私が住んでいるところは、某●●組が小高い丘を切り崩して造成した宅地であります。全部で80戸ほどの四角く仕切られた土地があるのですが、現在のところ、半分くらいしか家が建っておりません。
従って、あちこちに空き地があります。てゆーか、空き地の方が多いのか?と思えるくらい。
当然、そこには雑草が生え茂る。
我が家の隣も、空き地です。窓からよく見える。
寒い冬を越えて、暖かくなってくると、だんだん緑色が増えてきます。
最初はおずおずと、小さな、子供の手のひらのような葉っぱが、あちらこちらから顔を出してくる。春の芽吹きというのは、心躍るものがあって、ふと、口元がほころぶような、ちょっとした幸せを感じるのです。
やがて季節が進み、温かい雨が降るころには、ぐんぐんと伸びる雑草たちが人々のある欲求を誘います。
「草刈りしないと」
うちの隣の空き地では、葛が最大勢力を誇っています。思春期の少年の手のひらのような、みずみずしい葛の葉が、ぺたりぺたりと山を作り、陽光を跳ね返し、雨粒を宝石のように光らせます。
雨が上がれば、むっとするような夏のにおいを放ち、私は青空と交互に見比べてうっとりするのです。
そんな幸せも束の間だった・・・。
先日、大規模な草刈りが行われ、見事に雑草たちは一掃されてしまいました。
力なく地面に積み重ねられた草たちは、あっというまにその輝きを失い、茶色の枯草になってしまいました。窓からの景色が、一瞬にして冬に。
でも、私は知っている。刈り取ったまま放置された草は、次の命の礎となることを。
雨が降り、雨がやんで、強い光が降り注げば、そこはまた雑草たちの楽園となることでしょう。私はその時を待っている。
宅地なんで、草刈はやらなきゃならないもんなんでしょう。うざうざ茂って見苦しい、というわけで。また、草刈したおかげ(?)で虫たちがむき出しになり、鳥たちが大挙して押しかけてます。時ならぬ饗宴。
ま、そんなこんな、全部コミの営みなわけですよ。
私は昔の子なんで、雑草生い茂る原っぱって大好きです。
名のある立派な花もいいですが、雑草といわれる植物の小さな花も大好きです。
剪定された木立も緑なら、雑草たちも緑です。
蚊がわく、といわれますが、それも自然の一部です。食われるのは嫌ですが、虫よけなんかで立ち向かうだけです。
でも、そんなこと、大きな声では言えないよなあ。