしなかったのだが、ひとつ明確な目的ができたとたん、急にやる気が出てきた。

京都の太秦映画村へ行こうと思いついたのだ。

 

太秦映画村には淡く苦い思い出がある。

もう30年も前になるのだが(!)、一度だけ映画村に行ったことがある。

前夫との離婚直前の時期だったのだが、ふいに思い立って娘を連れて出かけたことがあるのだ。

どういう経緯で映画村へ行くことになったのかはもう覚えていないが、小雨の降る中、広い映画村をぼんやり歩いたことを覚えている。心境的にはとうてい楽しめる状況ではなかったのに、それでも映画村のいくつかのアトラクションに心が躍った。

あれから30年も経って、かなり映画村も進化したようだ。なにより、エヴァンゲリオンの京都基地があるのだ。山陰本線の特急の窓から見えるエヴァンゲリオンの躯体がいつも気になっていた。そうだ、あれを観に行こう。

そうやって目的が決まったら俄然やる気が湧いてきた。

そして今回もやっぱり、泊まる場所や食べる物にはあんまり興味が湧かない(笑)

そりゃあもう、面白いくらいどうでもいいのだ。

たぶん私は、「日常のルーティン」がないとだめなのだと思う。旅先というのはイレギュラーなものだから、いつもやってることができないし、いつも食べているものがない。

一泊程度、かろうじて二泊くらいまでならなんとか耐えられそうだが、それ以上となると自分の中のモードが変わってしまう。(今は定住モードで暮らしている)

 

なんにしても、占いどおり私は旅行に行くことになった。

これがリバイブの儀式になるといいな。たぶんなると思う。

気がつけばなんとなく周囲の環境が変わりつつあって、今までよりも楽に生きていけそうな気もしている。わかんないけど。

旅慣れた人から見たら二泊なんて小も小の旅行だろうけど、私にとっては大旅行である。

久しぶりに旅行計画を立ててワクワクしている。