哀しい真実・・
【おことわり】
こちらの筋追いは、気になったドラマを、世に出回る商業翻訳ではなく、ドラマ好き有志の英訳・もしくは配信サイトの英訳をもとに、(英語ができないくせに)果敢に訳した「なんちゃって訳」となっており、多少、ストーリー展開は訳者の願望に寄ってます。内容を把握しながら、突っ込んだり、賞賛したりしたいという、ドラマ好きの発露です。
ラストまでの完全ネタバレです。
なお、扱う内容も、異性愛だろうと同性愛だろうと「どーんとこい!」でして、ある一部の性的指向を称賛するものではありませんが(笑)、若干、作品選定において、バランスは欠いております。
誰かにとっては不適切なテーマ、扇情的な言葉や画像を含むかもしれません。ごめんなさいです🙏💦💦
いつものごとく、本格的なネタバレ&上記のご注意をご理解いただき、OKの方のみ、おすすみください。
『猟罪図鑑 ~見えない肖像画~』
猎罪图鉴(獵罪圖鑑) / Under the Skin
2022年(中国)3/6~ 3/16, 2022
45分×全20話
脚本: Jia Dong Yan、 Wu Yao
演出: Xing Jian Jun
前記事未読の方は、こちらから
#EP5−2
~屋上~
梯子の上から、スマホだけを出して、二人の様子を撮影するフォン。
その時、杜城のところに、沈翊から電話がかかってくる。
藍心に気づかれないように、通話状態のまま、二人の会話を杜城に聞かせようというねらいです。
沈翔は沈翔なりに、この状況を、単なる絵描きのお手伝いじゃなくて、警察官として対応するつもりなんだよね。
後輩の刑事と撮影を交代したフォンも、スマホに耳を傾けて、もれてくる声を確認する。
藍心<知ってる? 私達がはじめて会った時、この校舎の中だったの>
~回想~
バスケットボールを片手に、美術室に入ってきた藍心。
趙梓鵬「ほら、この影の部分、平坦すぎるんだよ・・・私の力具合に従って、描いてみるんだよ」
そう言いながら、美術教師の趙梓鵬が誰かに覆いかぶさるように抱き着いているのに気づく。
持っていたバスケットボールを、目の前のイーゼルにキャンバスもろともたたきつけ、
ガシャーンと大きな音を立てると、気まずそうに出ていく趙梓鵬。
これは、趙梓鵬の供述どおり。
バスケットボールは転がりながら、任暁玄の足もとに。
そこで、筆を持った手をかすかに震えさせながら、ようやくゆっくりと振り返った任暁玄の怯えたような表情。
転校してきても、誰とも親しくなれない暁玄にしてみたら、これを誰に目撃されたか・・も、無視できない問題だっただろうからね。
そこに立っていたのは、詮索好きでおしゃべりな女子でも、ただただ騒々しいふざけた男子でもなく、まさに、おとぎ話の世界から飛び出たような、白馬に乗った王子様。
藍心<もしかしたら、その日から、彼女は私のことを、彼女の想像上の人物だと思い込んでしまったのかもしれない。彼女を失望させてしまったことが残念でならないの>
一方、一般的な女子よりも背が高く、髪も短かった藍心は、よく知らない女子生徒からは、男子に間違われることもしばしばで、トイレでは変態扱いされるし、
陰口をたたかれるばかり。
いや・・このくらいの背の高さの子ならいたよ。
女子バレー部の子とか、女バスの子とか。
さすがに、180センチ超えは私の同級生にはいなかったけどさ。
ま、女子の群れになじめなかったのは、背の高さだけが原因じゃなかったんだろうけどね。
藍心<幼いころから、自分が変わってるのは、わかってた。いつも、クラスメイトからは仲間外れにされてたの>
~ガジュマルの木の広場~
写生の時間も、ガジュマルの木の上で、サボって寝ているような生徒だった藍心。
藍心<でも、私は別に気にしたりしなかった。でも、すべてのイジメられる側の人間が気にしないというわけではないんです>
絵を描いていた任暁玄。
後ろから近づいてきて、押さえつけ、絵を奪うと、ニヤニヤ笑いながら、暁玄をバカにする同級生たち。
ちょっと、このお姫様を見てよ。
まるで、暁玄みたいじゃない。
暁玄って、自分をお姫様だって思ってるんでしょ
夢でもみてんの?と、嘲笑する。
騒がしい声に、樹上からちらりと様子を見る藍心。
私にもちょうだいよ。
あれ、彼女、怒ってるみたいよ
わざと、ドンと、任暁玄にぶつかりながら、突き飛ばし、
離れていくいじめっ子だち。
悔しそうに、唇を噛み、
結局、元の場所に座りなおし、絵を描き続ける任暁玄。
でも、どうしても、気持ちが収まらず、紙をビリビリに破っていく。
ここ、任暁玄の、隠れた激しさと言うか、鬱屈したエネルギーの持ち主だって表してる感じがする。
ただ気弱 で、優しくて、やり返せないってタイプじゃなさそう。
棒付きのキャンディを口にくわえた藍心が、ガジュマルの木から降り、
静かに任暁玄に近づくと、もう一つもっていたキャンディを任暁玄の画板の上にさりげなく落とし、なにも言わずに立ち去っていく。
藍心の(真の)属性:不良っぽいけど、実は優しい一匹狼男子。
???
