海が荒れているような気がする。
いや、荒れていないのか?
私がそう思っているだけなのか?
水面が、空が、
真っ黒の不安で塗りつぶされているような気がしてならない。
私はどこへ向かっているのか?
この道は正しいのか?
舵はどちらへきればいいのだ?
羅針盤がない。
私の船にははじめから羅針盤がない。
その時々の思いつきで
船の舳先を向けてきただけなのだ。
私が決断しなければならないのに
私が判断を下さなければならないのに
何を頼りに
何を信じて
船を進めていけばいいのか
皆目見当もつかない。
いっそ
荒波にまかせて
なるようになってしまえばいいのか。
そうしてしまえ
と、そそのかす声と、
それではいけない
と、たしなめる声が、
交互に降ってくる。
羅針盤がほしい。