今回は、「時計」 です。

 

こちらの筋追いは、気になったドラマを、世に出回る商業翻訳ではなく、ドラマ好き有志の英訳・もしくは配信サイトの英訳をもとに、(英語ができないくせに)果敢に訳した「なんちゃって訳」となっており、多少、ストーリー展開は訳者の願望に寄ってます。視聴しながら生じた疑問の考察やら、内容を把握しながら、突っ込んだり、賞賛したりしたいという、ドラマ好きの発露です。

ラストまでの完全ネタバレです。

いつものごとく、本格的なネタバレ&上記のご注意をご理解いただき、OKの方のみ、おすすみください。お願い

 

シグナル  시그널 英題:Signal

 (tvN Jan 22, 2016 - Mar 12, 2016 1時間15分×全16話)

対象:15歳以上

脚本:Kim Eun Hee

演出:Kim Won Suk

 

※このドラマは、犯罪を扱うという特性上、登場人物がエピソード毎にたくさん出てくること、1話完結ではないこと、現在・過去の描写が頻繁に入れ替わる、など、通常の筋追いでは、わかりにくい部分もあるため、補足も兼ねて、びびの独断で、人名や、人間関係など、ドラマよりも先に、リマインドしたり、説明をする場合があります。

極力、ドラマ上、「なるほど!! この人がこういう立ち位置だったのね」という謎解き部分の醍醐味が損なわれることのないように工夫したいとは思いますが、なにぶん、整合性を取り切れない箇所もでてきそうな気がします。

余計、わかりにくくなったりしたら、ほんと、申し訳ないです。

 

前記事をお読みでない方は、さきに、こちらからお読みください。

 

#15-1

 

【Episode 15-2】

 

現在

 

~漢江に近い高架橋の側道~

 

車を停め、無線機を見つめているスヒョン。

 

今までの、ヘヨンの不可思議(に思えていた)な言動を思い出しています。

 

~回想 ~

 

ヘヨン「もしも・・ですけど・・・、もしも、過去と交信出来たら、どうなると思いますか?」(#3-2

 

ヘヨン「俺たちのせいで・・・いや・・・俺のせいで、彼女は死んだんだ。あんな無線機なんかなければ・・・」

最後の方は、呟きに変わっています。

スヒョン「え?」

ヘヨン「元に戻さなければなりません。もし、まだ、俺にチャンスがあるのなら・・・」(#3-4

 

 

スヒョン「キム・ユンジョン事件、京畿南部連続殺人事件 ハン・セギュの事件・・・、あんたが関心を見せる事件はみんな、イ・ジェハン先輩ニムと関係があるのは、どういうことなのかしらね」(#9-2

 

 

スヒョン「あなただって、非番のはずでしょ。なのに、こんなところでなにしてるの? 一体、なんで、そこまで、イ・ジェハン先輩に執着するの?

ヘヨン「もし、本当のことを言ったら、信じてくれますか? 自分自身でも信じられないくらいなのに、チャ刑事さんにそれができるとでも?」

(#11-4)


 

その時、時刻は、23:23。

※14話から、意識的に、スヒョンの時計を大写しにしております。

 

論証より拠、とばかりに、スヒョンの見ている前で、スヒョンの手にしている無線機の電源が入ったのです。

 

うろたえるスヒョン。

スヒョン「これって・・・なんなの・・・これ・・一体、どうなってるの?」

 

ジェハン「パク・ヘヨン警衛ニム?」

無線機から聞こえてきたジェハンの声に、目を見張るスヒョン。

(#14-4)

 

 

こんな風に思い返すことは出来ても、だからといって、納得するまでには、とても至りません。

一人、車中で、混乱しています。

 

 

過去

 

~課長室~

どこかでケガでもしたのか、右手の人差し指に薬をつけ、バンドエイドをまくボムジュ。

 

そこに、ジェハンがバタン、と大きな音をたてて、入室してきました。

 