最初は不思議そうに、
そのうちに、スマイルが描かれたキャンディと、
藍心の後ろ姿を目で追いながら、
いつしか微笑んでいた任暁玄。
藍心「沈さん、人から理解されないって気持ち、あなたにも覚えがあるでしょ?」
ここで、ふっと笑みをこぼす沈翊が哀しい。
沈翊「たしかに、人と違うということは理解されにくいかもしれないね。でも、尊重はされるべきだと思う」
藍心「残念ながら、当時のあの人たちは、そんなふうに考えなかった」
厳しい表情を見せる藍心。
~回想~
藍心<あの頃、みんなの中になじめず、他の人がいなくなってから、一人で練習してた。
そして、暁玄も傍らから静かに、私のことを見てたんです>
バスケのシュートを練習する藍心を熱い目で見つめる暁玄。
昼食も、藍心の姿が見えるよう、少し離れた席に座って、微笑みながら食べていた。
藍心<私は、ただ、彼女を慰めようとしただけ。でも・・・その日から、私にも友達が出来ただなんて、予想もしてなかった>
友達・・・藍心はそう考えていたとしたら、そもそもの出発点が違ってたんだね。
ああ、暁玄と藍心の間に、田林がいる!
そう、これらの行動が、あのいじめっ子田林の、盛大なる勘違いの素だったのは、すでに事情聴取のとおり
暁玄もただ視線を送ったり、絵を描いているだけ。
藍心も、それに気づきながらも素知らぬ顔をしてる。
でも、どこかで通じ合ってる二人。
藍心の絵を描いている時だけは、楽しくて、夢中で・・・
任暁玄の場合は、登場からして、ピンチを救ってくれた王子様で、いつしか、学校でも、時折、あの時の男子生徒を見かけるようになり、それが、明確な憧れ、恋心へと移っていったのは、想像に難くない。
机の天板にこっそり描いた、正面ではなく、斜め後ろからの少年のショット。
任暁玄がなにか隠して書いているのに気づいた藍心。
人気(ひとけ)のなくなった教室で、任暁玄が描いたその絵を確認する藍心。
何度か、任暁玄の危機に出くわし、それとなく見守るようになっていった藍心。
藍心もまた、任暁玄の様子が気になり始める。
藍心<私もまた、彼女と一緒に過ごす機会を探し始めるようになってた>
罰として、校庭を走らされている任暁玄のあとに合わせて、走る藍心。
付かず離れず・・・
藍心<数か月間で、彼女に一番近づいたのは、あの雨の日でした。私は、黙って、彼女のあとを、長い間ついて歩いていきました>
任暁玄も、後日、傘をさして歩く人を描いているところをみると、ちゃんと後ろを歩く藍心に気づいてたんだね。
藍心<私と一緒にいることで、彼女の孤独感が和らぐといいのに・・・>
機会が増えるにつれ、淡かった想いが、二人の中で、どんどん彩られていったけれど、依然として、暁玄と藍心には、明確な感情のズレがあったのね。
藍心は、自分の気持ちよりも、一貫して、任暁玄の孤独を慰めたり、和らげたりしたい・・っていう見守りスタンスに立っていたような感じ。
このあたり、(一般的な)女子が考える“あの子と友達になりたい”っていう感覚とは、ちょっと違ってるような気がする。
藍心<その後、任暁玄が別の学校に転校してしまって、でも、私たちは・・・まだ時々、あのガジュマルの木の下で、距離を取りながら会っていました>
ガジュマルの木の幹に、プレゼントを置く任暁玄。
そのまま、立ち去っていく。
暫くして、現れる藍心。
バスケットボールを模したクッション? ぬいぐるみ? 手作り?
※ 検索したら、ケーキとかもあって、びっくりした!!
