― 体は静かな変化で知らせてくれる ―
体が整い始めるとき、その変化は強い刺激として現れることは多くありません。
むしろ、普段見過ごしてしまいそうな小さな変化として現れることがほとんどです。
気功の時間のあとや、静かに過ごしたあとに起きやすい変化を、いくつか挙げてみます。
まず多いのは、呼吸の変化です。
それまでよりも、息が自然に長く続くようになることがあります。
意識して深呼吸をするのではなく、気づくと吐く息がゆっくりになっている、という変化です。
呼吸が落ち着いてくると、胸やお腹まわりの緊張もゆるみやすくなります。
これは体が休む方向へ切り替わり始めたときに起こりやすい反応です。
次に起こりやすいのは、目や顔まわりの力が抜けることです。
目の奥の緊張がゆるみ、まぶたが少し重たく感じられることがあります。
視界がぼやけるのではなく、見え方の印象がやわらぐような感覚です。
顔の力が抜けると、無意識にかみしめていた歯の力がゆるんだり、額のしわがほどけたりすることもあります。
手足の感覚が変わる方もいます。
手のひらや足先が温かくなったり、床や椅子に触れている部分の感覚がはっきりしてきたりします。
これは体の巡りが落ち着いてきたときに見られる自然な変化です。
逆に、じんわりとした重さを感じることもありますが、これも力が抜けて体重を預けられている状態と考えられます。
もうひとつは、頭の中の状態の変化です。
考えごとがゼロになるわけではありませんが、次々と浮かんでいた思考の勢いがゆるやかになることがあります。
同時にいくつも考えていた状態から、一つひとつの間が少し広がるような感覚です。
これは集中力が落ちたというよりも、体が緊張のモードから離れつつあるサインのひとつです。
こうした変化はどれも、「はっきりした出来事」というより「状態の変化」に近いものです。
だから見逃してしまうこともありますし、「気のせいかもしれない」と感じる方も少なくありません。
けれど体の調整は、もともとこのくらい静かな変化として進んでいくものです。
整うとは、何かが劇的に変わることではなく、体が本来の働きをしやすい条件が少しずつ戻っていく過程です。
呼吸が落ち着くことも、目の力が抜けることも、手足が温まることも、その途中で現れる自然な反応のひとつです。
もし施術のあとや、ゆっくり過ごした時間のあとに、
- 呼吸が楽に感じられる
- 目の奥の疲れが軽くなっている
- 手足が温かい
- 体を預けやすい
そんな感覚があれば、体は落ち着く方向へ向かいやすい状態に近づいているのかもしれません。
大きな変化である必要はありません。
体の整いは、いつも小さな変化として始まります。
その静かな変化が積み重なっていくことで、少しずつ日常の過ごしやすさへとつながっていきます。
次回は、こうした整いが続いたとき、日々の暮らしの中でどんな変化が起きていくのかについてお話しします。
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