桜通信 | 10月の蝉

10月の蝉

取り残されても、どこにも届かなくても、最後まで蝉らしく鳴き続けよう

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春がポロポロこぼれ始めています。

今日の夕方の公園内の気温は14度。
ひんやりした風が心地よかったです。

黄緑色を帯びた白い花を咲かせる桜や、ぼってりしたピンクの花を重たげに咲かせた桜などは、早々と春を謳歌しています。
でも、池の周囲に並んでいるソメイヨシノたちは、まだ本番前のメイク中。
まるでリハーサルのように所々で花を咲かせて様子をうかがっているようです。


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今年はこんな感じでどうかしら? とでも言っているよう。


白い貴婦人たちはパーティーに夢中です。

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オホホホホ、という気取った笑い声が聞こえてきませんか。

3月の最終週を迎えて、一気に「春」が加速しています。
まだ、フェイントで寒さが戻ることもあるかもしれませんが、来週の火曜日からは4月が始まるし、どんどん春は本格化していくでしょう。

この公園には里桜も植えられています。
里桜はいつも一番最後に、貫禄たっぷりに登場します。
今はまだ、ねじまがった枝が不気味に伸びているだけ。
ソメイヨシノは枝の先が細かく分かれていて、それゆえに花がぱーっと広がって見えます。
里桜の枝はあまり枝分かれしておらず、1本1本が老婆の指先のように見えます。
そこに、「ああ、桜餅が食べたい」とつい思ってしまうような八重の花をつけるんですね。
ソメイヨシノたちが早々とショーの幕を下ろして、さわやかな緑の葉をまといはじめるころに、年増女の濃厚な色気を漂わせて咲き誇る。これはこれで大変趣があります。

ソメイヨシノを見ていたら、この桜ってまるでAKBのような大人数のアイドルグループのようだなと思いました。一つ一つの花もそれなりにきれいなんですけど、数輪ずつ固まって咲くことで、いっそう魅力的に見せています。
梅の花が、一つ一つ単独で咲くのとは対照的だなと思いました。
桜はグループ歌手、梅はソロ歌手、って感じがしました。


こんなかわいい花達もいます。

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コロボックルが集まって、「今年の春はどんなもんだろうか」と会議してるみたい。


植物はほんとにすごいといつも思います。
置かれた場所で精一杯咲く。
日差しや気温を忠実に感じ取り、生きる目的をまっとうする。
公園を歩き、あちこちの植物の姿を見る度に、謙虚な気持ちになります。


弥生の空は、見渡す限り…

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