血に染まったシャツのままのジェハンを見るボムジュ。

ボムジュ「なにごとだ?」

 

すぐさま、怒りをぶつけるか、と思いきや、そうではありませんでした。

淡々と、話を始めるジェハン。← それだけ怒ってるって証です。

ジェハン「ソ・・ソヌは、自殺なんかしません。 自殺じゃないです。私に、はっきり言ったんです。インジュ事件の真犯人を暴く証拠があると・・」

 

~ジェハンの回想~

 

ソヌ<ヘスンの事件の件で、証拠を見つけたんです>

 

 

ソヌ<あの日、身に着けていた、ヘスンの赤いマフラーです>

 

~ソヌの自宅~

ソヌが運ばれた後、現場検証等が終わった家の中に入ってきたジェハン。

 

床の上には、まだ、生々しく残る、ソヌの血だまりを見て、しばらく、固まってしまいます。。

 

耳に残る電話でのソヌの言葉。

 

ソヌ<もう、誰のことも信じられないんです。刑事さんに直接渡したいんです>

 

どれほど、ソヌが自分を待っていたのか・・・それがわからないジェハンじゃありません。

 

とても立っていられず、しゃがみ込んでしまう。

押しとどめた涙が溢れそうになりながら、なんどもなんども 大きく深呼吸をするジェハン。

 

それでも、息を整え、刑事の顔になると、部屋の中にあるものを調べ始めていく。

すでに、めぼしいものは、最初に来ていた警察があらかたチェックをしていったはずではあっても、それでも、ともすれば、くじけそうになる気持ちを奮い立たせ、引き出しの中や机の下なども見ていくジェハン。

 

ソヌの部屋だけでなく、居間の中も丹念に見ていきます。

 

ジェハン「でも、いくら家の中を探しても、赤いマフラーを見つけることはできませんでした」

 

ジェハンが何を言い出すつもりなのか、少し緊張しながら聞いているボムジュ。

 

ジェハン「誰かが、ソヌの死を自殺に見せかけたんです。そして、証拠を持ち去った・・・」

一言喋るごとに、一歩一歩、ボムジュのほうに近づいていくジェハン。

 

ジェハン「その証拠を決して持ってはならない人物です」

 

ボムジュ「なにが言いたいのか、さっぱりわからないが、いい加減にして、さっさと出ていってくれ。報告事項がある場合は、手順に従って、正式に行うように」

 

ジェハン「私、インジュ署で、変なことを聞いたんですよ。」

~インジュ署~

強力班に入ってきたジェハン。

ジェハン「すみません。 パク・ソヌの事件を担当した刑事さんはどちらですか?」

ちらりと後ろの席を見た警察官が、いま、いませんね、と答える。

 

どうしたものか、と思っていると、顔なじみの刑事が入ってくる。

よく、アン・チスと一緒に動いていた刑事です。

(ソヌがインジュ署にジェハンを探してやってきたことを連絡した人物でもあります)

 

ジェハンを見るなり、まずい・・・と視線をさける刑事。

 

呼び止め、話をしよう、と誘うジェハン。

 

~廊下の隅~

刑事「俺が、彼に話したのは、パク・ソヌが、イ刑事を探していたってことだけですよ。ソヌが自殺したのは、俺とはなんの関係もないんです!

