しかしまあ、書いてるそばからアップしてたら、
やっぱ世界観とかまるで安定しないですね(言い訳)
まあ、この連載のテーマですからアレですけど、
この2人幸せになれるんでしょうか…ねえ?さよさん?
---------------------------
『あの日に還りたい 第七話』
僕と小夜の関係で、
他の人たちと一番違った事と言えば、
例えば大学の中で数限りなく繰り返されたであろう、
誰が好きなのとか、講義はどれを取っているとか、
家は何処で、休日は何をしてるの?といった、
現実的で個人的などうでもいい質問を、
お互い殆どしなかったことにある。
その事が、
僕らの間に起こる奇妙な現象、
或いは、僕が知らないだけで、
世の大半の男女に訪れる現象を引き起こす事になるのだけど、
僕は小夜が何処に住んでるかさえ長い間聞かなかったし、
小夜も僕が何処に住んでるのかを聞きさえしなかった。
流行の芸能人の顔は誰が好みで、
整形の背景にはこんなことがあって、
なんて、まあ、ある意味、
学内で話されてることの中でも、更に低俗な事で盛り上がっていた。
だから、
夏が来て、秋が来る直前になっても、
僕は、小夜が屋上に来る理由も、
その後、お決まりの様にラーメンやカラオケに二人で行くのに、
ある一定以上に距離が縮まらない理由も、解りはしなかった。
ただ、大学生という特殊な時間の中で、
そんな暢気な距離感を持ってるというのは、
ある意味、非常に無益だったし、
ある意味、非常に稀有な関係だったのかもしれないし、
ある意味、非常にありきたりな関係だったのかもしれない。
大学2年の前半分は、
そんな風にゆっくりと過ぎていった。
僕は、彼女の作る野菜料理を食べて、
小夜とラーメンを食べる事でバランスを取っていた。
彼女とは自分の部屋で一言も喋らない代わりに、
小夜と機関銃のようにトークを繰り広げた。
ある日、パソコンのモニターに、文字が浮かぶとする。
???>つまり君はどうしたいんだい?
Hyde>さあ?
???>そんなぬるま湯みたいな生活で、君は2人を傷つけ続けるのかい?
Hyde>彼女はともかくとして、小夜を僕は傷つけていないだろう?
???>君は本当にそう思ってるのか?
Hyde>そう、思ってるよ
本当のところ、僕は解っては居たし、
ある部分において、決定的に解っていなかった。
いつものラーメン屋からの帰り道、
よく晴れた昼下がり、
雲の白さと、空の蒼さが、
なんとも絶妙なバランスで、
本当なら、坂を下って駅に向かうはずなのに、
小夜は坂を上って大きく延びをした。
両手を上げたまま、2、3歩歩き、
勢いよく両手を下ろしつつ振り返った小夜の顔を見たとき、
僕はこの子に、完全に恋をしていることを自覚した。
坂の向こうに広がる空と、
坂の両側にある街路樹の碧に囲まれて、
その真ん中にいる女の子に恋をしていた事を理解する。
夏の湿気で丸まった髪の毛と、
化粧をしないと、ほんとに高校生みたいな顔つきも、
大きな目も、
大きな胸も、
多分、ずっと前から好きだった事を。
そうして、僕は、
僕の口は、僕の頭より早く、
「小夜、かわいいな。」
そう動いていた。
その時小夜は、
大して驚きもせず、照れもせず、
「ありがとう。」
そう微笑んでいた。
もう少し後になって、
僕は小夜がとても照れ屋であることも、
およそ恋愛というものについて、どちらかといえば受身である事を知るけど、
なぜ、この時の小夜が、
とても自然にありがとうと言ったかについては、
よく判らなかった。
こうして僕らは、
というより、僕は、本当はここで、
小夜に向けて手を差し伸べて、小夜の手を握るべきだったのかもしれない。
或いは、
告白の言葉を紡ぎだすべきだったのかもしれない。
最低限でも、小夜が向かおうとしていた、坂の上に行くべきだったのかもしれない。
僕は、3歩先にいた小夜が、
1歩此方に歩いてくるのを見て、
そのまま駅に向かった。
彼女の事を考えたわけでもない。
その時の僕は想像すらできなかったのだ。
小夜が彼女になって、
小夜と恋愛をする。
そんなありきたりの想像を、僕はできなかったのだ。
???>どうしてそう思ったんだ?
Hyde>前にも書いただろ、小夜はどこか別の場所で戦って笑ってるんだと思って
たから。
「貴方は本当に馬鹿よね。」
「うん、そう思う。」
「お前さあ?なんで時々恐ろしく鋭いのに、
なんで時々恐ろしく鈍いの?」
「馬鹿なんだよ、根本的に。」
僕は、見送ったのだ、
これが勝負の分かれ時の球を、
完全に見送った。
こうして僕は勝負に負けるのだけど、
その時の僕は、その瞬間が運命の時だった事を知らない。
随分と後になって、
僕は小夜の口からその事実をしる事になる。
-------------------------
あぁ、もうらめぇ…ストック切れ…。
やっぱ世界観とかまるで安定しないですね(言い訳)
まあ、この連載のテーマですからアレですけど、
この2人幸せになれるんでしょうか…ねえ?さよさん?
