昨日、レッスンの後夜の待ち合わせまでかなり時間があったので
思い切って、前から見たかった映画を見に行くことにしました。
神保町の岩波ホールで上映中のパリ、20区僕たちのクラスという映画です。
この映画は2008年のカンヌ映画祭でPalme d'or(最高賞)を受賞した作品です。
映画の舞台はパリの中でも移民の多い地区の公立中学校
おそらく日本で言うと中学校1,2年生くらいの、
生意気盛りの生徒たち相手に
担任の国語(フランス語)教師が奮闘する、という内容です。
まるでフランス版金八先生みたいですね
先生と生徒の舌戦と、次から次へと起こる問題
2時間以上の映画でしたが
下手なアクション映画よりも、はるかにスリリングでした。
しかも驚くべきことに、この映画はドキュメンタリーではなく
あくまで実話をもとにして、役者を使って作ったものだということ。
担任役の先生は、この映画の原作者でもある、もと教師の方だそうですが
生徒役の子たちはオーディションで選ばれて、
1年にもわたるワークショップを経て、演技をしたといいます。
虚構の世界だとは思えないほどリアルでした
私も一種の教師という仕事をしているので、
非常に興味深く、また共感できる部分もたくさんありました。
もちろん、私もかつては中学生だったので
生徒の言うことにも共感できるところも、たくさんありましたよ。
映画は新学期の教師のシフトが配られる教務会から始まります。
「あ~、水曜日に授業が入っちゃった~」
「この子は要注意」
なんていう会話、
どこかで聞いたことありませんか?
最初から追体験をしているようで笑ってしまいました。
なかなか指示通りに動かず、
屁理屈だけこねて、熱心に勉強しない生徒たちに
怒りを爆発させる先生
売り言葉に買い言葉で、教師も波紋を呼ぶような発言をしてしまったり。
そこには、 先生と生徒との真剣勝負がうかがえました。
そう、 授業とは、毎回毎回が、真剣勝負
同じ相手でも、
同じ教材でも、
毎回同じものは何一つとして、無いのです。
国語の授業というのも、
言葉を教える、ということで
日本語教育に通じることがありました。
終始緊張感が続いていた映画でしたが、
それは学校のクラス、という場ならではなのでしょうね。
ちなみに、原題の‘Entre les murs’というのは、
「壁の間」という意味ですが
この場合、教室という区切られた空間を意味するのでしょう。
ちなみに原作のタイトルは『教室へ』です。
また、entre les mursは、「逆境、苦境の中にいる」という意味も持つようです。
一筋縄ではいかない教師という仕事
時には、というか常に?苦行を強いられることもあります
それでも、続けている人というのは、どこかそこに病みつきになってしまっているのでしょうね。
私自身、だんだんそうなりつつあります(笑)