アメリカ音楽の父と呼ばれたジョージ・ガーシュインは、もともとポピュラー/ジャスの曲を作曲して名声を得、その後クラシック音楽に進出しました。

 

そのため、正式な音楽教育を受けておらず、独学で管弦楽法などを勉強していました。 1924年、26歳の若さで有名な「ラプソディー・イン・ブルー」を作曲しましたが、オーケストレーションはグローフェが担当しました。

 

しかし、これでは一人前ではないと奮起し、翌年にオーケストレーションも含め自力で書き上げたのがこの「ピアノ協奏曲ヘ長調」。 クラシック音楽でありながら、ジャズやブルースの雰囲気が溢れます。

 

自由な形式だった「ラプソディー・イン・ブルー」に対して、協奏曲という伝統的な形式で書かれたガーシュインの音楽は、発表当時から賛否両論入り乱れていました。

 

ストラヴィンスキーは「天才の作」だとほめたたえ、プロコフィエフは「まとまりのない曲」と切り捨て、ウォルトンは管弦楽法をほめちぎり、ディアギレフは「二流のリスト」と述べるなどなど。

 

そのためか現在でもこの曲の評価は定まっておらず、「ラプソディ・イン・ブルー」や「パリのアメリカ人」に比べると圧倒的にマイナーな存在です。

 

しかし個人的には聴きどころ満載の魅力的な曲だと思います。 様々な音楽が入り混じったとりとめのなさもある(特に第1楽章)のですが、各素材が魅力的なので聴いてて楽しい!

 

ぐっとテンポを落としてロマンチックなメロディが出るところは、「ラプソディ・イン・ブルー」にもつながりますね。

 

↓ユジャ・ワン(ピアノ)/マイケル・ティルソン・トーマス指揮/ロンドン交響楽団

 

アール・ワイルド(ピアノ)/アーサー・フィードラー指揮/ボストン・ポップス管弦楽団

フィードラーとボストン・ポップスのコンビですが、いたずらにポップスやジャズ寄りに流れることなく、実に端正な演奏を繰り広げています。 アール・ワイルドのピアノも素晴らしい。 1959年の録音と思えないほど音も良いです。

 

ギャリック・オールソン(ピアノ)/ティルソン・トーマス指揮/ニュー・ワールド交響楽団

父、祖父、叔父それぞれガーシュインと親交を持っていたティルソン・トーマスの演奏。 完全に手の内に入っています。 自身のピアノでの録音もありますが、こちらはオールソンのピアノです。

 

ステファノ・ボラーニ(ピアノ)/リッカルド・シャイー指揮/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管

ボラーニはミラノ生まれのジャズピアニストですが、クラシックとしての技巧も達者で聴かせてくれます。 シャイーの指揮もノリが良くて、録音もライヴと思えないほど鮮明。 最近手に入れてこればかり聴いてます!