---------------------------
『あの日に還りたい 第七話』
僕と小夜の関係で、
他の人たちと一番違った事と言えば、
例えば大学の中で数限りなく繰り返されたであろう、
誰が好きなのとか、講義はどれを取っているとか、
家は何処で、休日は何をしてるの?といった、
現実的で個人的などうでもいい質問を、
お互い殆どしなかったことにある。
その事が、
僕らの間に起こる奇妙な現象、
或いは、僕が知らないだけで、
世の大半の男女に訪れる現象を引き起こす事になるのだけど、
僕は小夜が何処に住んでるかさえ長い間聞かなかったし、
小夜も僕が何処に住んでるのかを聞きさえしなかった。
流行の芸能人の顔は誰が好みで、
整形の背景にはこんなことがあって、
なんて、まあ、ある意味、
学内で話されてることの中でも、更に低俗な事で盛り上がっていた。
だから、
夏が来て、秋が来る直前になっても、
僕は、小夜が屋上に来る理由も、
その後、お決まりの様にラーメンやカラオケに二人で行くのに、
ある一定以上に距離が縮まらない理由も、解りはしなかった。
ただ、大学生という特殊な時間の中で、
そんな暢気な距離感を持ってるというのは、
ある意味、非常に無益だったし、
ある意味、非常に稀有な関係だったのかもしれないし、
ある意味、非常にありきたりな関係だったのかもしれない。
大学2年の前半分は、
そんな風にゆっくりと過ぎていった。
僕は、彼女の作る野菜料理を食べて、
小夜とラーメンを食べる事でバランスを取っていた。
彼女とは自分の部屋で一言も喋らない代わりに、
小夜と機関銃のようにトークを繰り広げた。
ある日、パソコンのモニターに、文字が浮かぶとする。
???>つまり君はどうしたいんだい?
Hyde>さあ?
???>そんなぬるま湯みたいな生活で、君は2人を傷つけ続けるのかい?
Hyde>彼女はともかくとして、小夜を僕は傷つけていないだろう?
???>君は本当にそう思ってるのか?
Hyde>そう、思ってるよ
本当のところ、僕は解っては居たし、
ある部分において、決定的に解っていなかった。
いつものラーメン屋からの帰り道、
よく晴れた昼下がり、
雲の白さと、空の蒼さが、
なんとも絶妙なバランスで、
本当なら、坂を下って駅に向かうはずなのに、
小夜は坂を上って大きく延びをした。
両手を上げたまま、2、3歩歩き、
勢いよく両手を下ろしつつ振り返った小夜の顔を見たとき、
僕はこの子に、完全に恋をしていることを自覚した。
坂の向こうに広がる空と、
坂の両側にある街路樹の碧に囲まれて、
その真ん中にいる女の子に恋をしていた事を理解する。
夏の湿気で丸まった髪の毛と、
化粧をしないと、ほんとに高校生みたいな顔つきも、
大きな目も、
大きな胸も、
多分、ずっと前から好きだった事を。
そうして、僕は、
僕の口は、僕の頭より早く、
「小夜、かわいいな。」
そう動いていた。
その時小夜は、
大して驚きもせず、照れもせず、
「ありがとう。」
そう微笑んでいた。
もう少し後になって、
僕は小夜がとても照れ屋であることも、
およそ恋愛というものについて、どちらかといえば受身である事を知るけど、
なぜ、この時の小夜が、
とても自然にありがとうと言ったかについては、
よく判らなかった。
こうして僕らは、
というより、僕は、本当はここで、
小夜に向けて手を差し伸べて、小夜の手を握るべきだったのかもしれない。
或いは、
告白の言葉を紡ぎだすべきだったのかもしれない。
最低限でも、小夜が向かおうとしていた、坂の上に行くべきだったのかもしれない。
僕は、3歩先にいた小夜が、
1歩此方に歩いてくるのを見て、
そのまま駅に向かった。
彼女の事を考えたわけでもない。
その時の僕は想像すらできなかったのだ。
小夜が彼女になって、
小夜と恋愛をする。
そんなありきたりの想像を、僕はできなかったのだ。
???>どうしてそう思ったんだ?
Hyde>前にも書いただろ、小夜はどこか別の場所で戦って笑ってるんだと思って
たから。
「貴方は本当に馬鹿よね。」
「うん、そう思う。」
「お前さあ?なんで時々恐ろしく鋭いのに、
なんで時々恐ろしく鈍いの?」
「馬鹿なんだよ、根本的に。」
僕は、見送ったのだ、
これが勝負の分かれ時の球を、
完全に見送った。
こうして僕は勝負に負けるのだけど、
その時の僕は、その瞬間が運命の時だった事を知らない。
随分と後になって、
僕は小夜の口からその事実をしる事になる。
-------------------------
あぁ、もうらめぇ…ストック切れ…。