あるとき若い女性数人に、何故そこまでダイエットに励むのか、スリムな体型にこだわるのかを聞いた事があります。私の聞いた7割くらいが、着たい服のサイズに合わせるためとの答えでした。残りはスタイルに対する自分の美意識や異性からの視線でした。女性の洋服や美意識について男性の私がとやかく言う立場にありませんが、異性からの視線についてはちょっとコメントしたいので書かせていただきます。
 
 私も含めて、ちょっと太めの女性を好む男性というのは、女性が考えている以上に多いようにと思います。女性のプロポーションに対する美意識は世代によっても違うと思いますが、私のように高度成長期に子供時代を送った世代は、映画やドラマでグラマーな体型の女優さんがもてはやされていた影響があるのか、どちらかというと少々ぽっちゃりとしたタイプを好む男性が多いように思います。何故こんなことを書くかというと、無理なダイエットで身体を壊している女性を時々見かけるからです。身体だけでなく無理な食生活で精神面までストレスをため込んでいるように思います。

 価値観は人それぞれであることは認めますが、やはり女性は健康ではつらつとして、笑顔でいてほしいというのが多くの男性の願いではないでしょうか。パリコレのモデルさんのような体型はそれはそれで美しいのですが、世の男性がすべてスリムな体型の女性を求めているのではないことを女性に知っていただきたく書かせていただきました。
 私には、はるばる遠くにやってきたと心から思える場所がいくつかあります。代表的なのはフレンチポリネシア、ブエノスアイレス、そしてケープタウンです。私の知るケープタウンへの道のりは、東南アジア経由かヨーロッパ経由ですが、どちらもヨハネスブルグで乗り換えるのが一般的です。それだけに到着したときは、長旅の疲れと同時に、随分遠くまで来てしまったものだと感慨にひたることしばしばです。

 南半球の夏にケープタウンに降り立ったときの感じは、タヒチのパペーテに到着した時の感覚を思い出します。南国特有の暖かい空気とかぐわしき香り。ダウンタウンに向かう車中では、旅の疲れはどこへやら、何だか心がうきうきしてきます。

 車で丸一日かけて周る喜望峰への旅。岬の断崖をかすめるように続くスリリングな道路、アザラシのいる海、小じんまりとした洒落た漁港の街並などをかすめながら目指す喜望峰は別世界と言えます。

 大西洋とインド洋がぶつかる喜望峰、何だかその境目が見えるようで不思議です。霧が濃い日は、かなたから幽霊船が現れそうな気がするのは、「さまよえるオランダ人」の伝説を子供の頃に聞いたことが影響しているのでしょうか。

 ここでは何も考えず、ぼーと海を眺めるのが好きです。天候により海の表情がこれほどまでに変化するのを実感するのも喜望峰です。

 このところの異常気象で、ケープタウンへの帰路に立ち寄るペンギンの生息する海岸にも異変が起きているようですが、また近々家族を連れて訪問できればと思っています。

 ※これから南アフリカそしてケープタウンを訪れる方は本日(2014年11月7日)現在も外務省から十分に注意するようホームページを通じて呼びかけがされていますので、常に情報収集や十分な準備、そして万全の対策を怠らないようにしてください。詳しくは外務省のホームページをご参照ください。

 国際会議などで何度か訪問したスイス。過密なスケジュールにたまたま空き時間ができた時は、レマン湖畔を散歩します。ジュネーブ、ローザンヌ、モントルーなど。とりわけモントルーは私のお気に入りです。遠くにシオン城を望む湖畔まで歩くと、青春時代の70年代にシオン城を訪れた自分の姿が記憶の中から現れます。
 思うに随分と偏った考えや、浅はかな発想で世の中を見ていたものだと思います。今はその頃に比べれば、少しは心のゆとりと中庸をわきまえたとは思います。しかしあの頃、たとえ荒削りでも、瑞々しい感性と発想の豊かさのうちいくつかは、時とともに失われたように思うこともあります。それは、昔に自分が書いた文章を読む際には強く感じます。
 さてフランス語圏で青春を回想した後で、ドイツ語圏を訪れるチャンスがあれば、そこで青春に逆戻りします。登山電車で近づく山の頂き、アルプスの山間にかかる鉄橋、シンプロントンネル、すべてが青春時代のときめきに満ちています。
 ヨーロッパアルプスに立ち寄れない時は、ジュネーブを離陸した直後の機内からアルプスの絶景を堪能します。
 レマン湖は私の現在と青春時代をいったりきたりすることのできる、不思議な場所になりました。