男の子の誕生日祝いとかに、よく送るらしい(笑)
文字はつぶれていて、さすがに読めないなぁ。
“広大な人の海の中で、私達のような普通の人であっても、お互いの眼には輝いています”
そんな言葉が、暁玄の手で書かれていました。
振り返らず、丘を歩いていく暁玄の後ろ姿を見ながら、
(幻想的なくらい、綺麗なところだよね)
微笑む藍心。
ここで、バッグの中から、任暁玄が描いたガジュマルの木の絵(キスマークの絵)を差し出す沈翊。
ショックを受けたように、顔を背け、目を伏せる藍心。
沈翊「このガジュマルの木の下から、全部で、21片の衣服の断片を発見した。それらには、血痕が多く残っていた。それから・・君の中指の長い傷・・カッターで切ったものだろう?」
気付いていた沈翊。
指摘され、ぎゅっと手を握る藍心。
沈翊「君の手が傷ついたのが昔であっても、現在の技術なら、任暁玄の衣服の血液と君のDNAと照合することはそんなに難しいことじゃない」
この時点で、沈翊は、藍心の犯行だと思ってるのね。
沈翊「それで、一体、なにがあったんだ?」
~回想~
任暁玄のプレゼントは、他に、彼女が描いた絵もありました。
広げながら、一枚一枚、見ていく藍心。
当然、このキスマークがついているガジュマルの木の絵も入ってます。
バスケをしてるスケッチを見て、任暁玄の大きな勘違いに気づき、固まってしまう。
藍心<私は、ただ、スカートをはくのが嫌いで、バスケが大好きで・・ショートカットが好きな普通の女子だったの。でも、ここ何年も、私の周囲の人は、私の外見のせいで、いつも誤解するようになっていて、それが一層、私を孤立させた。>
任暁玄の絵は、ボーイッシュな女子ではなく、本当に、少年が描かれていた。
藍心<暁玄だけは、私のことを理解し、受け入れてくれている、と思ってたのに・・・彼女もみんなと同じだった>
ショックを受けた藍心、意を決して、ガジュマルの木の下で会おう、と任暁玄と約束をする。
先に来て、待っていた任暁玄。
藍心<私はただ、本当の自分の姿をはっきりとみてもらいたかった。本当の私を見て・・・って>
気恥ずかしそうに、水色のワンピース姿で、任暁玄の前に姿を現した。
もしかして、この水色のワンピース、確か、任暁玄も似てたの着てたことあったよね。
この時のです。
よく見たら、袖が違ってたけど、任暁玄が好きそうな洋服ってことで、これを選んだのかな。
驚き、固まる任暁玄。
ゆっくりと、任暁玄に近づいていく藍心。
藍心「だいぶ、待たせちゃったかな・・」
すでに、泣きそうな、というより、藍心を責めた視線を送っている暁玄。
藍心「暁玄・・どうしたの?」
自分の姿に照れ笑いしながら、「私だよ・・・瞿藍心」と名乗る藍心。
涙を浮かべながら、「彼じゃないのね」と呟く任暁玄。
やっぱり受け入れてはもらえないのか・・と失望する藍心。
それでも、もう一度、「私だよ」と言い聞かせる。
任暁玄「彼じゃない」
とりつく島なし!
藍心「ガジュマルの木の下で、キャンディをあげたのも私。校庭を一緒に走ったのも私、雨の日に、あなたを家まで送っていったのも・・私なの」
ショックに耐えきれず、完全否定する任暁玄。
任暁玄「あなたは彼じゃない! 彼なんかじゃない!!」
藍心「・・・・・」
自分を否定された藍心。
半狂乱になって叫ぶ任暁玄を、落ち着かせようと「これが、本当に私なの」と抱きしめる藍心。
任暁玄「そんなこと言わないで!!」
どこにそんな力が・・と思うくらい、力をこめて、藍心をふりほどく任暁玄。
任暁玄「聞きたくない。なんで、こんなところにまで来て、私にそんなこと言うの?あなたは、まったくわかってない! 彼が私にとってどれだけ大切な存在だったのか・・なんで、私の心を、彼のことを台無しにするの?彼は、私の人生で唯一の人だった。どうして、私のことを放っておいてくれないの? なんでなの? なんで、私のことを傷つけようとするのよ!!」
言葉は刃だ。
他の人に言われても、一切、気にしようとしてこなかった藍心だけれど、自分を責める任暁玄の言葉は、藍心の心をズタズタに切り裂いた。
ポロリ、と大粒の涙をこぼす藍心。
藍心「ごめんね。私は・・あなたなら、本当の私を受け入れてくれると思ったの」
自分の受けた痛みを隠し、任暁玄に謝る藍心。
藍心「こうして、あなたに嘘をつき続けたまま、あなたに会いたくなかったの」
これも、また藍心の本心だと思う。
任暁玄の繊細で生き辛い性格が、母親の言う通り、両親の離婚がきっかけだったのか、些細なことでいじめられるようになったことが原因だったのか、いつからこんなふうに頑ななまでに、凝り固まって形成されたのかわからないけれど、痛みを知ってる人が、他者に寛容になれるというのは、全部に当てはまるわけじゃないんだよね。
任暁玄「生きていく光を見つけたと思ったのに・・それをあなたが消してしまった」
完全に、自分が被害者だと思っている。
もうなにを言っても、任暁玄の耳には届かない。黙って、立ち去ろうと、背を向ける藍心。
任暁玄の右手に、カッターナイフ。
そう、ここで、なんで、任暁玄はカッターを手に持っていたのか、とても不思議だったの。
護身用?