 

うわ~~、この噛みつき具合は、かなり罪悪感を感じてる裏返しだねぇ。

 

ジェハン「誰に話したんですか?」

刑事「・・・・・・」

ジェハン「誰にです?」

刑事「チス兄(ヒョン)ですよ」

 

ジェハン「もし、アン・チス刑事が知ったのなら、彼は、ただちに、あなたに報告したに違いないですよね」

 

立ち上がるボムジュ。

ボムジュ「お、お前、何を言ってる? 気でも狂ったのか? 言葉を慎め!!」

 

ジェハン「部長ニム。あなたに対する内部調査は終了したと聞きました。状況証拠は明白であり、目撃者もいる。なのに、あなたは、告訴を免れた。・・・ベールに包まれた高いところにいるどなたかが、また、あなたを救ってくれたようですね。あなたが忠誠心を示すために、殺人まで犯してみせたから、その人は受け入れてくれたんでしょうな。

ボムジュ「もうやめろ。もう十分だ」

 

ジェハン「私もですよ!!」

今まで、抑えに抑えていたジェハンが、激高する。

 

ボムジュ「イ・ジェハン!!」

 

ジェハン「絶対、逃さないぞ。あんたを刑務所に送り込んでやる! どうして、あんな若い子に、そんなことが出来たんだ!! あんな幼い、まだ子供だったのに!!!」

ボムジュの首を掴むジェハン。

 

ふりほどくボムジュ。

 

ボムジュ「一体、なにする気だ? 誰か、こいつをここから連れ出せ!!」

 

ジェハン「あの子は、すでに、刑期も終えた。それなのに、なぜ、そんなに必死になって、自分の名誉を回復しようとしたのか、あんた、知ってるか? 自分への悔しさなんかのせいじゃないんだ!! 両親や弟のために・・・自分のせいで、バラバラになってしまった愛する人たちのためなんだ!!! あの子はただ、自分の無実を証明し、家族と再び過ごそうと望んでいただけじゃないですか!!

 

もう二度と、自ら言葉を発することが出来ないソヌの気持ちを、彼が少年院に入っている間、残された家族を見守ってきたジェハンが、彼に代わって、叫んでいます。

 

ジェハン「それなのに、あんた、そんな子供をよくも傷つけることが出来たな!?」

 

大声を聞きつけた刑事たちが部屋に入ってきて、興奮し、再びボムジュに掴みかかろうとするジェハンを取り押さえる。

 

ジェハン「放せ! 放せったら!! (ボムジュに)あの子は、まだ信じてたんだ。誤りを正せば、また、再び家族一緒になれるって信じてたんだ!! あの子は、そんな自分を助けてくれる大人がいると信じていたんだ!! 

もう、この辺りは、平静な気持ちで、ジェハンの言葉を聞くことができません。

ジェハンは、誰よりも、自分を責めているんです。

 

そのうえで、見誤ってはいけない、大事なことがあることもわかっているんです。

 

ジェハン「それなのに・・これはなんなんだよ!! どうしたら、あんな子に、こんなことができたんだ!! あんた、大人じゃないのか? あんた、人間か? 自分を警察官だと言えるのか?」

 

両腕を刑事たちに押さえつけられながら、部屋を出る最後の最後まで、発狂したように叫び続けるジェハン。


ジェハンの、放せ、放せ、放せって言ってるだろう、お前ら! という声が廊下に響き渡ります。

 

そんなジェハンを苦虫を殺しながら、見つめるボムジュ。

知りすぎたイ・ジェハンをこのままにしておく危険性が高まってきた、とも言えます。

 

 

~ジェハンの自宅 部屋~

 

卓上のスタンドだけを付けた暗い部屋で、煙草の吸殻だけは山盛りになっている。

 

無線機を前に、じっと、指を噛んでいるジェハン。

 

~回想~

ソヌ<もう、誰のことも信じられないんです。刑事さんに直接渡したいんです>

ジェハン<わかった。すぐにそっちに向かうよ。家にいて、どこにも出かけたりするな>(#14-3

 

ヘヨン<刑事さん、私です。お願いですから、ヒョンを助けてください!>

ヘヨン<刑事さんがおっしゃっていたように、うちの兄は罠にハメられたんです。そして、兄は、2000年の2月18日に亡くなるんです。殺されそうとしているんです!!>

 

ヘヨンの言葉を聞き、急いで駆け付けたけれど、間に合いませんでした。

 

