旧作DVDの楽しみ | 10月の蝉

10月の蝉

取り残されても、どこにも届かなくても、最後まで蝉らしく鳴き続けよう

春休みに息子が仮面ライダーのDVDを見たいと言いだしたので、TSUTAYAの借り放題というサービスを利用することにした。

彼は、過去作の仮面ライダーをいろいろ借りて、どっぷりとそれを楽しむ日々を送った。

学校が始まると時間がなくなったので、息子の利用は止まっていたが、代わりに私が使ってみることにした。今まで気になってたけど観てなかった映画を、この際観てみようというわけだ。

 

一度に5本まで借りられるので、限度いっぱいまで借りてきた。

「スタンドバイミー」

「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」

「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」

「陰日向に咲く」

「『また、必ず会おう』と誰もが言った」

以上の5本。

 

まず最初に「打ち上げ花火~」を観てみた。

岩井俊二監督の有名な作品だったが、未見だったのだ。

ちょっと前にアニメで映画になったんじゃなかったかな。主人公の男の子の声を菅田将暉くんがやってた気がする。(ちなみにそれも見ていない)

もともとは「if もしも」っていうドラマ用の短い作品だったらしい。

そのせいなのかなあ。見終わった感想としては、「ふーん……」という感じだった。

奥菜恵さんは信じられないほどかわいかったけどね。山崎裕太さんもムチムチしててかわいかった。

小学5年生くらいの設定なのかな。あんなに大人びていただろうか。5年生って。

まあ、映画だからなー。ガキっぽい行動すらも、「あえて」それを選択しているようにも思えてしまう。

でも、「子どもであること」の圧倒的な無力感はあったような気がするなあ。

子どもと言う立場って、究極のところ、絶対的に無力だよね。

家出をしようとしても中途半端だし、最後の最後は大人の言うことに従わざるを得ない。

最高に幸せな状態として、「きちんと大人に守ってもらえる」状況にいる子供は別だけど、それは単にラッキーだったということにすぎず、たいていの子どもは子どもであるがゆえの理不尽さに耐えていかなくちゃならない。だから早く大人になりたい、と思うわけでさ。

大人になってもいいことは少ないけど、少なくとも子どもの時にみたいに、絶対的な弱者ではなくなるからねえ。子どもは哀しい、と見てて思ってしまった。

 

次に観たのが「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」

なんちゅータイトルだ、と。公開されたのはかなり前だけど、うっすらタイトルに聞き覚えが(見覚えが)あった。内容が想像できないし、なんだか小難しい話なのかなと思っていた。でもそうじゃなかった。

 

主人公の男の子が、診断はつかなかったけどかなりアスペルガー症候群の特徴を備えてる子で、そのことがとても重要な意味を持つ映画だった。

彼の行動原理がわりと共感できて、息苦しくなるほどだった。

ラストに向けてちょっと拍子抜けするような展開にはなるんだけど、でもたぶん「鍵の謎を解く」というタイプの映画ではなかったのだ。彼の心の成長ぶりがじんわり胸に染み込んでくるいい映画だった。

当時賛否両論だったらしいが、私はこの映画、とても好きだと思った。

オーディションで見つけた男の子だそうだが、こういう子が存在しててちゃんと見出してもらえるっていうあたりがすごいなあと思ったし、それが映画として成立するところもすごいと思った。

途中で涙腺が決壊してしまったので、映画館で観なくてよかったのかも(笑)

 

DVDのいいところは、家で一人で観られるところ。心置きなく涙を流せるからね。

実は、「ものすごく~」を観てるとき、ラスト30分くらいのところで、出かけていた夫と息子が帰ってきてしまい、やむを得ず心に蓋をして観るはめになってしまった。ちと残念だったなあ。

 

私は人前で涙を流すことがとても苦手なのです。

子どもの前で泣いたのも、彼らが物心つく前。つまり、私のことを個別に認識するまでのこと。

物事がわかるようになってからは、子どもの前といえども涙を流すことはしなくなった。

いわんや夫の前においてをや。

 

さて、次はどれを見ようかなあ。

「スタンドバイミー」はむかーし、映画館で観たことがあるけど、懐かしくて借りてみた。

今はなきリバー・フェニックスくんが出てるし。

あのころは、「死体を見に行こうとする少年たち」の意味がよくわからなかった。今ならわかるのかなあ。

 

「陰日向に咲く」は岡田准一さんが出てるので、公開当時に見ようかと思ったんだけど断念した記憶がある。「SP」を見て岡田さんのファンになった、と思っていたころなので、観に行ってもよかったんだけどねえ。なぜか躊躇した。

今ならその躊躇のわけもわかる。私は「SP」の井上薫が好きだっただけで、岡田准一さんのファンだったわけじゃないんだなあ。彼が演じている役が好きだったのだ。

だから、役や話が好きじゃないと見る気になれなかった。

さて、「陰日向に咲く」はどうなんだろうなあ。

 

「『また、会おう」と誰もが言った」は、まったく予備知識なし。

当たりだといいんだけどな。

 

返却期限がないので、時間のあるときにゆっくり見ようと思ってる。