ドラマ「幻鏡閣」 第1集 | 江湖笑 II

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ドラマ「幻鏡閣」

 

第1集

 

 

 

 

 

 

 

<1> 血色人魚()

 

 

 近年、広陵城では奇妙な事件が多発している。主に妖魔が関与する事件だ。

 そこで朝廷は異能を持つ者を広く募り、広陵城に浄邪司を設置して怪異事件に当たらせた。捕頭を務めるのは女性の浅夏である。

 昨夜も南街の小路にて、一般の衙門では手に負えない事件が起こった。

 衙門の役人からの通報で、さっそく浄邪司が乗り出す。

 

 

 南街の一角に人だかりが出来ていた。かれらが遠巻きにする中心には男性の遺体が転がっている。

「こいつは浄邪司の出番だな」

「噂に聞く紅い服の女は事件の詳細を知らないのかな」

 野次馬が好き勝手言っているところに、浄邪司捕頭の浅夏と捕頭の小七が駆けつけた。野次馬を散らし、調査にかかる。浅夏は遺体に掛けられた布をめくった。

 死亡した男性の名は楊尭鶴。豪商司徒家の入り婿で、人当たりは良かった。

 司徒府からこの小路まで、さほど距離はない。上着を着ていないところを見ると、昨夜あわてて司徒府を出たようだ。

 周囲に争った形跡はなく、血痕も落ちていない。しかし彼の首にはひどい擦過傷が残っていた。

 遺体の近くで、浅夏は一枚の鱗を拾った。事件と関係があるのだろうか。

 ふと視線を感じて、浅夏と小七は顔を上げた。小路の角でこちらを見つめる人物がいる。紅い衣服を着た女性だ。

「小七、あれは誰だ?

「巷でよく聞く幻鏡閣の閣主じゃないかな」

 鬼神に通じていると言われる女か。

 

 

 楊尭鶴の妻、司徒婉児は足が悪く、移動には車いすを使用している。

 浅夏率いる浄邪司の捕快は聞き取り調査のため、司徒府を訪れた。ところが司徒婉児は夫が殺されたというのに全くしゃべらず、微笑を浮かべている。

 ほかにも不審な点があった。屋敷の前院は清掃されているが、家人の住む后院の庭は雑草が伸び放題で荒れていた。

 そこで、浅夏と小七は夜を待った。司徒府の后院に忍び入り、羅盤であたりをつけて庭の土を掘り返す。

 白骨化した女性の遺体が出てきた。左足に比べて右足の骨が短い。死亡時期は約一か月、遺体は薬物処理されて白骨化したようだ。

 その時、前院に通じる門を女性が横切った。

「誰だ!

 浅夏が駆け出す。小七は腰を抜かした。

 ぱん、と音を立てて、女性の姿が赤と黒の霧に変わる。

 

 

 無人の街を赤と黒の霧が逃げる。それを追って、浅夏は川に掛かる橋を駆け上がった。

 橋の半ばで浅夏の姿がかき消えた。

 

 

 気付くと浅夏は広い店内に入り込んでいた。紅い照明のなか、宙に幻鏡閣の三文字が白く浮かぶ。

 ここが幻鏡閣か。

 浅夏は棚に陳列されている物品を見て回った。

「彼岸花開開彼岸、生死際会随縁散」

 不意に女性の声が聞こえて、浅夏はふり返った。

 紅い衣服の女性が立っている。南街小路で見かけた、あの女性だ。

「幻鏡閣へようこそ。お話をお聞きしましょう」

 

 

 

 

 

 

<2集に続く>