その時のことを思いだし、一人、涙をこぼすジェハン。

 

それでも、ボムジュを責めたと同様に、自分のことも許せず、自分には泣く資格すらない、とでもいうように、顔を押さえ、涙をぬぐうのです。

 

病院で見た、ソヌの母親の慟哭と、泣きながら必死に耐えているヘヨン(小学生)の姿も思い出されます。

 

何度も何度も、自分の顔を叩いては、自分を責め、叱咤するのです。

 

それでも、こんな時でも、無線は繋がります。

ジジジ・・と音がする中、必死に、涙を拭きとり、無線に出る覚悟を決めるジェハン。

 

咳払いをしたり、何度も何度も躊躇った後、話し始めます。

ジェハン「警衛ニム。・・・申し訳ありません」

 

すでに、両目から、涙がポロポロこぼれて、そのたびに、中断するジェハン。

 

ジェハン「止められませんでした・・・私のせいです。すぐに、向かうべきだったんです。もし、彼からの電話を受けてすぐに向かっていたら、あなたのお兄さんを救えたのに・・・私がバカみたいに・・気持ちが他のことに向いてしまっていたんです・・大変、申し訳ありませんでした」

 

本当は、声をあげて、泣きたいんです。

たとえ、許されなくても、ヘヨンにとりすがって、頭を下げたいくらいです。

 

ジェハン「聞いていらっしゃいますか? 警衛ニム?」

 

大きく息を吐くジェハン。

 

その時・・・「先輩ニム?」と小さな声が聞こえました。

 

ジェハン「・・・・?」

 

ここから、過去のジェハンと、現在のスヒョンが、無線の交信に寄って、はじめてつながるのです。

 

無線機にむかって、話始めるスヒョン。

 

スヒョン「本当に・・・先輩ニムなんですか?」

 

ヘヨンにむけて、謝っているつもりだったのに、いきなり、スヒョンの声が聞こえてきて、混乱するジェハン。

 

ジェハン「・・・どうして、お前が・・・なんでだ?」

状況がわからず、無線機にむかって問いかけるジェハン。

 

スヒョン「先輩ニム・・本当に先輩ニムに間違いないんですか? ・・・答えて下さい。本当に、先輩ニムなんですね?」

 

ジェハン「・・・・・・・・・」

言葉にしようとしても、あまりのことに、声が出ません。

 

スヒョン「私・・・15年、先輩ニムのこと、待ちました」

すでに、涙ぐんでいるスヒョン。

 

その言葉を黙って噛みしめるジェハン。

 

スヒョン「でも・・結局・・・あなたは、亡くなって戻ってきました」

 

いつか、ヘヨンが言いかけたときに「それ以上はきかないことにします」と、あえて遮ったジェハンです。

漠然と、そういうことだ、と感じる部分があったに違いありません。

 

スヒョン「私、15年待ったんです。」

 

無線機を見ながら、実際に、聞こえてくるスヒョンの声を確かめているジェハン。

 

スヒョン「でも、結局死んじゃったんですよ、先輩ニム!! お願いですから、なにか言ってください! あなたが・・・待ってくれって言ったんですよ・・・私に話したいことがあるって言ったんです。待っていてくれって言ったんですよ!! だから、ずっと待ってたのに・・・・

途中から、号泣に代わるスヒョン。

 

ジェハンは、さっき、他のことに気を取られていた、と言ったばかりです。

そのせいで、ソヌは命を落としたのだ、と言ったばかりなんです。

 

この交信を、15年越しの再会とは、単純に言えないかもしれませんが、なんて、残酷すぎるタイミングなんでしょう。


スヒョンに言うべき言葉を考えあぐねるジェハン。

ジェハン「・・・・・・・・」

 

スヒョン「だから、なにか言ってください。・・・なにか、話してください・・・」

涙で途切れ途切れのスヒョン。

 

