1924年、「ラプソディー・イン・ブルー」 の大成功によって、若くして作曲家の名声を確立したガーシュインですが、オーケストレーションについては自信が持てず、劣等感も感じていたようです。 「ラプソディー・イン・ブルー」のオーケストレーションもグローフェに依頼していました。

       

その後、ラヴェルやストラヴィンスキーなどの有名作曲家に教えを請いましたが、すげなく断られてしまったそうです。 この時ラヴェルが、「あなたは既に一流のガーシュインなのだから、二流のラヴェルになる必要はないでしょう」と言ったというのは有名な逸話ですね。
       

結局、ガーシュインは独学でオーケストレーションを勉強し、1928年、「パリのアメリカ人」を作曲しました。 当時のスコアに、”パリのアメリカ人 :ジョージ・ガーシュイン作曲およびオーケストレーション”という自身の書き込みがあり、ガーシュインの満足感が伝わってきます。

       

この曲はタイトルが示すように、パリを訪れたアメリカ人の印象を描いたもので、大きく分けて3つの部分から構成されています。

        

最初は、パリの大通りを眺め歩くアメリカ人を描いた部分で、木琴や自動車のクラクションが大都市の雑踏を表現し、独奏ヴァイオリンは優雅なパリジェンヌでしょうか。

     

二つ目の部分は、ぐっとテンポを落としてブルースのムード。 ソロ・トランペットが哀愁たっぷりのメロディを吹き、アメリカ人の故郷への郷愁を表しています。

     

三つ目の部分は、スイングジャズのような乗りのよい音楽で開始され、その後、街の雑踏やブルースのメロディも絡んでクライマックスを形成し、華やかに終わります。

       

ドゥダメル指揮/ロサンジェルス・フィルハーモニック管弦楽団でどうぞ → 

      

        

巴里(パリ)のアメリカ人 [DVD]/ジーン・ケリー

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1951年のアメリカ映画で、監督はヴィンセント・ミネリ。 ジーン・ケリーが主演と振り付けを行ったミュージカル映画です。 「アイ・ガット・リズム」 やピアノ協奏曲など、ガーシュイン・ナンバーが11曲も使用され、ラストで「パリのアメリカ人」を全曲使った17分のバレエシーンは圧巻。 ガーシュインファンなら必見の映画でしょう。

      

ストーリーは、巴里にやってきたアメリカ人の画家とパリ娘の恋愛を描いたもので、アカデミー作品賞をはじめ8部門を受賞、ダンスと音楽は素晴らしい! ただ、私的にはヒロインがあまり可愛くないところがマイナスポイントかな(笑)
      

      

ラプソディー・イン・ブルー~ガーシュウィン・アルバム/フィードラー(アーサー)

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アーサー・フィードラー指揮/ボストン・ポップス・オーケストラ

フィードラーの演奏からは、純粋クラシックの演奏家には表現できないような”楽しさ”が伝わってきます。 そして、自在なテンポでスイングしますが、決して崩れた演奏にはなりません。 1959年の録音とは思えない優秀音質で、私の一番のお気に入りです。

       

ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー&パリのアメリカ人/トーマス(マイケル・ティルソン)

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マイケル・ティルソン・トーマス指揮/サンフランシスコ交響楽団

 父、祖父、叔父それぞれガーシュインと親交を持つティルソン・トーマスによる演奏。 この人のスマートでノリの良い音楽がガーシュインにピッタリです。

      
ガーシュウィン:パリのアメリカ人/デュトワ(シャルル)

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シャルル・デュトワ指揮/モントリオール交響楽団。
「パリのアメリカ人」をフランス側から演奏するとこうなります(笑) オーケストラの響きは例によって色彩感あふれ、シンフォニックな演奏。 この曲にジャジーな雰囲気を求めない人には最高の演奏かも。 録音も最上級。