Part 1に続いて、翌日(2017年10月10日)の様子をお送りします。
二日目はいわゆる「新線区間」を中心に歩きます。口羽~浜原間です。
新線といってもできたのは1975年。別々に江津・三次から延伸しつつも繋げてもらえなかったものの、鉄道公団の助力を得て悲願の全線開通。トロトロ江の川に沿ってのんびり進む三江線ですがこの間だけはトンネルと高架橋を駆使して猛進します。
三次駅から始発列車に乗り込みます。外はまだ暗い。
1日目でも触れましたがこの列車は30分途中の口羽駅に交換のため停車します。
その間に駅を訪問。人が多くて複雑な気分ですね。
(降りて筆者のように写真撮影に興じる)乗客向けに三江線グッズを販売するおじさんとお話しました。
「観光地化とか三江線自体のPRとかもっと早く何かできなかったのだろうか」
「ここはこのまま人口が減るからいいけど都会の人が老後の田舎暮らしを求めてなだれ込むと養えない」
などと深刻な話になりました。廃線という避けられない決定がなされた今、仕方がありません。
地元やファンが頑張って廃線を回避させるのも大層なことですが、まずは地元の人が豊かに暮らせるのが一番なのだと痛感しました。
話が弾み、あっという間に発車時刻になりました。伊賀和志駅は前の日に訪問したばかりなので素通り。
天空の駅として知られる宇都井駅で下車しました。
恐らく三江線で一番有名な駅です。これもまた「新線区間」ならではの風景。
山を高架とトンネルで貫く路線に駅を造るとこうなります。しかもここでは6階建て相当。
最近流行りのバリアフリーとは無縁…とネタにされていましたが廃駅になります。
さて、徒歩の旅を再開します。次の石見都賀まで95分。
鉄橋の写真を撮れるのが沿線歩きの醍醐味です。
またもや三次行きの撮影に成功。
心の友、江の川を渡ります。あとは国道を歩くだけ。
とうとう石見都賀駅が見えました。それにしても入り口が分かりにくい。
ちょっとだけ都会っぽいショットを目指しましたが時刻表でバレますね笑
入り口と花壇が印象的だった石見都賀駅でした。
次の石見松原までは75分。国道沿いなので道は単純ですが交通量は多く油断できませんでした。
少し不愛想な表示に従い、線路をくぐって回り込むと見えてきたのが石見松原駅。
地味な入り口の割に眺めがいいです。近くに小さいトンネルが続くのも新線っぽい。
ここから次の潮(うしお)駅までは44分。都会に暮らしていると徒歩44分なんて気が遠くなりますが、三江線徒歩マンからすれば楽な部類ですね。
そして江の川がすぐ近くまで寄ってきたと思うと、三江線で景色の最もきれいな潮駅に到着。
これにて筆者は三次~沢谷の全駅訪問を達成。
とにかく川と山とホームと線路の相性が抜群。必見の駅です。
ついついカメラに収めたくなる景色とはこのことですね。
歩くのが早かったため、列車の時間までたっぷり撮影することができました。
そして石見川本行きの本日2番目の列車が来ました。乗車します。
この列車は三次を10時頃に出発し昼頃に石見川本に到着後、一旦客を下ろし一時間半ほど休憩後江津行きになるという、最も乗りやすい列車です。
案の定二両繋いでおり、立ち客が多く出るほどの乗車率でした。
前述の一時間半の休憩時間ですが、これの一部を徒歩訪問に割り当てようと思いました。
そこで、終点石見川本の二駅手前の竹駅で下車しました。
ここから二駅歩き、余った時間はお昼ご飯を食べる計算です。
ポツンと一人下車する筆者を他の乗客は変な顔をしながら見送りました。
筆者もカメラを構え見送ります。またあとでね。
新線区間は終わっているので一日目のような雰囲気に戻りましたね。
40分弱で木路原駅。入り口の階段が寂しい。
森に寄り添うような木路原駅を後にし、旅は終盤へ。
20分程で川本町の中心です。ここまで旅をしてきた筆者にとっては散歩ですね。
昭和にタイムスリップしたような川本中心街。ここでお昼にします。
朝ドラ『ひよっこ』にはまっていたこともあって(舞台の一つが洋食店で、頻繁に昭和飯テロをしかけられました)、選んだのは洋食店のCafé du Soleil。ビーフカレーを頼みました。
川本町の可愛らしいシートは記念にいただきました。三江線の気動車が切ない。
味はなかなかのもので、これまでの旅の疲れはすっかり癒されました。
なんだかんだで発車時間も迫っていたので石見川本駅に向かいます。
三江線の途中駅では文句なしで最大規模。少ない有人の時間帯で駅員さんは大忙し。
駅スタンプは有人時にしか押せないレアもの。ちゃんと押しましたよ。
竹駅で降りた列車に再び乗り、終点の江津まで乗ります。
もちろん座席は川本町でたっぷりぶらぶらした客でいっぱい。乗り得列車なので尚更でしょうか。
撮影する暇もなく江津着。
ローカル線色の濃い山陰本線ですが、ここでは大幹線のように思えました。
おしまいに、これから見れなくなる江津駅の景色をどうぞ。
終わりです。時間は15時前。もっと三江線乗りたかったですがここまで。
この後筆者は山陰本線で鳥取まで出て宿泊し、翌日因美線・津山線に乗りました。
二日目は一日目より遥かに分量は少なかったですが、中間部をこなせたのは大きいです。
このような体験は一生ものなのだと思いました。昔の人は凄い、というのは言い古された表現ですが、平気で10キロでも20キロでも歩いていた時に比べ私たちがいかに恵まれているのか実感しました。
鉄道がまさになくなろうとしている今だからこそ、車窓からだけでは味わえない空気と景色でした。
12月になりますがPart 3に続きます。