ようやく、無線機にむかって、語り掛けるジェハン。

ジェハン「チャ・スヒョン・・・俺は・・・」

そこまで言って、一旦、目を閉じるジェハン。

この涙の一筋に、全て、ジェハンの気持ちは込められているような気がします。

 

ジェハン「パク警衛・・彼になにかあったのか?」

 

散々、何度も、なにか言ってください、と頼んだにも関わらず、ジェハンから返ってきたのは、自分に対する言葉ではなく、泣き濡れるスヒョン。

 

その時、大切なことを思い出したのです。

 

ヘヨン<イ・ジェハン刑事さんに、彼の死について伝えることができませんでした。あなたは、8月3日に・・スニル精神病院にて亡くなるのだってことを・・・まだ、言えてないんです

 

 

スヒョン「先輩ニム! 8月3日、スニル精神病院、スニル精神病院に行かないでください! 聞こえてますか?」

 

ジェハン「・・・・・・」

 

スヒョンの言葉半ばで、無線は切れてしまいました。

 

現在

 

~スヒョンの車中~

 

スヒョン「そこに行ったら・・・」

スヒョンも、電源が落ちたのに気づきました。

 

スヒョン「先輩ニム・・? 先輩ニム・・・」

 

今は、もうこれ以上、ジェハンとつながることは出来ないのだ、と、スヒョンも理解したようです。

 

気持ちを切り替え、車を発進させるスヒョン。

今のスヒョンに、泣いている暇はありません。

 

 

交信というには、あまりにも、一歩通行で、とても会話が成立していたとは言い難いけれど、二人が、同じ時間を共有したことは確かです。

 

スヒョンもまた、ジェハンとつながることを、無線機に選ばれたってことでしょうか。← まさかの無線機の擬人化(苦笑)

 

 

~ジェハンの部屋~

切れてしまった無線機を見つめているジェハン。

 

「亡くなって戻ってきたんです」

「15年、あなたを待ちました。」

「でも、先輩ニムは結局死んじゃったんですよ!!」

 

はぁ、とため息をつくと、無線機を置き、

8月3日 スニル精神病院 とメモするジェハン。

 

これが、キム・ユンジョン誘拐殺人事件の時に、ジェハンのPCモニターに貼り付けられていたメモです。

 

「8月3日 スニル精神病院」と書かれたメモを手に取り、剥がすジェハン。

#1-2

 

 

なにか、考え始めるジェハン。

 

 

場面、がらりと代わります。

 

~スヒョンの部屋~

 

つながらない電話をみて、ため息をついてます。

 

スヒョン「一体、どこに行っちゃったのかしら?」

 

あの日、病院から抜け出したジェハンと、連絡がつかなくなってしまったようです。

 

スミン「お姉ちゃん、オンマがこれ食べなさいだって」

スヒョン「いらない。忙しいのよ」

スミン「なんでよ、食べればいいじゃん」

無視して着替えようとするスヒョン。

 

スミン「ちょっと、いいから、こっち座って。ねぇ、それからどうなったの?」

朝っぱらから、姉の恋バナを追求する妹(笑)

 

スヒョン「どうなったってなにが?」

スミン「気持ち、告白したんでしょ。」

スヒョン「なんの気持ちよ」

スミン「いいから、話してみてよ」

スヒョン「あんた、私がデートのために仕事にいくと思ってるの? 私はね、犯人を捕まえるのに忙しいの!!」

 

それくらいで引き下がるスミンじゃありません。← さすが、あのわんぱく小僧たちの未来の母(笑)

 

強制的に、姉を、再び鏡台のまえに座らせる妹。

 

スミン「あらまぁ、このお姉ちゃんの顔ったら見てよ。これじゃ、断られても当然ね。ちゃんとローションくらい塗ってるの?」

そしてまた、ピンクと美容の鬼の、あのオンマの娘でもあるのだ(笑)

 