任暁玄「いつだって、真実のほうが、嘘よりも、ずっと残酷なんだわ」
その言葉に振り返った藍心。
藍心「任暁玄、なにしてるの?」
手にしていたカッターをいきなり、胸に突きさした任暁玄。
まったく、ためらわないところが怖い。
藍心「任暁玄!!」
慌てて駆け寄り、何度も、任暁玄の名前を叫ぶ藍心。
藍心「ちょっと待ってて。救急車を呼んでくるから」
ぐっと、藍心の手を掴み、首を横にふる任暁玄。
藍心「暁玄・・なんで、こんなことしたのよ! どうしてよ!!」
任暁玄「私を助けないで。心の中のあの人はもう死んでしまった、私はここにいたいの」
藍心「暁玄・・」
任暁玄「私はずっと、彼と一緒に・・・いたい」
すでに、事切れた任暁玄。
藍心「暁玄、任暁玄、私がいけなかった・・・あなたに無理強いしなければよかった・・私が間違ってた。一体、どうしたらいいの? 任暁玄・・任暁玄」
任暁玄を抱きしめながら、泣き叫ぶ藍心。
藍心「どうしたらいいの? ねぇ、どうしたらいいのよ」
ここで切ります。
★『猟罪図鑑』Ep.05-2 雑感★
ただ、ひたすら、目で追うだけで、話しもできなくて・・・偶に見かけて、視線があうだけで嬉しくて。
でも、任暁玄は、想い人のことを少しでも知りたい、とは思わなかったのかな。
私なら、どこのクラスだろう、とか、どこにいたら見かけるだろう、とか、行動パターンとかすごく気になると思うんだけど、← 私の日頃の執着度合をみれば、丸裸にするのも時間の問題かもしれないので、これはちょっと参考にならない例かもしれませんが。。(笑)
任暁玄が大切に思っていたのは、“心の中のあの人”を恋しく思う自分の想いや時間だったのかな。
その時だけは、嫌なことを忘れられる。
藍心も、友達が出来たと認識しても、その友達に直接近づくわけでもない。
一歩も二歩も下がり、ただ、見守りながら、後ろにいるだけ。
距離感がわからない。
藍心<私は、ただ、スカートをはくのが嫌いで、バスケが大好きで・・ショートカットが好きな普通の女子だったの。でも、ここ何年も、私の周囲の人は、私の外見のせいで、いつも誤解するようになっていて、それが一層、私を孤立させた。>
主語が大きくなってしまって申し訳ないけど、女子って、孤立してる子が、ただ群れたくない子なのか、性格が嫌な子なのか、表面的に合わせていればいいだけの子なのか、線引にすごく敏感だし、少なくとも、体つきが男っぽいから・・だけじゃ誤解したりしない気がするんだよね。
藍心は普通の女の子のつもりでいただろうけど、本人すら自覚できてないような、どこか異質感があったんじゃないのかな。
おそらく、この事件がきっかけだったんだと思うけど、孤立するのを辞め、美術コースの子たちとも交流を持とうとしたから、プールをたまり場にしたり、その後も同窓会を開いて集まったりできるようになった気がします。
でも、本能で群れる女子たちからは受け入れてもらえなかった。
教師になった現在の彼女はとても女性らしくて、お化粧もファッションも気をつかって、女性としての日常生活をちゃんと送るようになっていたのに、最後、髪を切った姿で現れた。
本当の自分。
本当の瞿藍心。
藍心の心は、それを問い続けてきた10年だったのかな。