スヒョン「黙んなさい! 強力班の刑事に、ローションなんて塗る暇あると思う?」

スミン「強力班の刑事は、息もしないわけ? 心臓も動かさないっていうの? そりゃ、犯罪者についてはよくわかんないけど、どうせなら、お姉ちゃんだって、彼に綺麗にみてほしいって思ってるでしょ。ちょっと、ここにこんないいのがあるじゃん。これ、ちょっとだけつけていきなよ」

スヒョン「そんなの必要ないってば。いいから、出てって」

 

スミンを部屋から追い出すスヒョン。

 

スミン(声)<オンマ!! お姉ちゃんったらひどい!! 私はただ、お姉ちゃんを助けてあげようと思ったのに、私のこと、叩いた!! ほら、この胸のとこ・・痛~~い!!」

オンマに言いつける声だけ、しっかり聞こえてます(笑)

 

あ~、今日はオンマは出演しないのね。

ざんね~~ん!!

急遽、追加されたシーンなのかな。

 

鏡の中の自分の顔を凝視するスヒョン。

 

スミン(声)<オンマ、お姉ちゃんを家から追い出さないの?一体、いつまで、部屋を共有しなきゃならないのよ。私、一人部屋が欲しい!! ねぇ、オンマ!!>

ははは、スミンのねらいは、合法的にスヒョンを家から出したいのね(笑)

 

スミンの、“彼に綺麗にみてもらいたいでしょ”の一言が聞いたらしく、クリームを塗り始めるスヒョン(笑)

 

でも、途中で、手をとめてしまう。

 

スヒョン(呟き)「こんなことしたからって、私のこと、好きになるようなタイプじゃないもん・・ああ、もう、おかしくなりそう」

 

~強力班~

 

朝、自宅でそんなこんなの騒動がありつつ・・・

 

スヒョン「おはようございます」

先輩刑事たちの間をすり抜け、自席に着いたスヒョン。

机の上に、キレイに包まれたプレゼントがおいてあるのに気づきました。

箱を開け始めたスヒョンを、(二人以上に二人のことをわかっている)先輩刑事たちが固唾を飲んで見守ってますが、その顔は誰も、冴えません。。。

 

箱の中身は、時計でした。

 

ん・・・となにかを感じ、ジェハンの机を見るスヒョン。

 

そこは、キレイに片付けられていました。

スヒョン「なに、あれ、どういうことですか? ・・・ジェハン先輩ニムはどこですか?」

 

気まずそうな先輩たち。

 

チョ刑事「お前にも言わなかったのか?」

キム刑事「あいつには、心ってもんがないんだ」

チョ刑事「イ・ジェハンは、異動になった」

 

え・・・と驚くヘヨン。

 

チョ刑事「イルサン署に異動願いを出したらしい」

あれ、チニャン署じゃなかったの?

私、近くでヘヨンを見守りたくて、チニャン署に異動したんだ、とばかり思ってたんだけど。。てへぺろ

 

それを聞き、時計の箱を持ったまま、強力班を飛び出していくヘヨン。

 

 

署の建物の正面まで出てきたところで、段ボール箱を持って、車に向かっているジェハンの後ろ姿が見えてきました。

 

スヒョン「先輩ニム!」

 

ふりかえるジェハン。

 

ちらりと、ジェハンの抱える段ボール箱を見た後、「これ、先輩ニムがおいていったんですよね?」と、時計の箱を見せるスヒョン。

 

ジェハン「・・・・・・・」

 

スヒョン「こんなことしてくれなんて、頼みました? 私がいつ、こんなこと頼みました?」

スヒョンにしては、乱暴に、ジェハンに言葉をぶつけます。

 

言いたいことはたくさんあります。

でも、今のジェハンには、スヒョンとの幸せを優先することはできないのです。

 

ジェハン「・・・・いらなきゃ、捨てろ」

 

そういうと、車の屋根に、段ボールを乗せ、出発の準備をするジェハン。

 

スヒョン「・・・・・」

目に涙をため、唇をかみしめると、時計の箱を、ジェハンの車の屋根にドンと乗せ、黙って立ち去るスヒョン。

 

時計の箱を掴み、スヒョンを追いかけるジェハン。

 

ジェハン「チャ・スヒョン!」

ここの、ジェハンの必死さ、伝われ!!

 

引き留められ、ジェハンの言葉を待つスヒョン。

 

でも、ジェハンは、そんなスヒョンの手に、時計の箱を持たせるのが精いっぱいなんです。

 

ジェハン「目の前の犯人に挑もうとするなよ。ナイフを振り回す奴には、絶対近づいちゃだめだ。あとで、いくらでも捕まえられるんだからな」

 

スヒョン「・・・・・・」

こんな時でも、この人は、こんなことしか言ってくれないのか。。

瞳が震えています。

 

ジェハン「ケガするなよ。病気にもなるなよ。」

 

刑事として、先輩としての言葉以外、男として、スヒョンに期待させるようなことは、決して口にしないジェハン。

 

見る見るうちに、スヒョンの瞳に涙がたまっていきます。

 

そのまま、黙って立ち去ろうとするジェハンの腕をつかむスヒョン。

 

スヒョン「先輩ニム!」

 

それだけで、必死に耐えるジェハン。

 

スヒョン「もし・・・これが、この間、私が言ったことのせいなら・・・」

 

最後まで言わせずに、自分の腕を、スヒョンから外すジェハン。

 

もう、それ以上言うな。

そのまま、時計の箱を持ったスヒョンの手に、自分の手を重ねている間、スヒョンを見つめる目は、そう語っているようでもあり、何も言えないと決めているようでもあり。。

 

涙を浮かべた目で、ジェハンをみあげるスヒョン。

 

ジェハン「刑事ってのは・・・いつだって、集中してなきゃならないんだ」

 

これが、今のジェハンに言える、唯一の“心の内”でした。

 

スヒョン「・・・・・・・」

それ以上は、スヒョンも口を開きませんでした。

 

今度は、本当に、車にむかって歩き出すジェハン。

段ボール箱を乱暴に、助手席に投げ込み、

出発させるジェハンを、目に涙を湛えて、じっと見送るスヒョン。

 

ここで、切りますね。

 

 

★『シグナル』EP.15-2 雑感★

 

来る日も来る日も、ルーペを覗いていた実直な時計修理工の息子のジェハンにとって、時計そのものの持つ意味も、時計を誰かに贈る意味も、他の人よりは、はるかに大きいはず。

一度は、スヒョンに突き返されても、追いかけてもなお、自分の手で渡したのは、言えない言葉の代わりでしょう。


黙って立ち去るつもりだったのに、追いかけてきたスヒョンを見て、もう、近くで守ってやれないと、ケガするな、病気をするな、と言ってしまうジェハンの心情。

どれも、泣けて仕方がない。

 

スヒョンとのプライベートが、刑事の仕事の集中の妨げる、と頑なに思い込もうとしているジェハンの覚悟に、無理もないと思いつつ、同時に、ちゃんと、言い含めてあげたい。


そもそも、悪いのは、ソヌを殺したボムジュです。← はっきり書くよ!

 

そこを、はき違えたらだめなんです。

それはもう、ただの、センチメンタルだからです。

誰よりも、「感傷の塊で出来てる」みたいな私が言うんだから間違いないです(苦笑)


だけど、不器用なジェハンには、自分を律することでしか、ソヌに対しても、ヘヨンに対しても、申し開きが出来ないんでしょう。


「15年待っていた」と、何度も何度も、無線の向こう側にいるジェハンにむかって伝えたスヒョン。

彼女が、その時計を外したことはなかったことは、今まで、折に触れて、映されていた時計のアップのシーンが物語っています。